隻眼の戦士
第1話
失われた日常俺の住んでいた村は変化に乏しく毎日畑仕事したまに山に登り獣を狩りその皮を剥ぎ取った物売り生活費の足しする。平凡だが不満のない日々だった。だが10年前のあの日、突然戦争を仕掛けてきた隣国の軍隊によってあっけなく滅んだ。父も母も俺を逃がそうと自ら囮になり俺を逃がした。俺は兎に角必死に逃げた。あてもなく、さまよい、いつ敵の兵士に追い付かれ殺されるかもしれない恐怖とたたかいながら必死に逃げた。まだ、10歳に満たない幼い体力では逃げ切れるはずもなく、たちまち追い付かれた。
「やっと追いつめたぞ。このクソガキめ!村の住人は一人も逃がすなと将軍様のご命令でな。運が悪かったと諦めるんだな。」数人の兵士たちが剣を抜き、にや笑いしながら近づいてきた
「なんで、どうして、村を襲ったんだ!僕たちは何もしてないぞ!なのにどうして…」
「さあな、陛下はこの大陸を統一なさろうしている。だから自分に逆らうであろう不穏分子を一人残らず抹殺するつもりなんだろう。話は終わりだ。悪いが死んでもらう」
「うわあああぁぁー!?くるな!くるな!くるな!」
俺はそこらにある石を手当たり次第投げつけ必死に抵抗した。
「どあぁぁ~!あぶねえぇ!!!このクソガキ!もういい、時間をかけると将軍に大目玉をくらっちまう!とっとと殺そう!!」
「おう!」
「まかせろ!」
数人の兵士たちが掛け声と共に突っ込んできた。俺は恐怖のあまり顔を涙でぐしゃぐしゃに濡らし、失禁をし気を失った。その後の事は知らない。気がついたら焚き火の前で毛布をかけられて寝ていたらしい
「目を覚ましたか…!災難だったな。おっと警戒しなくていい、俺は敵じゃない。兎に角これでものんで落ち着きな」
差し出されたカップを手に取り口に運び啜った。
「おじさん、誰…?何者?」
「俺か?俺はな…」
これが師の出会いであった。