第3話 スーちゃん師匠の過酷(?)な修行①
第3話 スーちゃん師匠の過酷(?)な修行①
朝起きたら洞窟だった。
幼女でスライム(?)のスーちゃんと出会った。
魔法の修行してみる?と誘われる。←いまここ
うん、とりあえず状況を整理してみたが全くわからん。
「俺でも使えるの?」
当たり前だが魔法なんて生まれてこの方使ったことはない。当然の疑問をなげかける。
「大丈夫じゃない?あなたの魔力、ものすごく多いし。多すぎて魔獣が怖がって近寄ってこないでしょ?」
ん!?魔獣って何ですか?と心のなかで呟きつつもスルーし、せっかくならとスーちゃんに修行をおねがいすることにする。
「それならお願いしてもいいですか?」
「もっちろん!!ずっと暇してたし、でも私の修行は厳しいわよ」
お得意のえっへんポーズで告げるスーちゃん。いちいちかわいいなチクショウ。
「ではお願いします。スー師匠!!」
「はわぁっ!え?師匠?」
顔を真っ赤にして驚く師匠。俺をキュン死にさせる気か?
「不味かったですか?一応魔法を教わるわけですし」
「え?ぜんぜん、ぜんぜん悪くないわよ!そう、師匠ね、ししょ・・・(ごにょごにょ」
なんか身もだえて照れる師匠。顔も真っ赤だ。スライムも顔赤くなるのか?幼女に擬態してるからか?しばらくぶつぶつ言うかわいい幼女を観察する。
「いいわ!私があなたの師匠になったげる!
私の修行は厳しいんだから!覚悟しなさい!」
得意技のえっへんポーズだ。
かわいいな~
ぎゅってしたら怒られるかな?
スーちゃんてより、スーたんって感じだな。
・・・
・・
・
「ねえ、聞いてるの?」
はっと我にかえる。いかんいかん。師匠のかわいさに妄想の迷宮に入ってしまった。
「ぜひお願いします。スー師匠。」
なぜか、うむうむとうなずき満足そうなスーちゃん。
「で、まず何をすればいいですか、師匠」
「そ、そうね。まずは魔素を感じるところから始めましょうか。魔法を使うには魔素を感じ、魔素を操り、現象を起こすの。身にやどす魔素の多さを魔力といい、魔素を介していろいろな変化を生じさせることを魔法と言うの。これは・・・」
師匠おしゃべり好きだな。一向に止まらないや。まあとりあえず魔素ってものを感じられないと話にならないらしいのでその修行から始めるらしい。
「・・・と世界にあふれる魔素を・・・」
まだしゃべってる。
「・・・そも、この世界には精霊エストや・・・」
9割がた何いってるのかわからない・・・
師匠はとっても楽しそうだ。
放置して観察してもよかったのだが、終わる気配がみえないので声をかけてみる。(神がどうこう、魔王がどうこう、心理の探求が、何て聞かされてもさっぱりだ)
「師匠!魔素を感じる修行ってどうやるんですか?」
「え?そうね、じゃあ早速やってみようか。」
「とりあえず、魔素を感じてみましょうか。私の手を握って!」
かわいいおててを差し出してくるスーちゃん。
「ふ、ふあい!」
しまった。あまりにもとうとつに師匠との肌と肌の接触が叶ってしまい、驚きと興奮のあまり声がうわずる。
だって師匠、天使だぜ?
かわいいという形容詞じゃ形容できない天使だぜ?
彼女、なにそれ美味しいの?
女の人?あぁ、母ちゃんとか時々職場に掃除に来るおばちゃんでしょ?
かわいい幼女なんて架空の存在だと思ってた。
まあ半分は冗談でも、女性に対する免疫なんて皆無の俺には・・・
なんか悲しくなってきた。
とりあえず手を伸ばしてみる。
こら!震えるな、俺の腕!!
