第7話
空港の片隅に馬渡学園チームハワイアンが集合した。
治田先生を囲む形で集合している。
「さぁ、みなさん。長いフライトご苦労様でした」
先ほどまでの先生の様子とはどこか違う。
「今からみなさんには車に乗ってもらいます。車に乗るとすぐに目隠しをしてください。」
「えっ!」
班員みんなが驚きの声を上げた。
「どこに皆さんを連れて行くかは教えることができません。それがうちの伝統のキャンプです。ルールを説明します。今から行った先には、一つの小屋があります。そこで寝泊まりしてください。そこには調味料と必要最低限の道具があります。1ヶ月間のサバイバル生活をしてもらいます。」
「さ、サバイバルってどういうことだよ!」
健斗が先生に尋ねた。
「でも、安心してください。そのエリアにはカメラがたくさんあり、皆さんのことを常時監視しています。もし何かがあったときにはすぐに駆けつけます。しかし、駆けつけるのは命の危険が迫っているときだけです。それ以外はどんな状況であっても自分たちでなんとか切り抜けてください。」
「そんなの過酷すぎませんか?」
思わず僕も尋ねた。
「しかし、先輩方はやってこられました。そして大きく成長しました。君たちにできないことはありません。もうここまできたんです。覚悟して臨んでください。詳しい説明は小屋のなかにあるルールブックをよく読んでください。」
この先生の話をみんなはどういう風に聞いていたのだろうか。みんなそれぞれ違った表情をしている。
「それでは、行きましょうか。」
そういうと先生は僕らを車まで案内した。車までの道のり、遥香が隣に来て話し始めた。
「お兄ちゃん、私、こんなにつらいと思ってなかったよ。」
「それはみんなだ。遥香だけじゃない。」
「でも、私、心配だよ。死んだりしないかな?」
「縁起でもないこと言うな。」
「うん……」
それっきり遥香は黙ってしまった。
いつもは元気な健斗でさえも大人しい。
やがて車が見えてきた。
運転席にはアロハシャツを着た黒人の男性が座っていた。
車内にとくに目隠しがある訳ではなく普通の車だった。
3列あったのだが、1列目に先生が座り、2列目に健斗と桜咲、3列目に僕と遥香が座った。
すると先生が目隠しを配ってきた。前の二人が抵抗もせずにつけるのをみて僕らもつけた。
一瞬にして目の前は真っ暗になった。聴覚が鋭くなったような感覚がした。かすかな音でも不安になってしまう。すると僕の手を何かが触れた。それが隣の遥香だとすぐに分かった。遥香も不安なんだと手から伝わってきた。
「それじゃ、出発しますよ」
そういうと車はゆっくりと走り出した。