第2話 俺は紳士でした
第2話 俺は紳士でした
「え?ここは洞窟のなかですよ?」
・・・
言葉は続いてくれなかった・・・
うん、まあそうだよね。取り敢えずスライムさんに現状を報告してみる。朝起きたらここの洞窟にいたこと。なにもわからずさまよっていたら、スライムさんを見つけたこと。観察していたら急に声をかけられたこと。
するとスライムさんが言うには急に何かの気配がして視線を向けると俺がいたらしい。ビックリして様子を見たが、襲ってくる気配もないので声をかけてみたらしい。
別に隠れていたわけでもないのになんでだろう。まあいいや。もう少し質問をしてみる。
Q:洞窟に出口はあるのか?
A:一応あるらしいがすごく遠いとのこと
Q:スライムさんはここに住んでいるの?
A:もともと各地を旅していたらしい(スライムが?)。今はこの洞窟が気になりしばらく探検していたらしい。スライムになっているのも洞窟で暮らしやすいように自ら変化したらしい。
Q:ここは日本ですか?
A:ニホン?なにそれ?確かドルギ山とかって名前の山の中腹にある洞窟よ!とのことらしい・・・
うん、よくわからん。取り敢えず知っている日本はないらしい。聞いたこともない山の名前、謎の生物スライムさんの存在からも別の世界に入ってきてしまったのだろうか。
はぁーーー、とため息をつき考え込んでいるとスライムさんが聞いてきた。
「あなたはこれからどうするつもり?」
「わからないことが多過ぎてなにも決められないよ。」
「そうよね!それならしばらくでもいいから私と一緒に行動しない?」
「え?」
「この洞窟、いろいろな魔獣がすんでいるんだけれど、だれも話が通じなくって・・・。無理にとは言わないけど、どうかな?」
何故か、したからおねだりしてくる幼女とスライムさんがかぶってしまう。
(※俺はロリコンじゃないぞ?)
「俺もそうしてくれると助かる。よくわからないことばっかりだし。」
「うん、じゃあ決まりね。よろしくね!リョウマ」
「こちらこそ、よろしく!」
「それにしても、リョウマってこういう人が好きなの?」
スライムさんがパーッと光輝いたかと思うと姿形は先ほど想像したかわいい幼女の姿に変わっていた。
「ろ、ろ、ろ・・・ロリコンちゃうわ!」
思わず叫んでいた。
スライムさんは 「ん、ロリコン?なにそれ?」とニコニコして聞いてくる。
「てか、その姿なに?」
俺は慌てて聞いてみる。どうやらスライムさんは俺の思考がある程度読めるらしい。それでスライムさんに重ねられた幼女の強いイメージを読み取って変身したらしい。とっても強く小さな女の子のこと思ってるから変身してみたの とスライムさんはいう・・・。
いや、違うよ?
またまた、ご冗談を・・・
とっても強いイメージって・・・
ぼく、ロリコンじゃ・・・
見つめ合う幼女とロリコン(仮)
まあ、おかげでスライムさんはどストライ・・・げふげふ、とても可愛らしい女の子になっていた。イメージに合わせて変化しているので、服ももちろん着ている。
・・・
・・・・・・
どうして全裸で想像しなかった!!!!!
なんて紳士の俺が思うはずがない・・・
本日2度目のorz姿勢。
後悔先に立たず、覆水盆に返らず・・・
むなしいことわざたちが頭の中を通り過ぎて行った。
「ところでなんて呼んだらいいかな。」
スライムさんとずっと呼ぶのもあれなのでたずねてみる。
「別になんでもいいわよ。今までいろんな呼ばれかたしてきたし。」
マジで何者?なんて思いつつ
「じゃあ、スーちゃんでもいい?」
すごく適当に決めてみた。スーちゃんはOKと気軽に返してくれたのでこれで決定。
「私はリョウマのことなんて呼んだらいい?」
うーん、幼女に呼ばれたい名前か・・・
「別にリョウマでいいよ。ずっと友達からそう呼ばれてたし。」
「そう、わかったわ。“お兄ちゃん”じゃなくてもいいのね。」
そんなこと強く思ってません・・・
ちょっと心によぎっただけです・・・
「うん・・・。リョウマで・・・」
「わかったわ。」
ちょっと後悔・・・なんてしてないやい。
「そういえばスーちゃん、さっき俺その辺の苔食べちゃったんだけど大丈夫かな。」
「大丈夫だと思うわよ。その苔、治癒の秘薬に使われるようなものだし。そのまま食べても軽い毒やマヒみたいな異常は治してくれるし、もし薬を作れたら、ちぎれた腕も治せちゃうんだから!」
わ~お、ぶっ飛び性能の苔ですねww
RPGでいえば最後の方に出てくる回復薬の原料的なものですか?
続けて人に関することを他にも聞いてみたが、スーちゃんは人に関する知識はあまり持っていなかった。スライムだし当然と言えば当然なのだろう。
「じゃあ、この洞窟にはどんな生き物がいるの?」
「私が出会ったのは、コウモリとかヘビとかかな。時々、地面からミミズが出てくることもあったわよ。」
うん、取り敢えず蛇に噛まれなきゃ大丈夫か?
「スーちゃんは今まで一人で洞窟探検してたんだよね?大丈夫だったの?」
「私?あれくらいのやつなら余裕余裕www こう見えても私結構強いんだからね!」
エッヘンポーズで豪語するスーちゃん。ちくしょうかわいいな。全く強そうに見えないが・・・
「あー、疑ってるんでしょう!ちょっと見ててね。」
そういってスーちゃんは目をつむり、手を前にかざす。
手の前には光の粒がスーちゃんの体や空気中から集まってくる。きれいだなーなんて思った次の瞬間、ゴゥという音とともにサッカーボール程の火の玉がまっすぐ飛んでいく。
あっけにとられて反応できずにいると
「どう?すごいでしょ!」
と、満足げな表情で聞いてくる。
「え?今のなに?」
「何って、魔法だよ?知らないの?おっくれってるーーww」
何から遅れてるのかよくわからないが、スーちゃんは魔法を使えるらしい。そういえば、さっきいっていた心を読んだり気持ちを伝えたり出来るのも魔法なのだろうか。是非とも使えるようになりたいものだ。
「魔法って俺でも使えるの?」
「さあ・・・、練習してみる?」