第2話
「はい、それでは行く場所の希望の結果が出たのでお知らせします。今回はきれいに3つにわかれましたので発表後はすぐに班分けに移ります。えぇ、まずはオーストラリアです。オーストラリアは……」
淡々と先生が生徒の名前を呼んでいく。
そして僕の希望のハワイだ。
健斗も遥香も僕も無事ハワイにいけることが確定した。
そして班分けも終了した。
僕らの班員は僕と遥香と健斗ともう一人、北山桜咲さんが同じ班だ。そして班長は健斗だ。北山さん以外の3人は仲がよいのだが、北山さんがあまりというかほとんど僕らと話したことがない。なのでキャンプまでに仲良くなれるかを最重要課題とした。
その一歩を今日踏み出した。
その日の夕方、僕らは某ファミリーレストランに集合した。その理由は顔合わせ兼夕食会ということになっている。とりあえず、料理を頼み終えて本題に入った。
「じゃ、まずは自己紹介からしていきましょうか。」
口火を切ったのは班長の健斗だった。でもなんか合コンみたいだ……
「僕が一応班長をやらせてもらうことになった西之川健斗です。よろしく。」
いつもはみんなを笑わせるクラスのお調子者のポストにいる健斗が珍しく真剣に挨拶をしている。次に自己紹介を始めたのは遥香だった。
「じゃぁ、次は私ね。私の名前は仲西遥香です。この身長だからたまに小学生に間違われます。よろしくお願いします。」
確かに僕と遥香が一緒に歩いていると年の離れた兄弟として見られていることだろう。商店街のおばちゃんにはよく間違われる。身長153cmの遥香は映画でもまだ子供料金で見れる。
「ほんじゃ、次は僕が。僕の名前は仲西宇宙です。苗字を聞いて分かったかもしれないけど僕と遥香は双子です。ちなみに僕のほうが兄です。よろしく。」
双子というワードが出てきた瞬間に北山さんは口を軽くあけながら何度も頷いていた。なにか一人合点をしている。
「あぁ~。双子だったんですね。てっきりクラスでも仲がよかったから恋人の関係かと思いました。でも、苗字が一緒だからと思って納得してなかったんですよ。」
「でも、疑問が解決してよかったね。」
「はい。あ、紹介がまだでしたね。私の名前は北山桜咲です。『桜が咲く』と書いて『さくら』といいます。結構体力などには自信があります。よろしくお願いします。」
「おぉ~!」
僕たちの北山さんへの印象が180度変わった瞬間だった。
北山さんは普段教室の端の席でよほどのことがない限り教室を出ない。(と聞いたことがある)
そしていつも小説とにらめっこをしている。まさに「文学少女」というのがぴったりな女の子なのだ。
だけど体力に自信があるらしい。確かに余計なお肉がついていなさそう。
すると突然遥香がとんでもないことを言い出した。
「あ、北山さん。腕相撲しましょ?」
僕と健斗は飲みかけていたジュースを持ったまま遥香のほうを見た。
こいつは何を言ってるんだ……
でも遥香は相当自信があるようだ。
そういえば今年の春の体力テストで握力は学年2位の成績だった。体力に自信があるといっている北山さんでもさすがに無理でしょう、と思っていたら
「私でよければ。」
あっさりと北山さんがOKしたではないか。これには言いだしっぺの遥香もビックリしていた。
**********
「お兄ちゃん審判して」
「はいっ。」
ということでファミレスで腕相撲大会をやることになった。で、僕が審判。
「それじゃ、いきます。あ、力抜いてね。レディー……ゴー!」
僕の合図で2人の腕相撲大会の決勝戦が始まった。
~~1分後~~
「あぁ、もうだめ!」
「う、腕がぁ……」
2人が異口同音に苦しさを表現していた。
今の戦いの状況を説明しよう……進展なし!
最初の位置でピクリとも動かずに腕だけが震えている。
「はいはいはい。今回はここまで。」
僕は試合を止めた。いつもの遥香なら「あと1分」とか言うのに今回はなにも言わずに腕の力を抜き。握っていた手を離した。
「何で北山さんは……そんなに強いの?」
息を切らしながら遥香が聞いた。
「私は……今年の体力テストで……握力だけ1位だったの。」
「!!」
遥香は肩で呼吸しながら獲物を見つけたライオンのような目つきで北山さんを見ていた。
「1位の北山さんってあなただったのね。知らなかった……」
というと急に抜け殻のような状態になった遥香が僕にもたれかかってきた。
**********
それからは普通の雑談をしながら夕食を食べた。
偶然にも健斗と北山さんが向かいのマンション同士ということが分かった。北山さんは健斗に任せて僕はいまだ抜け殻状態の遥香を家につれて帰った。
次回作は更新が遅れると思います。
まだ書きあがっていないので……
申し訳ございません。
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