Episode:18
だってまだ、船が上陸したとか聞いてない。それなのにどうして、襲われちゃったりするの?
悩んでたら轟音と共に足元が揺れて。
「ねぇどうしよう? ここにいたら危ないのかな?」
「そんなこと聞かれても……。先輩、どうしましょう?」
さすがにこんな時どうしたらいいかまでは、ちょっとすぐには思いつかない。
逃げた方がいい気もするし、かといって廊下に敵がいたら困るし……。
いちばんいいのはたしかめに行くことなんだろうけど、そうするとこっちが手薄になりすぎちゃう。
――ルーフェイアだったらどうするんだろう?
あの子戦闘なれしてるから、こゆとき簡単に状況読むんだろうな。
みんなで必死に考えて……。
また悲鳴。それとガラスの割れる音。
さっきより近いの。
「どこ?」
「――隣だっ!」
いっしょにチビたちを見てくれてるクライブ先輩が、真っ先に気がついてくれた。
でもどうして?
どう考えても校内へはまだ、侵入されてないよね。
けどあたし、唐突に理由を知ったの。どうしていきなり隣が襲われたか。
「アイミィ、危ないっ!」
とっさに声をかける。
もちろん小さい子達も、急いで下がらせて。
窓ガラスに影が映って……ロープにぶら下がった敵になった。
――蜘蛛みたい。
一瞬、そんな場違いなことが、頭をかすめちゃったり。
でもあたし、のんき……だったのかな? その時までは。
勢いをつけて兵士が体当たりしてきて、窓ガラスが割れて。
「痛っ!」
小さい子をかばった拍子に、ちっちゃい破片が背中に刺さったみたい。
だけど気にしてるヒマなんてないの。
「早くっ、廊下へ出てっ!」
飛び込んできた兵士はでも、一人だけでラッキー。アイミィとクライブ先輩が、すぐ戦い始めて。
だからあたしひとりで、ちびちゃんたちを全部になった。
「誰でもいいから! 隣と手を繋いで外へ出るの!」
子供たちが手を繋いで、次々と廊下へ出て。だけどまだ、少し奥に数人残ってるから……。
後ろで立て続けに絶叫。
慌てて振り向く。
「アイミィっ!」
叫んだけど、ムダなの分かってた。あれじゃもう助からない。
だって……上半身と下半身がサヨナラしてる。
アイミィの隣には首の無いクライブ先輩。
殺ったのは、こいつだ。
飛び込んできた、やたらデカいヤツ。
そいつが、あたしが叫んだのを聞きつけてこっちを向く。
総毛立つような薄笑い。
「どうして軍に、こんなのがいるのよ……」
思わずつぶやいちゃった。
――こいつ、イっちゃってる。
昔スラムにいた時、よく見た。ラリった挙句にどっかへイっちゃってるヤツ。
そいつらの目にそっくりなの。
それから気が付く。
こいつの足元……。
「リティーナっっ!!」