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第135話:新伝説の可能性

「その様子だとちゃんと外れなくなってるみたいですね。ちなみにミナ様達の方で何か気になったこととかありましたか? もしあるようでしたら今言ってもらって大丈夫ですよ」


「あるよ、大ありだよ! ミナ様達よりも先に俺がありましたよ‼ なんだよ『その様子だとちゃんと外れなくなってるみたいですね』って。呪いの指輪じゃねえんだからちゃんと外れるようにしとけよ!」


まさかとは思うが婚約者の誰かが呪文を唱えたら緊箍児みたいに俺の薬指を締め付けてくるとか言わねえよな?


「でもソウジ君のにはそれくらいしておかないと特別な日以外は普通に外して生活してそうなんだもん」


「何故バレている? みたいな顔をしておるところ悪いがのう、お主がミナ達の婚約指輪を選んでおる時にエレーナが『男性側も含めて全員同じデザインの物にすることも可能ですがどうしますか?』と聞かれた際に自分で『いや、俺はあんまりそういうのをつけるのが好きじゃない云々』言っておったのが丸聞こえじゃったぞ」


「ファッションなどに関しては基本私達がご用意したものを素直にお召しになってくださるのですが、た~まに物凄い拘りをお見せになられるせいで…今回のように私達が多少強引にでも動くようにしないとそれに負けてしまいますからね」


「ということでルナさんにお願いしてその魔石には追加効果として婚約者の誰かが許可を出さない限りは外せないようにしてもらったんですが、どうやらこの選択は正解だったみたいですね」


別にそこまでしなくてもこの子達からつけててほしいって言われたなら流石の俺でも……基本的にはつけてるだろうけど、間違いなく学校に行く時は外してただろうな。


だって指輪とかネックレスをつけてる男ってイケメンor勘違いチャラい男且つ、よっぽど自分に自信がある奴だけだろ?


21年と9ヶ月ちょっとの間彼女がいなかったどころか、最後に女子と真面に会話したのがいつだったかする覚えてないような人間がそんな伝説の陽キャアイテムを身に着けて大学に行くなんて…とてもじゃないけど無理だね。


ここまでの考えを聞いてお前のどこが陰キャなんだよと感じた人がいるかもしれないが、人間というのは自身の立場や周りにいる人達とどういう関係なのかみたいなちょっとしたものが積み重なり続けて自分に自信が持てたり持てなかったりする生き物なのだ。


つまり日本での何の取り柄もないどころか寧ろマイナスな面しかないせいで自分の母親にすら認めてもらえないような一般人以下の『白崎宗司』と、異世界では既に婚約者が四人・立場は一国の王様・国を救った救世主・自国の子供達の憧れ・自分のことを支えてくれている城のメンバーや義理の家族などなど、挙げようと思えばまだまだ出てくる程のものを持っている『ソウジ・ヴァイスシュタイン』とでは比べ物にならないのは当たり前である。


それにいくら『ソウジ・ヴァイスシュタイン』が周りの人達に恵まれて自分に自信が持てるような人間に代わることができたとしても約22年間という長い間自分は駄目な人間だと思いながら生きてきた環境に、しかも一人だけで行くともなれば…多少はマシになったとはいえ弱気な陰キャに戻ってしまうのは仕方ないのではないかと俺は思う。


大体イキリだなんだと言う奴がよくいるけど周りの人間からお前は駄目だダメだと言われ続けてる人間がやたらと自信満々だったら? 逆に貰い物の力をフルに使っていようと何だろうとみんなから認められてるような人間が自信なさげにウジウジしていたら? そんな奴が自分の目の前にいたら気味悪いわ。


まあ何事にも人それぞれ許容範囲のレベルが違うのは当たり前なんだから別に自分の考えるを押し付ける気はないし、誰かにそれを理解してもらいたいというわけでもないんだけど……。






なんて一人で陰キャだの陽キャだの考え事をしているうちに時間がきてしまったので俺・ミナ・リア・ティア・アベルの五人以外はその場に残したままスロベリア近くの丁度よさげな更地に転移。


その後はもう面倒だからということで乗っ取られ中のスロベリア・厄病勇者を呼び出してくれちゃったクロノチアにいる全兵士を魔法でかき集めた後、先ほどと同じような手順を踏んで…現在の時刻は午後2時29分。


「約束のお時間まで残り一分となりました。ぶっちゃけこの負け戦に参加する理由が一個もないどころか、アンタらに恨みがあるであろうスロベリアの皆さんは全員降伏されましたので特に説得する気はありませんが最後にもう一度。……降伏してくださった方はもちろんその関係者に関しましては安全を保障いたします。残り四十秒程になってしまいましたがもう一度よくお考えください」


