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第16話:王子と王女の違い

あれから俺はアリス、サラ、リーザ、セリアにもエレナと同じように持ち上げてやるとどうやら満足してくれたようで4人とも喜んでくれていた。


まあ、こんなんでこの子達と仲良くなれるなら安いもんか。


「言っておくけどお前ら2人のことを子供達みたいに持ち上げたりなんかしないからな」


「え~、エレナちゃん達だけズルいです! だいたい私達はまだ頭だって撫でてもらってないんですよ」


「そうですご主人様! さっきまでご主人様を膝枕していたお嬢様はともかく、私のことは可愛がってください」


「お前らは大人なんだから少しは我慢しろよ。だいたい何でそんなに俺にこだわるんだよ」


『何、実は俺のこと好きなの?』とか言うほど自分に自信はないので言わなかったのだが、この2人は何の恥じらいもなく


「「ソウジ様・ご主人様のことが好きだからです」」


「………………」


こういう時難聴系主人公がよく言うセリフがある。そう、今やテンプレと言っても言い程の『お前絶対聞こえてただろ』と言いたくなるようなあの言葉。


「今、何て言った?」


「ですから、私はソウジ様のことが好きだと言ったんです」


「大丈夫ですかご主人様。そう言えば昨日も倒れてらっしゃいますし、やはりまだ体調がよろしくないのでは?」


そらそうなるわ。というかその反応が普通だし。いやでも君達も中々おかしいと思いますよ。


「別に体調は大丈夫。逆に2人の方こそ昨日初めて会った奴が好きって頭大丈夫か?」


「ソウジ様、私はこれでも王女です。なので人を見る目には自信がありますし、それはリアーヌも同じです。そもそも王族、貴族の世界ではその力がなければ生きていけません」


「つまり俺は王女様のお眼鏡に適ったと。でもだからって昨日の今日で告白はないだろ」


「ご主人様は知らないかもしれませんが上層階級の方々には恋愛の自由……結婚相手を選ぶ権利などありません。それはお立場が上になればなるほどです。なので好きになったらすぐに想いを伝えるのが得策。もちろん誰彼構わずというわけではありません」


「そりゃそうだろうな。それに王子なら自国を継ぐなり何かしらの役職で国に残るのが普通だからある程度嫁を選ぶ権利があるだろうが、王女にはそれがない。何故なら王女には道具という側面が大きいからだ」


例えばA国の王女をB国へ嫁に来させて人質に……。これはB国にA国の王女がいることによって表向きはただの王妃という形になるが、裏を返せばA国はB国に人質を取られているようなものなのでそう簡単に喧嘩を売れないのはもちろん、極端な話A国はB国のご機嫌取りを半永久的にし続けなければいけないのだ。


道具というのはそれだけじゃない。例えばハーレムはあるのに、逆ハーレムはあまりないのは何故だと思う?


答えは簡単。『国王の血を受け継いでいる王子一人に対して複数の女がいる』のと、『国王の血を受け継いでいる王女一人に対して男が複数いる』のでは前者の方が圧倒的に効率が良い。つまり『王女=子供を作る道具』という認識もあるということだ。


まあこの世界が中世ヨーロッパレベルだからまかり通ってるだけで、現代日本でそんなことを言い出したら間違いなく炎上するだろうな。もちろん日本以外の国でも殆どが同じだろう。


「それに貴族どうしの結婚というのは相手に嫌なところがあってもある程度は我慢するもの。それが自分の嫌いなタイプであっても同じです。ですが私はソウジ様のことがとても好きですし、一生あなたと添い遂げたいとさえ思っています」


「なるほど。そんな相手と無理やり結婚させられるくらいなら俺と結婚した方が良いと。さっきも言ったが俺はまだ結婚する気なんてないぞ。つまり今のところ子供を作る気もない」


「別にそこは大丈夫ですよ。私とリアーヌは長命種ですので成長は既に止まっています。つまり、いつでも子作り可能です!」


「お兄ちゃん、ミナお姉ちゃんと結婚するんですか?」


「ソージ兄、リアーヌ姉とも結婚するの?」


「サキ兄、私弟が欲しい!」


「ソウジ様、ご子息・ご息女のお世話は私達にお任せくださいませ」


「あらあら、ソウジって結構モテるのね」


ゲッ⁉ そういえば俺ら以外にアリス達、風呂組もいたんだった。ティアはニヤニヤ笑ってるからまだ良いけどマイカはどうすればいいか分からないって感じだ。まだ一言も喋ったこともないし何か申し訳ない。あとでゆっくり話してみよう。


