第五話 歓迎パーティーと自己紹介②
数ある作品の中から興味を持っていただき、本当にありがとうございます!
華さんから唐突に始まった、家族全員の自己紹介。
10人のうちの半分…前半戦が終了し、その人達はみんないい人そうで安心したのだが……
今から始まる後半戦は、いろいろな意味で不安だ。
かなり敵意がむき出しの人2人に、恥ずかしがって赤面して姉たちの影に隠れている人。
風貌からしてめちゃめちゃにギャルな人に………ちょっとバカッぽそうだけど純粋でいい子そうな人。
前半も濃かったが、後半はもっとカオスになりそうな予感がする。
・・・そもそも、華さんたちには歓迎してもらえたが……あの2人からは “ 歓迎 ” のかの字もない。
まあ、見ず知らずの男をいきなり家族として受け入れろだなんて……まず無理な話だろうけど。
「……はーいっ!!!! じゃあ、次はあーしの番〜っ☆」
俺が心のなかでなんともいえない不安を抱えていると、いかにも風貌がめちゃめちゃギャルの人が元気よく立ち上がって俺の方を向き、めちゃめちゃハイテンションで自己紹介をし始めた。
「…あーしは、『陸野 ひより』って言いまーす!!! ぴっちぴちの16歳!!!
家族や友だちのみんなからは『ひよりん』って呼ばれてるから、奈緒っちもそう呼んでほし〜!!
好きなことはカラオケとカフェ巡り!! あと、水族館とか映画見に行くのも好きー!!!
部活は女バスと陸上兼部してるから、運動にはめちゃめちゃ自信ありまーす!!
あと…そだ! 『AND MORE』ってガールズバンドのボーカルやってるんだ!!
今度家族みんなでカラオケ行こね!! 奈緒っち〜! よろしくね〜〜!!!」
ひよりん……もといひよりさんが、超絶明るい笑顔でそう俺に告げた。
なんというか………ものすごいギャルだ。
黄色がかった長い金髪に、大きめのベージュのカーディガンとぱっくりと胸元が空いた制服と超ミニスカート。 近くにあったひよりさんの物と思われるスクバとスマホは、どれも小さいぬいぐるみやキーホルダーがじゃらじゃらとつけられており、とても重そうだ。
性格言動見た目すべてがギャルで、真の陽キャオーラがまばゆく光り輝いている。
だが……家族や友達をとても大切にする、とてもいい人なのはありありと伝わってきた。
いつも明るく周囲を盛り上げてくれる……一緒に居てすごく楽しそうな人だ!!
さて、次は………
「………何よ!!! なんで花蓮がこんなやつに自己紹介しないといけないワケ!?」
まだ何も言っていないにも関わらず、『花蓮』と呼ばれている人が俺に悪態をついた。
・・正直、自己紹介されなくてもなんとなく性格はわかるような気がする。
見た目も、尖った八重歯に控えめな胸……ちょっと崩して着ている制服に、長いツインテールの茶髪によくわからない髪飾り。
いかにも、アニメに出てきそうなツンデレな女の子という感じがする。
まあ、一体どのくらい “ デレ ” の部分があるのかは不明だが。
「……花蓮ちゃん? 奈緒くんに、言うべきことがあるんじゃなぁい?
そんな態度だと、わたし本当に怒っちゃうわよぉ…………?」
「……………っ…………うぅ…………!!!
わかったわよ!!! 言えば良いんでしょ!?!?」
花蓮さんの態度を見かねたのか、華さんが怒気をはらんだような威圧感をかけながら、笑顔で注意を促した。
さすがに華さんが怖いのか、花蓮さんは心底不服そうな顔をしたあとに俺の方に顔を向けた。
「………『七沢 花蓮』。 アンタと同じ15よ。
その………… さっきは、悪かったわよ。
アンタだって、いろいろ辛い目に遭ってきたんでしょ?
・・・・でも!! つらい過去があるのはここにいるみんな一緒だから!!!
勘違いしないでよね!!!!!!」
「………こっちこそ、変な心配かけて悪かったよ。
皆さんも……本当にごめんなさい。」
俺が花蓮とみんなに向かって、心配させてしまったことへの精一杯の謝罪をする。
……まあ、ちゃんと謝る所は謝ってくれたし………そんなに悪いやつじゃないのかな?
