どこかの街 街外れ 1:屋敷の宝
すいません、書いていたお話が納得できなかったので別のお話を書くのに時間が掛かりました。今回は短めです。お話の長さは5話くらいを予定してます。
月明かりに人影が2つレンガ造りの屋敷の上に影を落としていた。その屋敷は広く鉄の柵で囲まれており庭には猛犬が放たれ屋敷の外側では4人の見回りが巡回している。厳重な屋敷の警備を難なく突破し2人の少年は屋敷を一望できる屋根に腰を下ろす。
「凄い警備が厳重だね。やっぱりここにお宝があるのかな?どんな物だろう?」
「当たり前だろう?街で情報収集したんだ。間違いない」
悪い笑みを浮かべる赤髪の少年に黒髪の少年は苦笑を浮かべる。
「本当かどうか分からないのに?」
「本当かどうか分からなくてもこんなにも厳重なんだ、高価な宝の1つや2つきっとあるさ。おっと大体の屋敷内の人の動きが分かった。この真下の部屋には誰もさっきから入ってない」
「よく分かるね」
関心と呆れのないまぜな表情で黒髪の少年は言う。
「耳がいいんだよ。じゃあこっから入るぞ」
「大丈夫かなあ、このお屋敷の門からばっちり見えると思うんだけど」
赤髪の少年は聞こえていないのか黒髪の少年を置いて先に屋根から飛び降りると人気のない部屋のベランダに着地する。仕方なく黒髪の少年も後に続くと赤髪の少年はさっさと窓の鍵を開けて窓を開ける。
「相変わらず早いね」
「まあな」
小声で2人は言葉を交わすと物音を立てないように部屋の中へと入る。中には人が最低限住めるような調度品があるだけで他には何もない部屋だった。暖炉の前にはイスとテーブルが置いてあるがあまり使われていはいないようで少しだけ埃を被っている。そして一際目を引くのは大きな寝台だった。寝台にはぎゅうぎゅうと大小様々な動物の人形が置いてあり、そこだけこの部屋にそぐわない雰囲気を醸している。
「いっぱいの人形だね」
「そうだな、でもそれ以外何も無さそうだな。屋敷の中を見て回ろう」
「うん」
少年達が部屋の扉に近づくと何かの物音が後方から聞こえ2人が振り返る。すると寝台の上で大きな獅子の人形を抱きかかえる小さな女の子がじっと2人を見ていた。
(いつからいた?)
(多分大きな人形の後ろに隠れてたんだよ。ほら顔を隠したらいるとは気づかない)
(なるほどな)
2人がじりじりと後退し扉に手をかけようとする中、自分と同じくらいの大きさの人形を抱えながら寝台から女の子が降りようとして地面にペタンと尻餅をついた。それでも獅子の人形を離さず抱え2人の方へ駆け寄ろうとする。が途中でつまずき人形ごと地面に突っ伏した。2人の少年は見ていられず女の子に近寄ると女の子は焦って起き上がり獅子の人形の後ろに隠れる。
「君、大丈夫?転んだ時怪我しなかった?」
黒髪の少年が声を掛けるとすすっと獅子の人形の後ろから顔を出しコクコクと頷く。
「そっか良かった。君のお名前は?」
「リージュ」
「リージュ、大人びたいい名前だね、僕は……」
「あなたは王子様?」
「え?」
「王子様お願い、私を攫って」
「王子様?リージュを攫うって?」
「お願い黒い王子様、ごほっごほっ、私を」
リージュはそこまで言うと気を失ってしまい倒れこむ。慌てて黒髪の少年が抱えるが黒髪の少年はリージュの体の軽さに驚く。リージュを少年は寝台に寝かせ「今度は門から来るよ」と言い残すと窓際から扉に向けて透明なボールを投げつける。物音に気づいた者が部屋の中に入ると誰もおらずリージュの様子を見て大急ぎで医師を呼びに行った。