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第15話:少しは仲良くなれた?

それから俺はミナとリアーヌさんに支えられながら城…というか自分達の家に、他の奴らもそれぞれの家だったり持ち場に戻り始めたのだが


「それで、なんで俺はミナに膝枕されてるんだ」


そう。俺達が家に戻って来てすぐに俺はミナに居間のソファーまで引っ張られたのでここに寝かされるのかと思ったらこの状況である。ちなみにリアーヌさんはティア達メイドの6人とマイカを連れて風呂に入っている。


何故かといえば、地球の風呂の知識は与えているとはいえアリス達はまだ14歳。あの子達だけでは普通に心配だからだ。まあマイカとティアは子供じゃないから大丈夫だろうけど。


「なんでって昨日はリアーヌがソウジ様を膝枕したんですから今度は私の番です♪」


「いやそれ答えになってないし。あと自分の部下の前で倒れただけじゃなく、膝枕されながら介抱されてるってなんか情けないんだけど」


今の状況が強敵と戦った結果ならまだしも、俺がやったことといえば転移と収納(ディメンション)魔法(・シェルフ)で城を出し入れしただけである。


「そんなことないですよ。多分ですけれど皆さん逆に安心したんじゃないでしょうか」


「はあ? 自分の国の王が魔力枯渇なんかで倒れて普通安心なんてしないだろ。それどころか逆に不安になると思うんだが」


「それはないですよ。だって倒れるまでのソウジ様はあり得ない量の魔力を使ったり、ほとんどの人が噂でしか知らない魔法を使ったりしたせいでほとんどの人達が驚き……そして少し怖がってもいましたから」


「………………」


あり得ない量の魔力を持ってるだけでも駄目だったか。一応あの駄女神からチート能力を貰った時から人前では強すぎる力を使わないようにしようと思っていたのだが……少し考えが甘かったな。


「ですがソウジ様が倒れたのを見て皆さん安心していたのも確かです。きっとそのことによって『ああ、この人も自分達と同じ人間なんだ』って、思ったんじゃないですかね」


「なるほど。んじゃ、俺の本気は一部の人以外には見せない方が良さそうだな」


「そうですね。もしソウジ様が全属性・全魔法を使えるだけでなく、あり得ない量の魔力を持っているなんてバレたら最悪………この国も含めた全世界があなたの敵になります」


「ああ。人間っていうのは便利さや強さを求めるクセに、ずば抜けた強さを持っている奴が現れればそいつを排除しようとする。誰だって自分達の理解を超えたものは怖いし、恐怖心に勝る利益などどこの世界にも存在しない」


「ええ。ですからソウジ様はクエストなど他の人の目が無いところで本気を出すのは良いですが、人前などでは出来るだけ我慢してください。間違っても全属性、全魔法使えるなんて言っちゃ駄目ですよ」


「分かってるって。もしそのことがバレたら確実に俺の監視と俺の力を利用したい国の連中が嫁としてお姫様とかを送り込んできそうだからな。元一般市民の俺からすれば政略結婚なんてごめんだね」


はあ~、だから本当はミナ達を助けるべきじゃなかったんだよなぁ。


「まあ誰だって普通は好きな人と結婚したいですし、監視される生活なんて嫌ですからね。勿論私もです」


「ちなみにミナは婚約者とか、許嫁とかはいないのか?」


「気になりますか?」


「いや、いるわけないか」


「ちょっとちょっと、なんで決めつけるんですか⁉」


「だってそんな奴がいたらこの国の宰相になんてならないし、俺なんかを膝枕してたら大問題だろ」


逆にそういう相手がいて、俺を使って関係を解消したいとかなら今回の行動はありだが……ミナはそういう人間じゃない。


「う~、ソウジ様って中身は子供なのに頭が良すぎます! 子供はもっと子供らしい方が良いですよ」


「結局俺はミナの中で子供なのか、大人なのかどっちなんだ?」


「う~ん、大人のフリをしている子供ですね」


「さいですか」


「はい、でもそういうところも私は好きですよ。なんというかソウジ様はカッコいいのに可愛いです」


そう言いながらミナは俺の頭を撫で始めたが悪い気はしなったので黙っていることにした。






それから少しすると風呂組が帰ってくる気配を感じ、起き上がろうとすると


「あら? 別にもうちょっとこのままでも良いですのに」


「リアーヌさんとかの前なら別に良いけど、子供達に見られるのは恥ずかしい」


「そうですか? 私は全然気にしませんのに」


「俺が気にするの。あと、あの子達の服とか買いに行かなきゃいけないし」


なんか親が子供の前でイチャイチャしてるみたいで嫌だ。それとマイカになんて思われるか分からないっていうのもある。……ティア? あいつは何でもいいや。


「どっちに行かれるんですか?」


「地球の方。今回買うのはメイド服とかパジャマだから」


「私もソウジ様の世界に行ってお洋服とかを選びたいです!」


「今日は忙しいから今度な。その変わりじゃないが、ほら」


俺はそう言いながらこの城の図面が表示されている画面をミナの前に出し


「それを使って好きに部屋とかこの城のデザインとかを変えていいぞ。ああ、バツが付いてる部屋だけは弄るなよ」


「えっ⁉ そんな簡単に出来るんですか?」


「ああ。こんなことが出来るって世間にバレたら建築業界の奴らが一斉に俺のことを殺しに来るだろうな。何たって材料は無限、デザインは自由自在。そんな奴がいたら仕事がなくなること間違いなし」