ただ………今まで出てきた名字が全員違うところと、『つらい過去があるのはここにいるみんな一緒』ってのが少し気になるけど。
「………うち、『八木 綾香』ね。 年は1個下の14。
あんたと馴れ合うつもりはないから。 必要なとき以外は話しかけてこないで。」
俺が少しだけ脳内で訝しんでいると、黒いフードと猫耳のヘッドホンを被った人がいきなり立ち上がって…
冷めた目で俺を見ながら、吐き捨てるように言い放った。
・・・・正直、綾香がこのなかで一番よくわからない。
嫌われていることは確かなのだが、どうも言動に壁があるというか本心ではないと言うか……
どこか、態度が不自然なのだ。
「………なんか、久々に見たな。 綾香のツンツン狼ムーヴ。」
「……懐かしいわねぇ…。 もう、二年も前になるのねぇ………。」
「……………ちょっとっ……2人ともっ!
人の態度見て懐かしむのやめてよっ……! 恥ずいって……!」
華さんと霞さんに軽く茶々を入れられ、顔を真っ赤にさせながらフードを下ろして顔を半分以上隠している。
・・・・・・・本当に、よくわからないやつだな………。
「……はいはーい!!!! 次はひなたねーっ!!!!!
ひなたの名前は、『九重 日向』っていいまーす!!! 13歳だよー!!!
好きなものは走ることと食べること!!! 嫌いなことはお勉強とじっとしてること!!!
にーちゃんともっと仲良くなりたいなー!!! これからよろしくねー!!!!!」
眩しすぎる笑顔で、ひなたが俺に向かってそう叫んだ。
見た人もつられて笑顔になるような無邪気な笑顔に、ものすごく人懐っこい元気な性格。
少しバカっぽそうな欠点もあるが……それを軽くねじ伏せられるほどの愛嬌がある。
姉妹全体でみると平均程度だが、13歳にしては破格の胸の発育にむちむちな太もも……そして、穢れを知らなそうな純粋無垢な瞳。
そんなギャップがなんとも魅力的な、底抜けに明るくて底抜けに優しい…つい守ってあげたくなる人だ!
「………ああ。 ひなた、よろしくな!!」
「うん!!!!!!
あ、そうだ!!! にーちゃんにーちゃん!!!
ずっと気になってたんだけど、にーちゃんのケータイに入ってるカードってペケモンカードだよね!!! ひなたもペケモン大好きなんだー!!! 」
「・・お、おう。 俺もペケモンはよくやってるけど……まだ自己紹介が全員分終わってないから、また後で話そうな!!」
ひなたが、目を輝かせながら俺に話しかけてくる。
話しかけてきてくれるのは嬉しいが……まだ、あと1人残っている。
俺が、まだ自己紹介が終わっていない女の子の方へと視線を向けると…………いない。
「…………はうぅ……………………っ/////////」
周りをきょろきょろと見渡してみると……身長が低くちまっとした女の子が、顔を真っ赤にさせて涙目で華さんの背中に隠れていた。
「………じゃあ、鈴音ちゃんは私から紹介するわねぇ。
この子の名前は『十坂 鈴音』ちゃん。 今年から中学生の、12歳の女の子よぉ!
とっても優しい子なんだけど、怖がりで人見知りさんだから……優しく接してあげてねぇ♡」
そういって、鈴音ちゃんの代わりに華さんが自己紹介をしてくれた。
確かに、いきなり3つも年上の男と話せって言われても………そりゃ怖いだろう。
「………あの…………にぃに……………!!!
…………………よろしく………………………おねがいします…………………!」
俺が鈴音ちゃんを優しく見守っていると……………彼女は少しだけ華さんから身を乗り出して、赤面しながら蚊の鳴くような声でつぶやいた。
きっと、相当勇気を出して話しかけてくれたのだろう。
その健気さと優しさに…………心がじーんと暖かくなる。
「………うん! 鈴音ちゃん、よろしくね!」
俺が極力柔らかい表情を心がけながらそう伝えると、鈴音ちゃんは……照れたように少しはにかんで、にこっと俺に笑いかけてくれた。
ほとんど会話こそしていないが、鈴音ちゃんがすごくいい子なのは凄くよく伝わってきた。
・・・・こうして、十人十色のみんなの自己紹介は…みんながほっこりした気分のまま幕を閉じた。
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