告死の意味
「やり方は凡そ理解した」
「だが、なぜ告死をおこなうのだ」
「あんたの話が正しければ、天使は死が予定表に載せられたすべての者に死を伝えにいく。だが、大部分の者は聞いた瞬間に忘れる。もちろん、俺はそのためにとりあえず生き延びることができるのからこのシステムには感謝している」
「だが、やはりこの告死というものはあまり意味もなく、無駄なものに思えるのだが、あんたたちの元締めは告死を無駄だとは考えないのか?」
聡の問いに男は薄く笑う。
「むろん全員に利益があるものが一番だ」
「だが、そのようなものはどの世界においても存在しないと言っていいだろう。逆に、多くの者には利にならなくても、それによって救われる者もいる。それだけでそれの存在価値はあるということになる」
「そして、その救われる者とは、おまえのようなものだけではなく、心のどこかに告死された記憶が残り、死ぬまでの短い間になにがしかのことをする者も含まれる」
「……聞いたことがあるだろう」
「それまで無縁だったことを死の直前に始めた、急に優しくなったとかいう話を。あれはその影響だ」
「損得。効率性。そればかり追い求めている者にとっては、無駄に見えることも、少しだけ視点を変えれば別の姿も見えてくる。今はわからなくてもおまえも経験を積んでいけば理解できることになるだろう」