「だいたい俺が複数の女と関係を持っても良いのか? 俺が同じ立場だったら絶対に嫌だぞ」


「そんなことを仰られると、ヤキモチを焼いておられるご主人様も見てみたくなってしまいますね」


「それは確かに魅力的ですね。でも私はソウジ様以外の男性はお断りです」


「それは私も同じでございます! そうやってお嬢様だけ良い顔するのはズルいですよ」


そういうのいいから誰か俺の質問に答えてくれよ。このままじゃ俺がただのヤキモチ焼き男ってことになるじゃねーか。


「なあミナよ。もしもわらわがある日突然こやつの女になったとしたら…お主はどう思うんじゃ?」


よく聞いてくれたぞティア! あとで頭撫でてやるどころか、高い高いしてやる。


「う~ん、ティアさんですか……。リアーヌとはずっと一緒にいるので同じ人が好きでも気になりませんが、これはちょっと難しいですね」


「ティア様には申し訳ありませんが、これは少しお嬢様のお気持ちも分かりますね。ちょっと今の状況ではヤキモチを焼いてしまいそうです」


ふ~ん。つまりお互い信頼しあってるというか、恋愛にもパーソナルスペース的なものがあるのか。


「これではまるでわらわがフラれたみたいなのじゃが」


「そっ、そんなつもりでは! それにティアさんが悪い人じゃないことはちゃんと分かっていますから、もし本気でソウジ様を好きになったっというのならば私達は何も言いません。ですが………遊び半分とかでしたらいくらティアさんが相手でも手加減しませんよ」


「お~お~、とても一国のお姫様とは思えん殺気じゃの。しかもわらわにだけそれを向けてくるとは。その若さで既にマリノ王国内で10本の指に入る強さを有していると噂されておるだけはある。……じゃが、たかだが小娘1人ごときでわらわに勝てるつもりかの?」


えっ⁉ このロリババァ実はめちゃくちゃ強いの? というかミナってそんなに強いのかよ。いや確かにお姫様がわざわざ危険な国なんかに偵察に来てるのはおかしいと思ってたけど、そういうことか。


ってことは一緒にいたリアーヌさんとアベルも実は……


「私もそこまで馬鹿じゃありませんので、その時はリアーヌとアベルも一緒です。……それでも勝てるかどうか分かりませんが」


これ絶対あの2人も強いじゃん‼ というかそれより強いティアって何者だよ! もしかしてうちの国って戦力固まりすぎなんじゃね? 世界の軍事バランスが崩れる的な。


「なあリアーヌさん。ティアってどのくらい強いんだ?」


「ティア様のお噂は一切聞いたことがありませんが、おそらく私達3人がかりで挑んだとしても…負けるかと思われます」


「ん? そういえばなんで戦ってもないのに2人はティアの強さが分かるんだ?」


「ある一定以上の力を身に着けると自然と相手の力量が測れるようになってくるのです。ですがご主人様の場合は持っている力は膨大ですが、それに対しての経験値があまりにも少なすぎますのでまだ出来なくて当然です。そこら辺も徐々に身に着けていきませんとね」


なるほど。ヤクザと同じで相手の力量を一瞬で正確に見抜けなければ最悪死ぬってことか。


何でもあいつらはその辺の目がやたらと良いらしい。相手が自分より強いか弱いかを瞬時に判断し…弱い者からは吸い上げ、強い者には即取り入るとか。まあその能力がなければ上には行けないし、それの有無によってガチで死ぬこともあるんだろう。


「まあわらわはミナと同じでこやつのことを支えると決めたからのう。お主と一緒に戦うことはあっても敵対することはなかろうよ。………お主らがこやつの敵になるというなら話は別じゃが」


「それは絶対にないのでご安心を。……面接の時点で分かってはいましたが、あなたが味方だと再確認できて良かったです」


「何が再確認じゃ。ただのヤキモチじゃろうて」


「ちょっ、ちょっと⁉ ソウジ様の前でそういうこと言わないで下さいよ‼ ソウジ様の中で私は年上のお姉さんっていうイメージがあるんですから!」


いや全然ないとは言わないけどそこまででもないぞ。俺の中でのミナのイメージは、年上のお姉ちゃん兼年下の妹みたいな感じだし。


………そういえば何の話をしてたんだっけ? まあ買い物をしてるうちに思い出すか。

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