第8話
車での移動は長かったのか短かったのか分からない。
なぜなら寝てしまっていたからだ。自分でも不思議に感じた。こんなに緊迫している状態の中で寝ることができた自分を。
いろいろ考えていると車が止まった。信号停止だろうと思っていたら車のエンジンも切られた。
すると治田先生が喋り始めた。
「みなさん、マスクはとって構わないですよ。目的地に着きました。」
みんながアイマスクを外す音が聞こえたので僕も取ってみる。隣の遥香のほうをみてみると、急にまぶしい世界を見たもんだから、目をパチパチさせている。
「さ、荷物を持って降りてください。」
前の座席の人から降りていった。降りた足下には芝生が広がっていた。ちょっと奥の方を見ると砂浜も見える。南国特有の日差しが降り注いでいる。
「あちらがみなさんが生活する小屋です。」
先生が指差した方向には一つの木造の小屋があった。物置小屋とかのような小屋ではなくて、コテージと言った感じだろうか。
「とりあえず、中を案内します。ついてきてください。」
先生に言われるがまま、僕たちは中に入った。奥の方に部屋が二つ。その手前にリビングのような広い部屋が一つ。その壁際にキッチンがついてあった。アイランド式ではなかった。
「右の部屋が女子部屋。左が男子部屋です。その手前は見ての通りリビングとなってます。キッチンはあっちです。トイレはその奥にあります。」
先生が喋り終わった瞬間に健斗が聞いた。
「先生、こんなちゃんとした家があるのに過酷なんですか?」
先生は急に神妙な面持ちになった。
「去年まではテントだったんです。しかしね、ここらへんには凶暴な肉食の動物がいるんですよ。あんまり大きな声では言えないんですが、去年負傷した生徒がいまして。今年からそのような事故は避けたいと思ってこういう小屋を用意したんです。」
先生は言葉を濁したが、大体どういうことが起こったのか全員察しがついたはずだ。
「というわけで、私がいられるのはここまでとなります。部屋に今回のルールが書いてある紙がありますから、みなさんで必ず熟読してください。それでは、また元気であいましょう。」
そういうと先生はさっきの車に乗って帰っていった。
呆気にとられる僕たちであった。しかし、いつまでもこうしていられるわけではない。
僕らはリビングの真ん中に置いてあるルールブックの表紙をそっとめくった。
ここからかなり詳しい設定にしていかないと物語がぐちゃぐちゃになってしまうので、設定を詰めるためにも一時連載を休止いたします。細かい設定ができたらまた更新していきたいと思います。