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兄貴は優しい

私の家族は少し説明がめんどくさい。


私の兄妹は、私含め三人。

私がいう兄は2人いる。

秋彦と千秋。


私がよくいう兄ちゃんは千秋。

秋彦は私と年が16歳も離れていて、あまり話したことは無い。

私が物心ついたときにはもう、秋彦には秋彦の家族がいた。

だからなんか、実の兄なのに遠い存在な気がした。

それ以前に、千秋の存在が私にはでかすぎて、秋彦なんて目じゃなかった。

今思うと、これも千秋の狙いだったのだろうと思う。



兄妹、みんな父親の血が違う。

母さんがバツイチ×3なのだ。

その説明を直接母さんから聞いたことは一度も無い。

私がそれに気づきはじめたのは、私の父さんと母さんの結婚式の写真に

兄貴たちも一緒に写っていたことがきっかけだった。


「なんで、母さんと父さんの隣に兄ちゃんがいるの?」


「再婚したからね、うちの家は。」


「再婚?」


「お前と俺が一緒になるための契約みたいな。まぁ大きくなったら分かるやろ。」


大きくなりました。

意味は分かったが、兄貴が契約がどうのこうのという中二ちっくな考え方は

まだ理解できません。


父さんと兄貴仲が悪い。

油と水みたいな、もうほんとうんこみたいな関係だ。

兄貴が小さい頃、父さんは兄貴のことをすごくいじめたらしい。

なんでかは私には分からない。未だに信じがたいことが多すぎて分からないというよりは分かりたくない。

私のときはものすごく愛情を注いでくれて、帰ってくるたびに頭を撫でて笑顔で笑ってくれるそんな父さんに、裏の顔があるなんて、いくら兄貴を好きでいても

やはり、理解するのは難しかった。





でも、これは現実。







「おい。」


「ん・・・」


「お前、俺のこと嫌いだろ。」


「え・・?」


「お前、俺と恭子が結婚しなければいいとか思ってんだろ。」


「・・・ん」


「お前、いつか殺すからな。」


「俺のことバカにしやがって。」


「俺のこと嫌いなんだろ!」


「そんな目で見るな!」


皿が割れる音。


「お前見てるとイライラすんだよ!」


頭から流れる血。


「なんで俺がお前のおしめ変えてやらねーといけねーんだよ!」


響き渡る罵声。


「俺は必死に仕事して帰ってきてるってのに、ボサボサ飯食ってんじゃねーよ!」


秋彦も助けてはくれない。


俺はただただ泣くしかなかった。

母さんのために、我慢しなきゃ。

これから生まれてくる妹のためにも、もっと強くならなくちゃ。


だって俺は、お兄ちゃんなんだから。



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