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Episode:44

>Sylpha


『学院長のオーバルです。先ほどの作戦を少々変更します』

 なぜかミルが通話に乱入したあと、しばらくの間を置いて、再び学院長が話し出した。


「よかった、学院長やめる気になったんだ」

 隣でディオンヌがつぶやく。


「いくら劣勢だからって、チビたちを門に押し込んで死なせるんじゃ、サイアクすぎよね」

「ああ」

 実際にはそうなるのは一〜二割らしいが、それでも納得できるものではない。


『本校に、門を開けられる生徒が存在しました。また、救援要請のルートも確保できました。ですのでまず彼に門の開放と、本土への救援要請をさせることとします』


 誰だろう、と思う。

 タシュアはやれば出来そうだが……正直、やるとは思えない。ルーフェイアかとも思ったが、それなら「彼」ではなく「彼女」だろう。


――イマドか。


 学年主席で桁外れのルーフェイアがいるため、陰に隠れてあまり知られていないが、次席の彼も相当だ。

 それに彼はルーフェイアとは別の意味で、何かいろいろ変わっているところがある。何というか、普通の人間とは違った世界にいるのだ。


『門を開けて救援要請を出してから、一時間だけ待ちます。その間何か状況が動いたという報告がなければ、当初の予定通り低学年から、門を使って脱出します』


 ディオンヌがため息をついた。


「まぁしょうがないか。脱出とかやりたくないけど、救援がダメだったら仕方ないものね。

 まさか、玉砕するわけにいかないし」


 彼女の言うとおりだった。

 選びたくはないが……選択肢がない。

 最後まで戦うのもひとつの方法だが、勝てる見込みは少なかった。そしてもし負ければ、低学年の子たちも終わりだろう。


『敵軍は編成を立て直して、再度の侵攻を試みると思われます。こちらも編成をし直して、迎え撃ちます。

 いずれにせよ、あと長くても二時間です。そのあいだ上級生は、侵攻を何としても防いでください。

――この学院に、未来を!』


 そう締めくくった学院長の言葉に、ディオンヌが笑った。


「言ってくれるじゃない。これじゃムリでも、やるしかないわね」

 もっともその顔はどこか、楽しそうにも見える。


――やはり、MeSの生徒なのだな。

 だが、私も同じだ。


「よし、これがラストよ。もう後が無いわ、みんな全力で!」

「了解!」


 志気があがる。


「指示に従って、みんな移動して。あと回復手段を持ってる人いたら、出してちょうだい。少しでも戦力を増強したいから」


 この言葉に、一気に辺りが騒がしくなった。

 救護班が、少しでも戦力を増強しようと奔走をはじめる。


「おい、これ使えよ。その程度なら間に合うはずだ」

「回復魔法使うから、ちょっと待ってね」


 いつ終わるとも分からなかったせいで出せなかった回復手段を、誰もが差し出す。


「これなら、思った以上にいけるわね」

「そうだな」


 さすがにほっとする。この調子なら、ここに相応の戦力を残したとしても、かなりの数を上陸地点の防衛に回せるだろう。


「ディオンヌ、行こう」

 この場を後輩たちに任せ、私たちも地上へと向かった。






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