「そんな大事なことを私にバラして良かったんですか?」


「何を今更。もう既に俺が危険人物だってことはバレてるんだから隠す必要もないだろ。それに……ミナのことは信じてるって言っただろ」


大体いくらミナが可愛いからって信用してない相手に膝枕なんてさせないし、俺が今回の作戦に賛成するわけもない。


「もちろん覚えています。もう一度言ってほしかっただけです♪」


「何を2人でイチャイチャしておる」


どうやら風呂組が帰って来たらしく、ティアが俺らの様子を見てそう言ってきた。


「俺は関係ないぞ。ミナが勝手にイチャイチャしてきただけだ」


「そんなこと言って~。ソウジ様だって私に頭を撫でられて嬉しそうにしてたじゃないですか」


「そうなんですか? 頭を撫でられるのを嫌う方もいらっしゃいますから私は我慢したのですが……撫でた方が良かったでしょうか?」


「別にどっちでも良い‼ それよりアリス達が見てるからこの話はもう止めろ!」


「お兄ちゃんは頭を撫でられるのが好きなんですか? そしたら私と一緒です!」


おぅ~、ここでアリスが話に混ざってくるか。正直この話はこれ以上広げずに終わらせたかったのだが、この子相手にそれをするのは気が引けるしな。……正直子供は苦手だが初めて話し掛けてきてくれたんだし少し話すか。


「そうなのか。それじゃあ俺も撫でて良いか?」


「はい! さっきはリアーヌお姉ちゃんに撫でてもらったので、次はお兄ちゃんが良いです!」


リアーヌお姉ちゃん…ね。流石メイドというか何というか、子供達と仲良くなるのがお早いことで。俺にもそのスキルを少し分けてくれよ。


「それじゃあ撫でるぞ。………どうだ?」


「お兄ちゃんの手、大きいのに優しくて気持ちいです~」


「うちも‼ ソージ兄ぃ次はうち!」


「えっ⁉」


「ズルい。サキ兄ぃ、私も」


「ソウジ、特別に私の頭も撫でていいわよ」


「ちょっと待て、落ち着け‼ 順番だ順番! 全員撫でてやるから一列に並べ!」


「「「「「はーい‼」」」」」


みんな元気よく返事をした後一列に並び始めたので子供達の目線に合わせる為しゃがんだまま順番に撫でてやっていくと……何故かいきなり顔ではなく、足が見えたため頭を上げると


「おい、なんでミナまで並んでる」


「なんでって、私もソウジ様に頭を撫でられたいですもの」


「お前は昨日ドライヤーの時に撫でてやっただろ」


「昨日は昨日。今日は今日ですよご主人様」


リアーヌさん。あんたも並んでたのかよ。


「2人は後だ。それよりも……」


俺はまだアリス、サラ、リーザ、セリアの4人しか撫でていない。つまりエレナがまだなのだ。流石に1人だけ仲間外れにするわけにもいかないしな。


「エレナは俺に頭を撫でられるのは嫌か? ああ、嫌なら嫌って言ってくれて良いぞ」


「いえ私はご主人様のメイドですから、そんなことお願い出来ません」


多分この子国王(仮)の俺より真面目だぞ。あとメイド長なのに並んでる奴が1人いたからそんなこと気にすんな。


「知ってるかエレナ。この城では俺がルールだ。つまり……」


「えっ⁉ ちょっ、ご主人様‼」


俺はエレナの戸惑ったような声を無視しながら抱き上げ


「そんなメイドとかご主人様とかくだらないことは全部忘れろ! ここに住んでる奴は全員家族だ。だからそんなことで一々遠慮すんな。勿論マリノ王国のお姫様…ミナだってエレナの家族なんだから遠慮しなくて良いぞ」


「も~う、ソウジ様はホント無茶苦茶なんですから」


「別に文句はないだろ? それとも今から窮屈なマリノ王国のお城にでも帰るか? ミナ・マリノ王女」


「うちはかなり緩い方なんですけど、ソウジ様の所に比べたら確かに窮屈ですね」


俺とミナの会話を聞いたお陰か、ようやくエレナは他の4人と同じように笑ってくれた。


はあー、子供の相手は本当に疲れるな。まあ悪い気はしないけど。………って、なんかまた新しい列が出来てるし。次は高い高いしろってか? 俺そろそろ買い物に行きたいんだけど。

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