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『巡り合う運命』2

部活の時間が近づいてきたので、私は練習着を手に持って更衣室へ向かった。扉をそ〜っと開けると、すでに何人かの部員が着替えを終えて、鏡の前で髪を整えているところだった。


私はロッカーを開けて、制服のボタンを外しながら、ふと鏡に映る自分をチラッと見る。窓からの光が髪に差し込んで、ほんのりキラキラしてて……なんかちょっとカッコいいかも?


「さて、と…」


制服を脱いで、パパパッと部活ジャージに着替え完了っ☆。いつもやってるはずの動作なのに、なんだか背筋がピンって伸びる感じ。やっぱり、部活って始まる瞬間が一番ドキドキするんだよね〜。


よ〜し、最後にポニテ準備っ☆ 髪ゴム、どこだどこだ〜〜っ!


長めの髪を両手で集めて、ポニーテールにしようとグッと上に持ち上げると、ふわ〜って髪が揺れて気持ちいい♪ 指先でゴムをくるくるっと巻いて、キュッと締めたら――耳元にさらっと髪が落ちてきて、ちょっとだけゾクッとした。


ポニーテールにすると、視界が広がって、気持ちもシャキーン!


「深呼吸して……うん、今日もがんばろっ。」


鏡の中の私に、そっと小さく笑いかけて――

それから、部室でラケットや水筒を準備して、ゆっくりテニスコートへ向かった。

すでに新しい部員たちが集まってて、ラケット片手にウォーミングアップ中!

みんなやる気まんまんだ〜っ。


外に出ると、夕方の光がコートをふわっと包み込んでて、空はうっすらオレンジ。昼間の暑さもすっかり引いて、風が涼しくて気持ちいい〜。


ラリーしてる先輩たちを見ながら、私も自然と気が引き締まってきた。


練習が始まると、私はもう夢中でボールを追いかける、追いかける!


「テニス部、入ってよかったなぁ……」


正直、最初はちょっと迷ってた。でもいまでは、部活が楽しすぎて仕方ないっ!ボールを追いかけるのが本当に楽しくて、毎日が待ち遠しいくらい!


先輩たちと一緒に練習してるとね、なんかこう――ふわ〜っと、前の人生のことが、よみがえりそうになる瞬間があるんだ。……でも、まだぼんやりしてて、よくわかんないし。誰にも言えてない、私だけの、ひみつっ。


そして、今日の練習試合。相手は、なんと高橋玲奈先輩!


試合が始まると、私はひたすらボールを追いかけて走りまくった。まるで、前世でボールを追ってた犬みたいに――って、まんまじゃん!?


でもその感覚が、気持ちよくて、楽しくて。気づけば、夢中でコートを駆け回ってた。


……だけど、最後の最後でミスしちゃって、負けちゃった〜〜〜!


「すごい粘りだったわね、犬神さん。あなた、ほんとうに楽しそうにプレイしているから、見ていて気持ちよかったわ。」


って、玲奈先輩が笑顔で言ってくれて……嬉しすぎて、顔がぽかぽか〜って熱くなった!


「今日の試合、本当に勉強になりました!もっと練習頑張るので、またいつか挑戦させてくださいっ!」


私は元気いっぱい、ちょっとだけ悔しさをにじませながらも、そう言った。


部活が終わって、私は部室へ。汗をかいたままだと、なんだかお肌がぺたぺたして気持ち悪いから、タオルでやさしくポンポン♪ それから制服に着替える準備っ!


部活ジャージを脱いで、制服のシャツを羽織ると、ふぅ〜って汗が引いていくのがわかる。鏡越しに髪の乱れも、手ぐしでそっと整えて……よし、これで大丈夫っ。

ゴムをほどいてポニーテールを解くと、髪がふわっと広がって、ちょっと落ち着いた感じ♪


リボンをキュッと結んだら、よしっ、切り替え完了っ!


