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港町 アブド 4:追われる理由

ゴゴゴゴゴと大地を揺るがし削りとりながらワームは3人目掛けて襲いかかる。腕も足もなくただ食らいつく勢いだけで3人を追いかける。3人は二人三脚のような体勢でひたすらに逃げていた。


「まだ追ってきてるよ!」


「なんで俺らだけ追いかけるんだ!いい加減諦めねえかな!」


気絶したペンルトを引きずりながらドロとウツワはひた走る。右へ左へくねくねと曲がりながら走り続けるがまるで目でもあるかのようにワームは正確に2人を追いかける。


「このままじゃ拉致があかない。ドロ!ペンルトさん持ってて!」


「持っててって、うわっ!おいウツワ待て!」


ウツワはペンルトを離しワームに突っ込む。ワームが目前に迫ると軽々と跳躍し背中に着地する。すると短槍を構え思い切り背中に突き刺した。


「え、刺さらない!」


ウツワが思い切り突き刺した短槍はブニブニの皮を押しているだけで貫くことができなかった。ウツワはもう一度思い切り短槍を突き刺すがやはり貫くことができず逆にその反動でウツワは背中から弾かれるように吹き飛ばされた。


「うわーー!」


「ウツワーー!」


ドロは走りながらウツワの飛んだ方角を見るが視界に迫ったワームの口内が見え速度を上げ前を向く。


「くそっ!これじゃあウツワがどこに飛んだか分からねえ。おい!おい!起きろペンルトいつまで寝てんだ!」


「ううん?やあドロ君、なんだか怖い夢を見てしまったよ。口の中が牙でギザギザの化物がこっちに襲いかかって来るんだ」


「何言ってんだ!夢じゃねえよ!見ろよ!」


ドロの持ち方は片方の手でペンルトを抱える形で持っているのでペンルトの視点でいえば下を向けばワームを見れる位置になる。


「見るって?なんだか地鳴りがすごいな。ひっ!」


ペンルトは視線を下に向けると自分が今話した化物がこっちに迫ってきている。


「夢じゃなかった」


そう言い残すとガクッとペンルトはまた気絶した。


「また気絶した。どうすりゃいいんだ?ウツワを追わないところを見れば俺達3人を喰おうとして追ってる訳じゃないのか?いやこっちの方が数が多いからか。それにウツワはロボットだから数の勘定に入ってない可能性もあるな」


はあっとドロは溜息を吐きながら走り続ける。


まだいける。ドロは足に力を込めてもう一段階速度を上げワームを引き離す。木々がどんどんと少なくなり断崖絶壁の先に真っ青な海が見える。ドロはギリギリのラインで直角に曲がると断崖絶壁に沿って走り続ける。速度を落としきれなかったワームはそのまま断崖絶壁に突っ込み真っ逆さまに海へと落ちていった。


「落ちた……。これで死んでくれると助かるんだけどな」


ワームが落ちた先を見つめながら小走りで走り続ける。大きな水しぶきが上がった後には浮かんでくる物はない。だが真っ青に澄んだ海の中を海蛇のように体をくねらせドロ達を追うワームの姿があった。


「そんな簡単にいくわけないよな」


ドロは小走りからまた速度を上げて走る。森の中から同じ速度で追いつく人影が見えドロはホッと表情を緩めた。


「まああれくらいで壊れる訳ないな」


「当たり前だよ。これでも頑丈なんだよ?そうそう高いところから地面に落ちたって傷なんてつかないさ」


ウツワがドロの隣に走り寄り軽口を叩き合う。


「ワームはこっちを追っているけど水の中だからか襲ってこないみたいだ。大体の位置が分かったらまた突っ込んでくるよ」


「その前に何とかする方法を探さないと後々に支障をきたすな。」


「ドロは後どれくらい保つ?」


「精々10分。ペンルト持たなきゃもうちょっといけるかな」


「じゃあ僕が持つよ。それで作戦は?」


ドロはペンルトを軽く放る。それをウツワがキャッチしドロと同じように脇に抱える。


「作戦って程じゃないんだが確認したいことがあるんだ。」


「確認したいこと?」


「ああ。悪いけどウツワ。囮になってくれないか?」


「囮?どっちに走ればいいの?」


「このまま真っ直ぐだ。それでワームがウツワを追ってくれれば何故追われるか分かる」


「了解。じゃあワームに居場所を知らせるよ。きっと走ってるせいで居場所がわかりづらいんだ」


ウツワは海沿いに寄ると立ち止まる。ドロは森の中に入りウツワを後方に置きながら今まで進んでいた方向に走る。ドロが少し離れた瞬間ウツワ目掛けてワームが海から飛ぶように突っ込む。ウツワは飛び退り避けると走り出す。ワームはビチビチと体をくねらせ体勢を整えるとウツワを追いかける。ドロは森の中からその様子を確認しウツワに走り寄る。


「確認できた。多分追われてる原因は俺達が担いでいたものだ」









更新遅れました。今回短めです。今日もう1回出来たら更新します。

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