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G

開いて頂きありがとうございました。

 一人の青年は、コンビニへと向かうためにそっとアパートの自室を出た。


 青年の名前は洋平。普通の大学生である。

 学費は奨学金で賄えるものの、仕送りは無くアルバイトで稼いだお金が生活費となる。


 授業料を払っているんだから講義は受けられるだけ受けた方が得だ、と

 月曜日から金曜日。朝から夜まで目一杯コマが詰め込まれた大学生活を送っている。


 土曜日と日曜日はアルバイトで朝から晩まで働いている。

 週二日のアルバイトで稼げる額などしれており、料理スキルが全く無い洋平はコンビニ食に頼る事が多かった。


 食費の予定額を引いた築何十年もたつ安アパート。

 コンビニ食メインの食生活。

 男の一人暮らし。


 それらの条件が重なりあい、洋平の部屋には愉快な住人が居候するようになっていた。


 Gだ。

 コンビニの空箱を片付けようとして、空箱を持ち上げると、怖気が走るくらい大量のGが洋平が食べた後のコンビニ弁当を舐めていた。


 洋平は小さく悲鳴をあげ、コンビニへ走った。

 スリッパで潰す?いや……潰した後の体液とかどうすんだ。

 スプレーと洗剤でやった後、箸でつまんで外へ捨てる方がまだマシだ。


 洗剤と強力なG退治スプレーを購入し、いざ、退治してやろうと息巻いて部屋に戻ると、G達は全部逃げていた。


「絶対この部屋に居るだろ……」


 風に揺れるビニールの音に怯えつつ、洋平はGスプレーと中性洗剤を持って寝る事にした。




 半分眠りかけた所で、洋平は身体を這い回られるようなくすぐったさを感じて、目を開けると……。

 Gが洋平の口元に羽を広げて止まっていた。


「うがぁぁっぁぁぁ!?」


 洋平はGをすぐさま手で払い、起き上がった。


「……あ、あれ。俺の部屋は」


 洋平は状況を整理しようとあたりを見回して見ると、側で女性が倒れている事に気づく。


「これは夢か……?」


 目が覚めると、見知らぬ場所にいて女性が転がっていました。

 そんな陳腐な小説のような状況に、洋平は夢だと疑っても仕方がない。


「う……いたたた。あ、あ」

 女性は目を覚ますと、自分の身体を一通り撫で回した後、洋平の側へと這い寄った。

 怖くなるほどに整った顔の美女は、不安そうに洋平を上目遣いに見上げ口を開く。


「あの、私の言葉が通じますか?」


 整った顔に目を奪われ、驚きから声を出す事ができないまま洋平は、無言で頷いた。

 女性はほっと豊かな胸を人撫でして言った。


「良かった、ドラゴン召喚は成功した」


「ドラゴン……召喚?」


 奇妙なテンションで喜ぶ突然現れた美女と、ドラゴンや召喚というトンデモワードに、

 洋平は夢かと疑い、自分の頬を強めに抓った。

読んで頂きありがとうございました。

執筆前のメモが残っている所がありましたので削除しました。

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