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第122話:ご挨拶

なんでくれたのかは知らないが貰えるものは貰っとく派の人間なので早速ルナがくれた石の登録者を自分に設定し


「んじゃあ俺はそろそろ学校に行くけどどうするんだ? もし帰るなら送ってから行くけど」


「いくらこっちに来る時は使える力が制御されているとはいえアンタなんかに頼らなくても普通に帰れるわよ」


「誰もお前の心配なんかしてねえ。マイカに聞いたに決まってんだろ」


大体俺に送ってもらわなきゃ自分の家に帰れないんだとしたらどうやってここまできたんだって話になるだろうが。


「私的にはソウジ君が学校に行ってる間に食器とかの後片付けをしちゃいたいんだけど…駄目かな?」


「帰ってきてから俺が全部やろうかと思ってたから助かるっちゃ助かるんだけど…いや、何でもない。じゃあ悪いんだけどお願いするわ」


最初は本当に自分でやろうと思ったのだが授業が終わった後に少し買い物をしたかったのと、これは俺の勘違いだったら大変申し訳ないのだが、もしかしたらマイカも他の三人と同じように普通の恋人もしくは夫婦っぽいことをしたいのかもしれないと思い今回は素直にお願いすることにしたのだ。


まあマイカという一人の女の子にあり得たはずの普通の生活というものを奪ったのは99.99%俺が原因なわけだし、そう考えるとミナ達と接する時とはまた違った方向で気を付けなければいけないのは間違いないけど。


とかなんとか考えながら学校に行く準備を済ませ玄関へ向かうと、さも当たり前かのようにマイカが後ろをついてきて…これまた当たり前かのようにいってらっしゃいのキスをされた。






その後俺は学校に行き、三限の授業を受けた後予定通り買い物を済ませ家に帰ると一通り片付けが終わったらしいマイカがエプロンを外した状態の姿で出迎えてくれた。


いつもは城がデカ過ぎるせいで外から帰ってきても玄関でお出迎え、なんてことは滅多にないので実は結構嬉しかったのは内緒である。まああの家で毎回そんなことをされても逆に申し訳なくなるだけだけど。


とかなんとかがあったのち、出来るだけ今日中に行っておきたいところが何ヶ所かあるのでそのまま俺は玄関でマイカが荷物をまとめ終わるのを待つついでに恰好を異世界Ver.に戻し、直接最初の目的地である孤児院へと転移した。


したのだが、扉を開けて中に入るやいなや一応ミナに頼んでアポを取っていた為あらかじめ来る時間が分かっていたせいか子供達が凄い勢いでこちらに向かって走ってきたかと思えばそのままマイカが奥の部屋へと連れ去られていった。


その為一人取り残されてしまった俺はどうしようかと思っていると少し遅れて院長さんが申し訳なさそうな顔をしながら現れ、取り敢えず応接室へ案内すると言われたので一緒に歩いていると


「すいません陛下。子供達ったら昨日の婚約についての発表を知った時からマイカちゃんをお祝いするんだって聞かなくって」


「別に何も気にしてませんから…と今の私が言っていいのかどうか分かりませんが、気にしていないのは本当ですので」


政治的な関係で仕方なかったとはいえ育ての親である院長さん達に挨拶をする前に婚約を発表するというお互いの立場など関係なく普通に失礼なことをしてしまっている身なのでそう言うと


「今のこの国の状況を見れば陛下達のお考えは何となく分かりますのであまり気にしないでください。それに昨日のうちにミナ様が私達の所へご挨拶に来てくださいましたし、本当は普段のお仕事に加えクロノチアとのゴタゴタで大変お忙しいでしょうにわざわざこうやって足を運んでくださったのですから、なにも言うことなどありませんよ……。さぁ、どうぞおかけください。今お茶を入れますので」


「そんなお気になさらず。本当に私は院長さん達に怒られても文句を言えない立場なんですから」


言い方は悪いけどハッキリ言ってしまえば今回俺達はマイカとの婚約を使って政治的行為を行ったのだからマジでこの人達に殴られてもおかしくないレベルのことをやっている。


いや別に俺がやったわけじゃなくミナ達が勝手にやったんだけどね。一応マイカには事前に許可を取っていたらしいけど。


「お祝いする気持ちはあれど本当に陛下に対する怒りなどはないのですが…ではこうしましょう。私とここでお茶を飲みながらどうしてあの子と婚約なさることにしたのかのお話をお聞かせください」


