外の風景
窓を開けると嫌味なくらい気持ちのいい陽の光が差し込みキーラを照らした。
はぁ、今日も退屈だな。たしか祭りは明後日で終わりだよな…行ってみたいなあ。
景色が変わるわけでも面白いものが見えるわけでもない。強いて言うなら部屋の中よりは変化がある、それが理由でいつもぼんやり外を眺めている。
人が蟻のように小さく見える市場、その向こうには祭りのときだけ姿を現す露店がひしめきあっている。
様々な場所から来た様々な人が集まり、活気に溢れている。とても楽しそうだ。それに比べて東の離塔は裏街道に面しているため周りは木々に囲まれ住宅街に続く道しかない。世間から離れている感じだ。
その道も人通りは少なく行きかう人を見て楽しむことも出来ない、はずなのだが今日は少し違っていた。
「ん…?」
その道に自分と同じ年頃の少年が一人立っていたのだ。
この国の子ども?それとも観光客なのだろうか。
よく見ると彼もこちらを、塔を見ているようだった。キーラはそんな珍しい通行人をしばらく見ていたが少年は何か思い出したように市場のほうへ歩き出した。
これから祭りにでも行くのだろうか。
キーラはその少年が見えなくなるまで眺めていた。