Episode:24
顔ぶれをセヴェリーグ先輩が確認する。
「そうだな……リドリア、きみにリーダーを任せる。どういうトラップにするかはそっちで相談して決めてくれ。
ただ、急いでほしいな」
「O.K. 手っ取り早く効果的にってわけね」
ロア先輩やエレミア先輩と同じ学年の女性上級傭兵隊が、面白そうに答える。
「まさか道具を取りに行ってる時間はないだろうなぁ……」
言いながらこの先輩が、ツールキットを取り出した。
「よし、決めた。オーソドックスに行こ。ワイヤーで行くわよ」
たしかにオーソドックスだ。
でもコイツなら、大抵の学院生は簡単に作れる。トラップに慣れてるやつならなおさらだ。
たちまちかなりの数の、細工した手榴弾が出来上がった。
「よし、そしたらワイヤー張るわよ。だめだめ、もっとピンと張って。そこじゃなくてもっと上!」
って、この人のトラップの仕掛けかたもヤなタイプだな。
発見した時には爆発してっから、効率いいのはたしかだけど。
「おっけー、じゃぁあとはその辺に二次用のも仕掛けて……」
「先輩すみません、俺、魔力石まいていいですか?」
俺はこっちのほうが得意だ。
「いいわよ。タイミングだけは間違わないでね。
――あ、あなたたち、少し石、分けてあげてよ」
コトを察した先輩が、手際よく他の生徒から魔力石を集めてくれる。
「これで足りる?」
「はい、十分です。すみません」
集まった石を、俺はさっさとばら撒いた。ワイヤーの仕掛けのもっと向こう、敵から見たら手前側になる場所だ。
「イマドってば凶悪〜♪」
ミルが茶々入れてくる。
「お前ほどじゃねぇよ」
けどこれも、たしかに嫌われるタイプのトラップだろう。踏もうが何しようが発動しないからって無視して進んでると、いきなりドカンだ。
「よし、全員下がるんだ!」
「了解!」
班ごとに、崖上や道路わきの茂みへ身を潜める。
「そこ! もう少し下がるんだ。そうしないと爆発に巻き込まれる。
音を立てるなよ。金属音は特にだ!」
準備が整う。
息詰まる時間。
敵の船が着いて、敵が走り出す。
そして……。
「かかった!」
誰かの声とともに、トラップが作動した。手榴弾が次々と爆発し、さらに誘爆する。
――今だ。
俺もタイミング合わせて魔力石を発動させた。
相乗効果で威力を増した魔法が紅蓮の炎となって舞い上がり、広範囲にわたって敵を捕らえる。