通報事案になってしまう・・・
一生に一度あるかないかの出来事なんだ・・・
「もう、そんなにおびえなくてもいいでしょww」
そういって師匠が俺の手をつかむ。
師匠の手から暖かい温もりが伝わってくる。
ぷにぷにの柔らかい手に、今俺の手が包まれている。
「はわぁー、天国かここは」
「え、洞窟だよ?」
不思議そうに首をかしげ俺を見つめる師匠。
いかんいかん。あまりの出来事に我を忘れてしまった。
「大丈夫?」
心配そうに見つめてくる師匠。
「すみません。大丈夫です!」
「そう?ならいいけど。とりあえず魔素を体に流してみるからどんな感じか教えてね。」
すると師匠は目を閉じてなにやらんーっと念じ始める。
ぷにぷにの手かわいい。
んーっていう師匠かわいい。
「どうかしら・・・」
「ぷにぷにです。」
「ぷにぷに?」
はっ、また我を忘れてしまった。
「すみません。よくわかりません。」
「そうね、リョウマの魔力ちょっと多すぎ。もう少し魔素の流す量を増やしてみるわ。」
そういってまたんーっと念じ始める。
「どう?」
「まだよくわかりません。」
「どう?」
師匠は念じる力を強めていく。ぷにぷにの手にも力が入っていくのがわかる。
「すみません」
「まだダメなの?」
んんーーーー、師匠のおでこに汗が浮かび始める。
「どう?」
「おれ、才能ないんでしょうか・・・」
師匠はさらに力を込める。師匠の手が青白く光始めた。
「まだ?」
「すみません・・・」
さらに光が強くなる。あまりに眩しくて目をつむりそうになったとき、師匠から流れ込んでくるものを感じた。
小さな透明の粒のようなものが師匠の手から俺の手に流れ込んでくる。
「師匠!なんかちっちゃい粒みたいなのが流れ込んできます!!」
驚きと興奮でうわずったこえで師匠に告げる。
「はぁっ、はぁっ。やっと届いた。それが、、、魔素よ。」
肩で息をしながら師匠がいった。
「し、師匠。大丈夫ですか?」
「ええ、なんとか。久しぶりに魔素を全力で動かしたわ。」
「やっぱり俺には才能ないんでしょうか。」
「逆よ逆!あなた、魔力が強すぎるの。だから魔素に対する抵抗力もつよくて、私の全力でやっとよ。はぁっはぁっ・・・」
「そうなんですか。なんかすいません。」
「で、どんな感じだった。」
「師匠の手から小さな粒が流れ込んでくるのがわかりました。」
「そう。それが魔素よ。あなたの体にもそれがたまってるわ。感じられる?」
あの小さな粒が俺の体に?
さっきの感覚をもとに手の先、足の先から体の至るところに神経を集中させてみる。
「すみません、師匠。なにも感じません。」
もう一度、師匠から流れ込んできた小さな粒を感じてみる。まだ右手の先に残るそれはゆらゆらと揺れて俺の手のなかをゆっくり動いている。手のなかに入り込みそうになるとふわっと離れ、漂ってまた入りそうになってふわっと離れをくりかえしている。
手で捕まえてみようとしても拒絶されるように逃げてしまう。しかし少し離れるとまた引き寄せられるように手に近寄ってくる。
なんなんだろう。ふわふわ漂うそれはとても不思議な感じだ。
「師匠から流れ込んできた小さな粒がふわふわ漂っているのは見えるんですが、自分の体には一切感じません。」
「え?魔素が見えるの?」
「魔素かどうかはわかりませんが、小さな透明の粒々がふわふわ浮いています。」
驚いた様子で師匠はなにかブツブツいっている。
これが俺の体にもあるのか?目を凝らしてもなにも見えないし、感じられない。師匠はなにか考え込んでいるし、どうしたものかと色々試してみる。
数分の実験のすえ、魔素には俺の思考が反映されることに気がついた。指の先に集まれと意識を集中させてみるとふよふよと指の先に集まっていく。気を抜くとまた手の回りを漂い始める。
人差し指の先に集めた粒を中指の先に、そして薬指の先にと・・・動くよう念じてみる。
思いどおりにうごくようだ。
なんだこりゃ。
粒々を動かして遊んでいるとふと気がついた。
目を凝らしてみてみると周囲の空間にも粒々が漂っていた。
師匠の回りにはたくさん粒々が集まっている。
俺の体には?
なにも感じないな。
やっぱり才能ないのかな・・・