狂ったゲーム
「ここ掘れワンワン♪♪ ここ掘れワンワン♪♪」
場違いな童謡がスピーカーから流れ出し、鼓膜を不快に揺らす。
心臓が鼓動を早め、過剰な危機感が脳に充満した。
一秒にも満たない、けれど数分、あるいは数時間にも感じられる刹那の時間。
その一瞬が過ぎたとき――このゲームに参加している、ということの意味を、嫌というほど思い知らされる。
轟音。地面が爆ぜた。
犬が、動いたのだ。
童謡のリズムに合わせ、前足の巨大な爪が土を裂く。
鉄でできた質量の怪物が、プログラムされた動作と本能の導きに従い、ただ掘る。
「さあ最初の犠牲者が出たのは赤チーム。初手で死ぬとは、目立ちたがり屋なのでしょうか~」
無機質な明るさで司会者の声が響く。
彼の口は半開きだった。声にならない息が、かすかに漏れるだけ。
冷や汗すら出ない。脳が現実を理解しようと必死に動いている。
――異常だ。
あまりにも異常で、異様だった。
四メートル超の犬型ロボットが、人間ごと地面を掘り返している。
その惨劇を、実況する司会者がいて、それを拍手喝采で楽しむ観客がいる。
すべてが、狂っている。
これは命を賭けたデスゲーム。
あるいは――人生の敗者復活戦。
彼らの“すべて”を賭けた死闘が、今、幕を開けた。
よかったらブックマークと評価をくれると嬉しいです。
感想も待ってます。
史上最高に狂ったデスゲームを描くつもりです。
応援よろしくおねがいします。