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Episode:02

「そういえばさ、おととい大きな船来たじゃないか。あれはなんだったんだかね?」

「ユポネ族……来たみたい」

「ルーフェイア、あんたよくそんなこと知ってるね」


 シーモアの不思議そうな顔。


「とゆかさ、ユポネ族ってなに?」

「えっと……物を作るのがすごく上手な一族、かな……」

「なんだそりゃ? まぁいいけどさ」


 なにがいいのか分からないけど、いいことになったみたいだ。


「でもさ、あの船なんかちょっと、変わってたよね」

「言えてる〜」


 たあいない会話。


「けどやっぱりヒマかも」

「ひまひまひまひま、すっっっごいひまっ!」


 あ、ミルが壊れた。


「連呼するんじゃないよ、よけいヒマになる」

 そういうもんだろうか? よく「余計おなかが空く」とか「よけい寒くなる」とは言うけど。


「ひっまーっ!! 誰かなんとかしてーーっ!」

「――明日とか、外出禁止……解けるかも」

「え、ホント?」


 いっせいに三人があたしを見て、つい言ってしまったことに気づいた。


「マジかい?」

「――うん、間違いないと、思う」

 期待しているシーモアたちに、一瞬考えてからそう答える。明日の話だし、シーモアたちが相手なら、必死に隠さなくてもだいじょうぶだと思ったからだ。


「でもルーフェ、どこでそんなこと聞いたの?」

 ナティエスが不思議そうに訊いてくる。

「お昼ご飯の時、ロア先輩といっしょで……その時、聞いたの」

「あ、なるほど。ルーフェイアはロア先輩に可愛がられてたっけね」

 ロア先輩はあたしにとって数少ない、学内で頼れる先輩の一人だった。この学院へ来た時に同室になった縁で、ずっと可愛がってもらっている。


 今この学院は、深刻な人手不足だ。このあいだ学院内で対立があって、副学院長が出てってしまったのだけど、そのとき教官や他のスタッフもごっそり連れて行ってしまった。何かお金がからんでたって噂だ。

 ともかくそのせいで教官の数は足りないし、運営する人も足りなくて、上級生がその穴埋めで奔走している。だから予定も連絡系統もメチャクチャで、「○月×日に何々」というのが、なかなか分からなかった。

 そんな中、ロア先輩はこの学院の運営を手伝っていて、物資の調達とかこまごましたことを引きうけている。だから最新の状況も知っていたのだ。


「そしたら、少し買い物とかできるかな?」

 ナティエスが嬉しそうだ。

「行く行く、ぜ〜ったい行くぅ!」

「わかったから黙りなって」

 シーモアがミルの頭を小突いた。


 いつもの光景。

 なんとなく可笑しくなる。


「そういえばさぁ、シルファ先輩てば『あこがれの先輩ベスト三』に選ばれたんだってね〜」


 こんども唐突に、ミルが妙なことを言い出した。

「なに、それ?」

「……ルーフェイア、ホントに知らないの?」

 いかにも驚いたという顔で、ミルが訊いてくる。

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