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第162話:謎

【自国の代表を集めての会議まであと1日】


side:ミナ


自国の代表を集めての会議前日の朝10時過ぎ。


今回の件は議題が議題なだけに自国民には明日行われる会議内容についてはもちろん、当日は我が国の訓練場に設置されている大型モニターを使いその様子をリアルタイムで見られるようにするといった内容のことをあらかじめソウジ様が録画していたものをウチの情報部が放送したのが今から二時間前の午前八時ピッタリのこと。


にも関わらずどこからこんなに人が集まってきたのか、明らかにウチの国民ではない人達も混ざって反対&抗議デモだのなんだのが主に私達が住んでいるお城の門前で行われている……と言いたいところなのですが実際にそういったことで騒いでいるのはただただ文句を言いたかったり暴れたいだけの方達のみであり、ほとんどの方はそれぞれ自分の考えや意見があれどまずは明日の会議の内容を見てから…といったご様子。


まあこうなったこともあの人にとってみれば全て偶然ではなく必然なんでしょうけど。


「………って、誰ですか! 私達のソウジ様にこんな恐ろしい裏政策的なことを教え込んだ人わ‼ こんなのもし一つでも選択を誤れば一瞬であの人は全世界から悪の魔王扱いされてしまうんですよ‼」


「さっきから難しい顔をしながらお茶を飲んでおると思ったらお主は……いや、()()()()そんなくだらんことを考えておったのか?」


「くだらないって、いくら師匠が坊主のことを俺達の想像を絶するような厳しさで育てていく方針を取っているとはいえ限度ってものがあるだろうが! これじゃあ本当にそのうちどっちが悪者か分からなくなるぞ、おい‼」


「………そのご様子ですと少なくとも陛下・お父様・お母様の三人は最初からご主人様のご考えが分かっていながら止めなかっただけでなく、最初のお二方に関しては万が一のことがあった場合は全責任をあの方に押し付けることが可能であることも考慮してこの国と同盟を結んだということでしょうか?」


そんなリアーヌによる核心に迫るであろう言葉に対してお父様とレオンは一瞬で表情を私達の父親としてのものから自国を守る国王と宰相のものへと変えてきたためこちらもソウジ様を守るために、その為なら自分達の故郷がまた元の文明レベルに戻ってしまおうとも関係ないし、それで私達三人がマリノの国民からどんなに批判されようとも関係ない。


そんな覚悟を胸にまずは私が先陣を切ろうとしたその時、一人ダイニングテーブルの椅子に座っているティアさんがそれに頬杖をつきながら呆れたと言わんばかりの表情を浮かべながら


「セリアならまだしもこやつら三人がこのザマとはの~う。ちとお主ら自分の娘に対して国を背負うものとしての教育が甘すぎんかの?」


「ん~、まあ確かに私達の場合寿命がかなり長いこともあってそこら辺に関しては結構甘やかしてきたというか、ゆっくり時間を掛けて教えていく方針を取ってるから何にも言い返せないけど…そうやって無理をしているティアちゃんもどうかと私は思うな~」


「ふん、わらわをそこのお子ちゃま三人と一緒にするでないわ。それとこれは話を逸らすとかでなくただの親切で教えてやるがの、あと30秒以内にこの険悪なムードをなんとかせんと相手が誰じゃろうと関係なしにとんでもない雷が落とされかねんぞ」


そうティアさんが言った瞬間先ほどまでキッチンにいたはずのマイカさんがいつの間にか私達が座っているソファーの近くまで来ていただけではなく、相手が私やリアーヌの両親であるとはいえ他国のトップ二人に対するものとは到底思えないほどの怒りをそれに座っているアンヌ以外の五人全員に向けながら


「自国の為とか好きな人・大切な人の為にそうやって喧嘩するのはどうでもいいんだけどさ、まだ続けるっていうならちょっと他の部屋に行ってくれないかな?」


「「「「「………………」」」」」


「流石は元一般人でありながら他国のお姫様達に混ざってこのお城にいるだけでなく、一国の宰相及びあの子のお嫁さんになろうとしてるだけはあるね。いい殺気出てるよ~、マイカちゃん」


