表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
23/80

Episode:23

「え〜、なんにも聞こえないよぉ?」


 ミルが騒ぎやがるけど、そりゃそうだろう。俺が聞いたのは声じゃない。

 耳を――いや、心を澄ます。

 眼前に裏庭の風景が見えた。


「――やべぇ」

「どしたの?」


 ミルのヤツ、興味津々って顔だ。


「裏庭が――それに教室もかっ?!」

「だからぁ、どしたの〜」


 子犬じゃあるまいし、キャンキャン吠えるな。


「ヤツら空中部隊出してんだよ!

 船団が上陸してから攻撃なんて悠長なこと言ってたら、こっちが全滅だ!」

「あ、それたいへんかも☆」


 俺の話聞いて、こいつが絶対に分かってねぇっぽい口調で騒ぎ立てた。


――調子狂うんだが。


「けどさ、先輩に言わなくていいの?」

「言われなくたって行くっての」


 ともかくここの指揮を取ってる上級傭兵隊の先輩――キザなことで有名だけど、能力は折り紙つき――のとこへ走る。


「先輩、セヴェリーグ先輩っ!」

「ああ、イマドか。どうしたんだ?」


 幸いこの先輩とはけっこー長い付き合いだ。そのうえ俺の「曰く」も多少は知ってっから助かる。


「敵の出した部隊が、もう裏庭を襲ってます」

「本当なのか? いや、君の能力を疑うわけじゃないんだが……まだ接触もしてないじゃないか」

「向こう、空中部隊まで出してんですよ。このままじゃ俺らが攻撃なんてする前に、こっちがやられます」


 俺の言葉に、ほんの少しの間先輩が考え込んだ。


「――わかった。

 十二〜十八班、校庭へ回れ。オルディス、指揮を頼む。

 残りの班は、ここに残って侵入を阻止する。急げっ!」

「了解!」


 指示が飛んで、一斉に生徒が動き出す。

 指名された連中が素早く裏庭へ向かった。これで少しは向こうも違うだろう。


「こっちは多少時間がありそうだな」

 また先輩が少しの間考え込んだ。


「――常套手段で気に入らないが、待ち伏せといくか」

 ありきたりだけど、確実な方法を先輩が選ぶ。


 校舎があるこの島は、周囲が切り立った崖に囲まれてる。海へ出られるのは船着場と海岸――意外と広い――の二ヶ所だけで、どっちも崖の間の坂道を通らねぇと、校舎は絶対行かれねぇ作りだ。

 待ち伏せするには絶好の場所、ってヤツだった。

 そりゃもちろん敵も警戒してんだろうけど、だからって罠を張らない理由はねぇし。


「今のうちにトラップを仕掛けよう。腕に自信のあるやつは、前へ出てくれないか」

 この言葉に俺を含め、十人ちょっとが前へ出た。





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