Boy and Cat
爪を立てる。
ハリのある艶やかな肩。少しずれた白いシャツ。
見上げる瞳は不安げに揺れていて。
隠すようなそれは、月の光で全て露わになっていた。
貴方の細い指は私の黒い耳を撫で回し、尻尾を弄る。
くすぐったくて、でも気持ち良くて。
みゃあお
思わずそう鳴いた。
そのときの貴方の得意気な顔。
腹が立ったから綺麗に研がれた自慢の爪を、繊細な肌に寄せる。
つう、と軽くなでれば薄くピンクの痕がつく。
少し痛そうに顔を歪める。
一気に変わった表情が可笑しくて、
くるる
と喉を鳴らした。
薄く開かれた唇に、口を寄せる。
端をちょろ、と舐める。
ざらついた舌が肌をじっくり舐めとっていく。
ゆっくり下に顔をずらす。
傷一つない滑らかなデコルテを、私の冷たい鼻が掠める。
驚いたように跳ねる身体に、私は
にゃあ
と微かに笑った。
冷えた部屋と布団が温まる頃、私はことんとベッドを降りた。
だけど寂しそうな目を向けた貴方を無視出来なくて、
ふぅっ
と溜め息をついた。
貴方は身体をずらす。スペースは私の分ぴったり。
丁寧に持ち上げられた布団の中で丸まって。
んー
と軽く伸びをした。
寝返りを打った貴方の背中。
気付かれないように紅の痕を残す。
私の所有痕。
「Good Boy,My Baby.
Good Night,My Dear.」