そういつも通りの軽い感じで言った直後、私達同様にただならぬ殺気をマイカさんから感じたらしく彼女にしては珍しく本気の殺気が込められた目をしながら


「でもそれを私達以外の人相手にやったら駄目だよ。冗談抜きで中途半端に実力がある相手にそれをやっちゃうと脳が混乱して冷静な判断が下せず全力で殺しに掛かってくるだろうからね」


「さっきまでただの女子じゃと思っておった者からこれほどの殺気を感じられれば驚きすぎて相手の力を見誤ってしまうのも分からんでもないがのう、こんなもの少し落ち着いて観察すれば殺気以外は全て普通の女子じゃとすぐに分かるじゃろうて。これくらいのことならわらわのソウジでも簡単にできるぞ」


「『わらわ()ソウジ』じゃなくて『わらわ()面倒を見ておるソウジ』でしょ? 次からはそこのところ間違わないように気を付けてよね…ティア」


「ふん、ならばこちらも一つだけ言わせてもらうがの…今回の計画を考えた張本人が一番不機嫌なのはいかがなものかとわらわは思うぞマイカよ。お主ら()ソウジだと言いたいんじゃったらもう少し大人になった方がよいのではないかの?」


今ティアさんが言った今回の計画が始まった昨日の夜から主にソウジ様の婚約者である私達はみんなヤキモチのようなものを抱いており、少しピリピリしていたためこの二人がこうやって喧嘩一歩手前みたいなことをしているのはなんら不思議ではありませんし今のところ仲裁に入る必要もなさそうなので一度頭の中をリセットし、今も変わらないどころか更に殺気が強くなってきているマイカさんの観察を始めると私と同じことをしていたらしいリアーヌがこの場にいるマリノ組全員に念話を繋げた状態で


(お嬢様)


(ええ、先ほどティアさんが言っていた通り殺気以外は本当にただの女性…いつも通りのマイカさんのようですね)


(俺は他人の魔力とかよく分かんねえけどそこら辺はどうなんだ?)


(息子が関係しているとなれば話は別だが、もしそうでないと言うのあれば……)


(しかしここまでの殺気を、しかも無意識で出せているにも関わらずなんの力も持っていないと考えるのはキケ―――)


(まあまあ、ソウ君の将来のお嫁さんな時点でこの子も私達の子供なんだし、たとえあの子にとんでもない秘密があったとしてもマイカちゃんの兄妹・姉妹もしくは親であり続ける。ってことでいいんじゃない? それよりもそろそろあの二人を止めた方が…って、もう遅いか)


そうアンヌが言った瞬間この部屋の扉を誰かが開けたため自然とそちらに視線を向けてみると、そこにはお母様と誰が見ても不機嫌なのが分かる顔をしながら手を繋いでいる子供ソウジ様がおり


「だから言ったじゃん。やっぱり自分の部屋に戻る」


「………ソウジの部屋はもちろんのこと、万が一のことを考えてこの部屋の防音機能も朝からONにしっぱなしだったからどうせ寝起きが悪くて駄々を捏ねてるだけだと思ったのだけど…まさか本当にこの子が言っていたことに近い状況になっているとわ」


「ん゛ーーー! そんなのどうでもいいから早くてぇー離して!」


「朝ごはんも食べずに自分の部屋に戻ろうとしてる人の手をここで離すわけないでしょうが、まったく。というかこの状況はなに? 私がこの子を起こしてからここに連れてくるまでにどれだけ苦労したと思ってるのよ!」


ソウジ様の部屋で何があったのか分かりませんが余程大変だったのか少し怒り気味にそう言うと、その瞬間彼の顔が更に不機嫌さを増したとともに何とかしてお母様の手から逃れようと繋いでいる右手を横に振ったり引っ張ったりとし始めたもの、今のソウジ様は見た目通りほぼ全てが5歳児レベルなのでそんなことお構いなしに話を続けようとしたその時


「はい、ストッーーープ‼ 私も含めて反省点だったり話し合いをするべきことは一杯あるけどまずはソウジ君のことを優先。ということでティア、お願い」


「今回の計画が計画なだけにちとわらわも昨日の夜からイライラしておったし、一回くらいはこやつの記憶を書き換えることになるだろうとは思っておったが…まさかこんなに早くそれをやることになるとわ。と言いたいところじゃが、ただでさえこの位の子供は周りに敏感なのに加えて今のソウジがソウジじゃからのう。少なくともこれに関してはここにいる者全員反省じゃな」

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