(ふぅ…今日もがんばったなぁ。)


心の中で、そっとつぶやいた。静かにドアを開けて――私は、ゆっくりと部室をあとにした。


テニスコートの横を通って、廊下へ出ると……あっ、前から歩いてくるのは――長谷川信也先輩!?


長谷川先輩は高校三年生で、バスケ部所属。クールで大人っぽくて、なのにすっごく話しやすいっていう……ズルいくらい頼れる先輩!


「さっきの試合、すごかったね。君の粘り強さ、本当に見ていて気持ちよかったよ。」


わ〜〜〜〜!?見てたの!?うわぁ、うわぁ……照れる〜〜〜っ!!


「ほんとうにありがとうございます、先輩っ!」


私、思いっきり笑顔で答えた。顔、ちょっと真っ赤だったけど……っ!


先輩は、なんでも真剣に取り組んでて、それでいてすっごくやさしい空気を持ってる。後輩のこともさりげなく気にかけてくれるし、私もめっちゃ尊敬してる先輩のひとり!


「次も頑張ってね!応援してるよ。」


その言葉に、胸がぽかぽかして、「よーしっ、もっと頑張っちゃうぞ〜!」って思えた。


学校の門を出ると、夕方のやさしい風がほっぺを撫でてくる。空はほんのりオレンジで、街灯がぽつぽつ灯り始めてる。


「今日は、疲れたけど……すっごく充実してたなぁ〜♪」


独り言みたいに呟きながら、私は家までの帰り道を歩き出す。住宅街はしんと静かで、どこからか夕飯のいい匂いが……あれ?お腹鳴りそう。


いつもの通学路をのんびり歩きながら、今日の出来事を頭の中でぐるぐる振り返る。試合のこと、先輩の笑顔……うぅ〜、思い出すたびに顔が熱くなっちゃう〜〜!


家の近くまで来ると、ちょっと安心。窓の向こうから家族の気配がして、ほっとする感じ。


玄関を開けると、ふわっと夕方の空気の匂い。


「ただいま〜っ!」


声をかけると、キッチンからママの声が返ってきた。


「おかえり、千陽。部活おつかれさま。」


「ありがと〜!ちょっと着替えたら、ゲンキのお散歩行ってくるね!」


「ご飯の前には帰ってきなさいよ〜」


「うんっ、すぐ戻るー!」


自分の部屋に入りながら、制服のリボンをほどいて、クローゼットをゴソゴソ。お気に入りのカジュアルコーデに着替えて、髪をちょちょっと整えて、いざリビングへ。


玄関では、ゲンキがリードの前で「まだ〜?」って顔して待機中。しっぽをフリフリしてて……もう、かわいすぎかっ!


「はいはい、お待たせ〜!今日はいっぱい歩くよっ!」


ゲンキの頭をなでなでして、リードをしっかり握って、玄関のドアをオープン!


ゲンキは私の隣でテッテケ歩きながら、たま〜に私の方を見上げてくる。そのたびに「なに〜?」って笑いかけると、しっぽぶんぶん振って満足そう。


まるで「ちゃんとついてきてる〜?」って確認してくれてるみたいで、もう愛おしさ爆発!!


「だいじょうぶだよ〜、ちゃんといるって♪」


ゲンキの背中をポンって軽く叩いて、歩くテンポを合わせる。


夕日に照らされたゲンキの毛並みが、ふわっと金色に輝いてて……うん、ほんとに可愛い。尊い。癒し。


そのとき、ふと思ったの。


――「あのね、私……前世で犬だった頃の“ご主人様”の気持ち、ちょっとだけ分かった気がする。」


そばにいてくれるだけでうれしくて、ただ一緒にいる時間があったかくて。


……たぶん、ご主人様も、私と同じ気持ちだったんじゃないかな。


だから、私もゲンキをもっともっと大切にしたいなって思う。


今日は、いつもより長めにお散歩しようっと♪


そんなことを思いながら、私はそっと、ゲンキの頭を優しく撫でた。

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