あんまり他人に自分の恋愛関係について話すのは好きじゃないんだけど、天地がひっくり返っても断れる立場にはなれないので俺は出してもらったお茶を一口飲んだ後、昨日の謁見の所から話し始めた。






「とまあこんな感じですかね。ここだけの話最初は自分のことで頭が一杯だったせいであれだったんですけど、時間が経つにつれて本当にあの子を宰相なんて過酷な仕事をやらせていいのか? とか色々考え始めて段々不安になってきたんですけど、蓋を開けてみれば面接を担当したミナが驚くほどに肝が据わっていただけでなく仕事の面でもかなり優秀。昨日なんか全身血まみれでかなり怖い顔をしていたはずの俺に向かっていつも通りの態度で手を振ってきたかと思えばそのまま真正面から抱き着いてきて告白ですよ。挙句の果てには自分がフォローしなきゃと思っていた年下の子に慰められて……。こっちの世界にきてからというもの他人に頼りっぱなしですよ、今までは何でも一人でやってきたはずだってのに」


「なるほど、そういうことでしたか………。陛下」


「はい?」


「先ほども言いました通り私達はお二人の婚約については何も言いませんし、心からお祝いさせていただきます。ですがその代わりに私と一つだけ約束していただけませんでしょうか?」


なにこれ、もしかしてヤバいパターン? 竹から生まれて月に帰るお姫様の物語みたいに五つの宝のどれかを持って来いとか言わないよな。ワンチャン龍の頸の五色の玉ぐらいなら探せばありそうだけど。


「ど、どうぞ」


「ではお言葉に甘えて……。今後マイカちゃんが陛下のことをフォローしようとしてくれた時は必ずそれを受け入れてください。決してそれを拒んではいけませんよ」


最後のあれは完全に口を滑らせたとはいえ一瞬でここまで見抜くとは恐れ入る。流石は孤児院の院長さんだ。


「これ以上ここにいると俺の秘密…ではないですけど今まで一人で隠し通していたことが全て暴かれそうなのでそろそろお暇させていただきましょうかね」


「それは少し残念ですね。まあそれに関してはマイカちゃんが頑張ろうとしているみたいですし義母の私達は大人しくお二人の成長を見させていただくとします」


「そういうことでしたら何時でも城の方に来てください。院長さん達が来てくだされば子供達が喜びますし、何よりあの子達がうちに来てからのお話が出来ますからね」


この前なんか思春期がきたらしくて酷い扱いを受けたからな。全部俺が悪いんだけど。


「では、陛下達のお仕事が一段落したらお伺いさせていただきますのでその時はよろしくお願いします」


「ええ、すぐに片づけてしまいますんで…それまでは皆さんでこれでも食べて待っててください」


そう言い終えた後俺は収納ボックスから学校の帰りに買ってきたお菓子をいくつか出し


「こっちの紙袋に入ってる箱が院長さん達大人の分、んでこっちの段ボールに入ってるのが子供達の分です。段ボールに入っている物は私の世界の子供が食べるようなものばっかりですのであんまり高くはないんですけど、結構多めに買ってきたんでそこは許してください」


多めとか言っておきながら孤児院にいる子供達全員に配ったところで普通に一ヵ月はおやつ代に困らないくらいはあるんだけどね。流石に大人向けに買ったやつは値段が値段なだけにそこまでの量はないけど。


「そんな、こんなにいただけませんよ。それによくは分かりませんがこれってちゃんとしたところに持って行けば想像を絶するような値段になるんじゃないですか?」


「まあ、これらは全部私の世界の物ですから想像を絶するどころかこちらが提示する金額を出してでも買いたいと言い出す金持ちも出てくるでしょうね。近いうちに買った奴は後悔することになるでしょうが」


というのも今セレスさん達経済部は一部の地球産の商品を商人相手に売り出そうとしているのだがその中にお菓子も入っていたりする。なので個人的にはそれらを売って恨みを買うより自分達で美味しくいただくことをお勧めしたのち、俺は後でマイカを迎えにくると言い残して次の目的地へと向かった。

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