第六話 歓迎パーティーと自己紹介③
数ある作品の中から興味を持っていただき、本当にありがとうございます!
姉妹のみんなの自己紹介が終わり、会場がほんわかしたムードを醸し出しているなか……
「そういや、あんたの自己紹介がまだじゃない。
花蓮たち全員にさせたんだから、そのくらいしなさいよ。」
花蓮がいきなり俺を指さして、不服そうに俺に言い放った。
確かに、みんなも自己紹介したし……俺もしないとな。
俺は椅子から立ち上がると、皆の方を向いて少し緊張をしながら話し始めた。
「俺の名前は、『小鳥遊 奈緒』。 今年から高1になる15歳です。
趣味は………ランニングと音楽を聞くこと。 特技は…………特にないです。
こんな俺を家族に迎え入れてくれて、ありがとうございます! よろしくお願いします…!!」
「ふん! つまんない自己紹介ねっ!!
・・・・まあ…………あんたの態度次第じゃ、仲良くしてあげないこともないわよ。」
「奈緒くんっ!! よろしくねぇー!!!
これから新しいお姉ちゃん兼ママとして、精一杯サポートするわねぇ♡」
「奈緒っちよろよろー!!! 今度あーしの推しバンドのCD貸すねー!!!」
「よろしくですぞー奈緒どの!! 後で詳しく趣味を教えてくだされ!!」
俺が話し終えた途端に、皆さんから盛大な拍手が贈られ……たくさんのあたたかい言葉をかけて貰えた。
前の家族では絶対にありえないような光景に……俺の胸がじんわりと暖かくなり、喉の奥に熱いものが込み上げてくる。
「おいおい、なんだ泣いてんのかぁー? 長男なんだから、しっかりしろよなー!」
「家族に認められて嬉しいんじゃないの。 実際うちもそうだったし。」
「ああ。 奈緒クンはもう、立派なボクたちの家族だ。
やはり、家族というものは美しいな………!!!」
「・・ふふっ……!!
最初はどうなることかと思ったけど、奈緒くんが優しそうな人でよかった……!!」
「……………!(こくこく)」
「にーちゃんが来てくれて、ひなた超うれしー!!!
これからいっぱい、いーーーーっぱい遊ぼうねっ!!!!!!」
「………っ…………はいっ!!!!
みなさん!!! これからよろしくお願いしますっ!!!!」
悲しいとき以外で初めて流した涙を強引に袖で拭き取り、皆がいる方へと向き直る。
こんなにも幸せな気持ちになったのは……間違いなく、人生でこれが初めてだ。
俺は温かい気持ちで胸が爆発しそうになりながら、精一杯の笑顔でみんなにそう伝えた。
◆◆
「・・・えー、こほん。
それでは…もう良い時間なので、わたしから閉会のことばを伝えたいと思います!」
あれから、数時間後。
姉妹になったみんなとたくさん話してかなり打ち解けられた俺は、人生で一度も感じたこともないような幸福感を感じていた。
すると……… 華さんがいきなり俺達の前に出てきて、マイクを持つようなふりをしてそう言い放った。
「ふぉーー!!! いいぞ華姉ぇーーー!!!! あはははは……!!」
「霞姉さんっ!! 酔いすぎだよっ……! 」
「華ねーちゃん!! がんばってー!!!!」
「えー!? もう終わりー?
まだ、夜の11時じゃーん……………ふあぁ。」
姉妹のみんながやんややんやと思い思いの感情を言っている中、華さんは至って真面目な表情をしながら、皆の顔を見ながら語りかけるように話し始めた。
「まずは、奈緒くん! 改めて、羽山家へようこそっ!!
・・・・そして、姉妹のみんな。 今回は、わたしのわがままを許してくれてありがとうね。」
そういって、華さんが俺達に向かってぺこりと頭を下げた。
「ホントだよ。 いきなり見ず知らずの男をウチに連れてくるなんて…さすがに危なすぎ。」
「まあ、華姉ぇが行く宛がないヤツ拾ってくんのはよくあることだしな!!!
・・・・さすがに、男だったのは予想外だけど。」
「あはは…。 最初はどうなることかと思いましたよね………。」
またもや、姉妹のみんなが思い思いの感情を吐露している。
がやがやと騒がしくなった空間をさえぎるように、華さんがさっきよりも真面目な表情で話しはじめる。
「奈緒くんはもう、もしかして気づいているかもしれないけれど……
わたしたちは、血のつながった本当の姉妹ではありません。
ここにいるみんな、家族をなくしたり一緒に居られなくなったりした……かつて『ひとりぼっち』だった子なの。」
華さんの口から発せられた、衝撃の告白。
・・・・まあ、全員名字が違ったし………薄々気づいてはいたけど。
「でも、わたしたちは…本当の姉妹とおんなじ……いや、それ以上に仲良しだと思っています!!
みんな各々思うところはあるだろうけど、今までと同じように…奈緒くんを入れて11人家族で仲良くできたらすごくうれしいです!!!!」
そういって、華さんがにこっと笑った。
「もちろんですぞ!!! 小生たちは、固い絆で結ばれているのですからなっ!!!」
「ふんっ!!!
華ねぇのお願いなら………仕方なく、聞いてあげるわよ……………!!!」
「ああ!!
これからは11人一丸となって、様々な困難に打ち勝っていこうじゃないか!!!」
華さんのその発言に、姉妹のみんなも笑顔で応える。
・・・・本当に、暖かくて心地よい………最高の家族だ。
「うふふっ……♡ みんな、ありがとう!!
・・・これにて、閉会のことばを終わります! それじゃあ、みんな明日は早いことだし……お風呂に入って早く寝ましょ!」
「「「・・・・・おーーーーーっ!!!!」」」
姉妹の元気な声が、夜の住宅街に響き渡る。
・・・もう、俺は独りぼっちじゃない。
これから……俺の、俺たちの新たな生活が始まるのだ!!
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