『……おい坊主、なんか今ユリーから連絡がきたんだけど婆ちゃんの所に患者として送っておいたスロベリアの兵士達でこの戦争を自分の目で見たいって言ってる奴が何人かいるら―――人が話し終わる前になんか該当者らしき奴らがきてるし』


クロノチアは小国なうえ自国の防衛等は現代兵器を隅々にまで配備して出来る限り人を戦地へと送り込んでいたのと、その防衛に回されていたスロベリの兵士は全員降伏してくれたお陰で一気に殺す対象が減ったとはいえ未降伏者は全部で50人弱。しかも残ってる奴に限って結構若い。


チッ、まさかとは思うけど勇者召喚が出来る時期を逆算してそれに向けて幼少の頃から洗脳教育でもやってたんじゃないだろうな。


いや、しかしこの世界での人間の寿命は魔法の存在が影響してかそんな極端に短いわけでもない。となるその可能性は考えづらいのに加えてブノワの親父によれば少なくともここ数百年間で悪い噂を聞いたことがないというのを組み合わせると……さっぱり分からん。


はーーーあ゛、いくらこの世界がネットどころかテレビがないのはもちろん情報統制をしようと思えば簡単にできそうとはいえそれじゃあ納得いかねえんだよ! 絶対に何かがおかしいのに、今の俺には何がおかしいか全く分かんねえ‼


「……んだ、その手は?」


『お主が今考えておることならわらわもずっと気になっておったからイライラする気持ちは分かるがのう、まずは目の前のことに集中せい。ということでなにか武器を貸してたもう』


「だったらお前がさっき没収した二本の剣を使えよ。俺はムラマサと銃の二つで戦うから」


ちなみに銃はティアに作ってもらったのだが、デザインのモデルはデザートイーグルらしく結構大きいのに加えて色は黒と銃身の部分に赤い横線が複数入っているので滅茶苦茶カッコいい。


とここまで銃だ、DEだとか言ってきたが仕組みとしては使いたい魔法を思い浮かべながら魔力を送り込めば銃側で勝手にそれを封じ込めた弾を生成してくれるのでリロードは魔力を流し込むだけだったり、ただデザインのモデルにしただけなので反動や弾詰まりなどは一切ありません。


というか俺達はこれを銃と呼んでいますがぶっちゃけ拳銃の形をした魔道具ですので『あそこが違う』だの『これはおかしい』などというご意見は一切不要です。……まあこの世界にそんなことを言ってくる奴がいたらビビるけど。


『動きやすさなどを考慮して小さい体のまま戦うことをお主は知っておるというのにこのデッカイ剣を、しかも二刀流で使えと言うのかの? わらわの様な華奢な女子にかの?』


「よく言うぜ。普段から木刀・ムラマサ&ムラサメ(隠していたのがバレた)・その剣を使って二刀流相手の模擬戦をしたり暴れたりしてるくせに。自分のことを華奢だと言いたいなら初めて会った時にリアが持ってた新米用の短い魔法の杖を……なにその近未来っぽい刀は」


しかも刃の下半分は刀らしく銀色なのに、上半分は黒色+一部水色で色付けされてるとかクッソカッコいいんですけど。ってか鞘は鞘はでそれ本来の形を残しながらも近未来感のあるデザインでカッコいい! 俺も欲しい‼


『これですか? これはご主人様からムラサメという刀を取り上げたとイリーナ達が私のところに持ってきたため興味本位でティア様相手に模擬戦をしてみたのですが、刀に付与された能力を一切使わなかったにも関わらず凄く扱いやすかったのでその…ちょっと自分専用に作ってもらいました』


「魔法が一番得意な子がティア相手に近接戦を挑めるとかどうなってんだよ。普通に俺より強いじゃん」


『超一級の魔法を使いながら同時に近接武器を使って一級の戦闘を行えるリアーヌと、一級の魔法を使いながら同時に近接武器を使って超一流の戦闘を行える姫様の最強タッグってのは結構有名だったんだが……まさかたった二人でこのダッグどころか伝説の四人を超える可能性を持った奴らが現れるとは思わなかったけどな。クソッ、俺は親父と同じ運命を辿るなんて御免だぞ!』


『うちには普通の人間で、しかもあの若さで当時のリアーヌと同等かそれ以上の魔法を既に使いこなせているセリアさんというソウジ様のお嫁さんもいますからもしかしたらアシルよりも大変かもしれませんよ』


どうやらティアもこの話を理解してるってことは結構有名な伝説なのか? まあ何となく分かるというか、分かっちゃったけど。

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