Lonely Girl
好きなのに。
目の前には二組のカップル。
全員友達だけど、
私だけがぼっちだった。
好きなのに、
貴方と貴方が好きな人と
一緒にいなきゃいけないなんて。
私は唇を噛んだ。
痛いくらいに強く。
眉をひそめた。
誰にも分からないくらい微かに。
略奪愛は好みじゃないし、
友達は大切だ。
そんな偽善的な理由並べて、
私は4人の数歩後ろを歩く。
このまま別れても気付かないだろう。
だけど私は実行できなくて、
大人しく皆と笑っていた。
彼氏同士、彼女同士の話なら
ほのぼのしながら見ていられるのに。
女子同士のトークなら盛り上げられるのに。
なんでそうじゃないんだろう。
ただでさえ奇数人数が嫌いな私は、
消えてしまいたいくらいに寂しかった。
私を何故呼んだの?と問いたくなった。
人混みの中でこめかみを押さえる。
頭が痛い、気持ち悪い。
胸に何かがつっかえている。
苦しい。
身体も心が、危険信号を発していた。
私は人の間を駆け抜けた。
友達が2人で余所見している間に。
少しだけ楽になった気がした。
好きなのが溢れてきそうで、
略奪してしまいそうで。
深呼吸、
私は暫くその場にいた。
心配してる、
とりあえず一旦戻らなきゃ。
律儀な私。
だからちゃんと戻って謝るんだ。
「何処行ってたの?」
第一声がそれ。
怒ったようなそれに眉を下げて答える。
「ごめんね、ちょっと人混みに酔っちゃって。空いてる場所で休んでた」
そう言えば、
「そっか、大丈夫?」
で済むから。
「大丈夫」
健気な私。
無理矢理に作った笑顔を向ける。
だけど誰一人気付きやしない。
好きなのに。
貴方は見向きもしない。
「良かった」
と優しい友達の目を向けるだけ。
報われない恋をした私は
ただのLonely Girl。
「好きなのに」
言葉は、人の熱気で空気中に溶けた。
そして私はバレないように、
胸元の服を掴んだ。