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Episode:11

 ルーフェイアの料理音痴――というより食べ物全般に対して無知――は、常識を遥かに超えてる。昔ローストビーフを見て「ローストなのに生だ」って言い出したときなんかは、さすがにみんなで硬直したもんだ。

 昨日のケーキ作りの時も、けっきょくやったのは材料を量るのと泡立てるくらいで、あとはひたすら見てただけだったりする。

 ただそれを言うなら、イマドもイマドだ。こっちは下手な主婦など遥かに上回って、家事全般が上手いってんだから。

 二人ともいったいどういう育ち方をしたのか、いまだに不思議でしょうがない。


 そこへひょいっという感じで、ナティエスが顔を出した。

「あれ、どしたの、イマド。ルーフェといっしょじゃないなんて珍しいね」

「いつも一緒にいるの、お前らの方だろ?」


 このナティエスも食わせ物だ。大人しそうな外見に似合わず、スリは上手いわ毒付きの“苦無”を振るうわ、凶悪なことこの上ない。


「ナティ、あんたルーフェイアどっかで見かけなかったかい?」

「え? あ、そういえば寮の渡り廊下でちらっと見たの、ルーフェとシルファ先輩だったかも」

 人差し指をあごに当てて考えながら、彼女が答える。


「おや。んじゃ二人して、タシュア先輩のとこでも行ったのかね?」

「それだとルーフェ、また泣かされそうかも」

「おもいっきりアリだねぇ」


 あのタシュア先輩ときたら毒舌で知られまくってるってのに、なんでかルーフェイアは懐いてた。それも毎度のように泣かされてるのにくっついて歩くんだから、もう立派としか言いようがない。


「まぁいいや。どうせ居場所なんてすぐ分かるしな」

 探してたはずなのに、あっさりそんなことをイマドが言った。

 そして一瞬、視線が宙をさまよう。

「あぁ、あそこか」

 次の瞬間にはもう、どこにいるか分かっちまったらしい。


「いつもながらよく分かるね、あんた」

「まぁな」

 イマドは必ず、ルーフェイアの居場所を言い当てる。

「やっぱそれって、愛の力〜♪」

 ミルが得意げに胸を張ってバカなことを言った。


――それで世の中片付くんだったら、苦労ないっての。


「ったく、ない胸張ってなにバカ言ってんのさ」

「ぶ〜〜☆ なくないもん!」

 ほっぺたを膨らませて怒るとこなんて、この子ときたらまるで六歳児だ。ホント、手がかかるったらありゃしない。

 とりあえず小突いて黙らせといて、イマドに尋ねた。


「どこにいたんだい?」

「―――」


 けど、答えない。

 そして妙に厳しい顔になる。


「お前らさ、いったん寮へ戻って、メインの武器出したほうがいいぜ」





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