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Episode:12

「どういうことさ?」

「それって、どういうこと?」


 ナティエスと言葉がかぶる。

 同じことをミルも思ったんだろう、きゃいきゃいと騒ぎたてた。


「どしてどして? 学院内っていちおう、武器の使用って禁止だよ〜?」

「たぶん……ンなこと言ってらんなくなる。

――ああ、もう見えるか」

「?」


 イマドが彼方を指差した。

 つられて視線をやると、たしかに大きなものがいくつも海に浮かんでる。


「あ、船だ〜♪」


 こういうときもどっか抜けてるミルが、嬉しそうに言ってのけた。

 ただあたしはそこまで、能天気には構えらんない。なんせ見えてるのったら、艦砲を備えた編隊だ。胡散臭いことこの上ない。


「ねぇ、誰かに知らせた方が良くないかな?」

 不安げにナティエスが言う。


「いや、必要ないと思うね。あたしらが気付くんだ、先輩たちなんてとうの昔に知ってるだろうさ」

 案の定、そこへ緊急事態を知らせる鐘が鳴った。


「――やだ、もしかして全部鳴ってる?」

「みたいだね」


 東西南北と中央、五つ全部がいっせいに鳴り響いてる。つまり、「総員戦闘配備」だ。

 合わせて通話石――共鳴現象を利用して互いに話せる特殊な石――を通して指示がでた。


『これから所属不明の船団および部隊と、戦闘に入ると予測される。よってA編成にて迎え撃つ。総員、戦闘配置に付け』


「やっぱそう来るか……」

 ため息まじりにイマドが言う。


「あんたの言うとおり、部屋へ戻って装備を出した方がよさそうだね」

「わ〜、ひっさしぶりに実弾撃てる〜♪」

 ミル、あんたどこまでズレてんだい。


 ただこういうことは、たまーにあると先輩から聞いてた。

 次々と優秀な兵士を送り出してるこの学院は、傭兵学校の老舗中の老舗だ。そのせいか、時々この学院を逆恨みしたり目の敵にしたりで、攻めてくるのがいるっていう。


 しかも協定でMeSはどこも原則、所属国が感知しない。だから内陸部ならまだともかく、うちみたいに陸から離れた島なうえに相手が所属不明とくりゃ、本当に知らん顔だ。

 つまり、援軍は一切アテに出来ない。あたしらだけで、あの船団をなんとかしなきゃいけないってことだ。


『攻撃隊は船着場と海岸へ即時展開せよ。それ以外は編成に従い、それぞれの場所で待機するように。

 なお、これは演習ではない。全生徒そのつもりで当たるように。繰り返す、これは演習ではなく実戦である』


「A編成なら、あたし低学年の担当だ♪」

 放送を聞き終えたナティエスが嬉しそうに言った。この子は小さい子の面倒をみるのが好きだ。


「ともかく一旦寮へ戻ろう。丸腰ってワケにはいかないだろうしね」

「うん」

 バタバタとあたしら、一斉に寮へ戻った。





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