第二話 10人の美人姉妹②
数ある作品の中から興味を持っていただき、本当にありがとうございます!
ドアが開いた途端、突如響き渡る若い女の子たちの声とクラッカーの破裂音。
僕の視界の先には、全く似ていない9人の容姿端麗な女の子たち。
(……………………な……………なんだこれはーーーーーーーーーーーーっ!?!?!?)
僕が心のなかで大絶叫していると…
目の前にいる女の子たちも、なにやら異変に気づいたようだった。
「……おい、華姉ぇ? この男モンの制服着た子って、もしかして『奈緒ちゃん』か?」
「そうよぉ? 昨日新しい子が家族になるって、みんなに伝えたじゃない。」
「いや、この子どう見ても『ちゃん』って感じではねぇぞ……? 輝良姉ぇみてーに男装してんのか……?」
「ふっ……なかなか凛々しい子じゃないか…。 まあ、ボクのカッコよさには負けるけどね…!!!」
「まあ、せっかく家族になるのですから、性別など関係ないではありませぬか!!!
仲良くいきましょうぞ!!!!」
「いや、関係ないわけないでしょ!? こいつ、どう見たって男子じゃない!!!」
どうやら………俺がいる目の前で、がやがやと騒がしくこの状況を話し合っているようだ。
ふと隣をちらっと見ると、華さんがあわあわと慌ててこの場を収めようとしている。
・・・華さん、さては家族の人たちに俺のことをよく説明しないままここまで来たな…?
「……あ、あのぉ………
奈緒ちゃん? くん? って、女の子ですか……? それとも、お、男の・・・・」
俺がこのなんとも気まずい状況に固まっていると……
9人を代表して、気弱そうでいかにも真面目な黒髪おさげの女の人が俺におずおずと質問してきた。
「い、いや…普通に男ですけど………。」
「「「「「「「「「・・・・・えーーーーっ!?!?!?!?!?」」」」」」」」」
俺の発言を聞いて、俺の目の前の9人の女の子が一斉に心底驚いたように声を上げる。
流石にここまで驚かれると思っていなかったので、俺もぽかーんとしたまま9人の方を見る。
「やったーーっ!!! ひなた、ずっと男の子のきょうだいが欲しかったんだーーーっ!!!」
「あーしもー!!!! 奈緒っちー!!! これからよろしくー!!!!!」
「ふっ……!!! 奈緒クンよ、歓迎しようではないか!!!
そして、ボクたちと共に新たな美への境地へと辿り着こうっ!!!!」
「よろしくお願いしますぞー!! ところで、奈緒どのは何が好きなのですかな?
しょーせー、何でも語れますぞ!!!」
その後の女の子たちの反応は、はっきりと二極化していた。
俺のカミングアウトを聞いて、喜んで歓迎してくれる人たちもいたのだが………
「華姉ぇ、正気かよ!?!? 流石に男は聞いてねぇぞ!!」
「……っ……………うぅ…………/////」
「……は? なんで見ず知らずの男といきなり家族になんなきゃいけないワケ?
うち、ヤなんだけど。」
「……さすがに………男の子と一緒に暮らすのは………その…………
ごめんなさいっ………恥ずかしいっ………////」
「断!固!反!対っ! よ!!!!
いくら華ねぇの決めたことだとしても、花蓮はぜーーったいに反対よっ!!!!!」
さすがに、急に見知らぬ男が家族になることに抵抗を示す人たちもいた。
・・まあ、普通の女子の観点から見れば、そりゃ嫌だろうな…………。
どこの馬の骨かもわからないような男と、ひとつ屋根の下で暮らすなんて…男同士だって嫌だ。
それが女子ともなればなおさら、嫌悪感しかないだろう。
「…だいいち、なんで男なワケ?
よくわかんない男かんたんにホイホイうちに招き入れて、みんな襲われちゃったらどうすんの?」
「……っ……!?!? お、襲っ…………!?!?!?///////」
黒いフードに猫耳のヘッドホンをつけたダウナーな女の子が、俺の方にものすごく冷たい目を向けながら蔑むように言い放つ。
………まあ、当然の反応ではあるのだが………さすがに、少し傷つく。
「今回ばっかりは、あたしも綾香の意見に賛成だ。 信用ならねえ男とひとつ屋根の下で生活すんのは、さすがに抵抗がある。」
「えー!? なんでー!!? 霞ねぇだってかわいい弟がほしーって言ってたじゃん!!!」
「ば、ばか!!! バラすなよっ……!!!!」
「あわわ………み、みんな…一旦落ち着いて……?」
みんながみんな、各々の考えを俺と華さんにぶちまけている。
華さんも、自分が巻いた種であるこの状況にあわあわとあわてて場を収めようと必死になっていた。
・・・・・・・俺のせいだ。
・・・・・・・・・・・俺がいるせいで、華さんたちの家族が2つに割れちゃったんだ。
自分の胸が締め付けられるような、苦しく切なく、やるせない感覚。
ぎゅっと唇を噛み締め、断続的に襲ってくるその感覚と戦う。
「…だいいち、アンタもなんで華ねぇに着いてきちゃうのよっ!!!!!
家族が死んで独りぼっちなのかもしれないけれど、花蓮たちにはカンケーないからっ!!!!!」
「ちょっと花蓮ちゃん……!! そんな言い方っ………!!!!」
「良い!? アンタなんかの居場所は、この家にはどこにもないんだからぁっ!!!!!!」
華さんの制止もむなしく、1人の女の子の言葉の刃が俺に突き刺さる。
・・・・・・そうか。 やっぱり、この家にも俺の居場所はないのか。
「……すみません。」
胸からこみ上げる熱く苦しい感覚を吐き出すように、自分でも気づかないうちに俺の口から言葉が飛び出た。
「俺、やっぱりこの家じゃお邪魔みたいです。
元いたところに帰ります。 ごめんなさい……………………っ…………!!!!!」
「な、奈緒くんっ!!!!!!!」
華さんが俺を引き止めるような声が、はるか後ろの方からかすかに聞こえてくる。
気がつくと俺は、無我夢中でもと来た道を全速力で走っていた。
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