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2−20 レナード・ラッセル公爵

「初めまして、レナード・ラッセルだ。

 そして、妻のジャクリーンだ。」

「お初にお目にかかります。ジェイムス・スタンリーの娘、

 エレノーラに御座います。」

「まあ、掛け給え。」

「失礼致します。」


 ラッセル公爵家の豪華な応接室にてお茶を振る舞われる。

もっと狭い部屋の方がよかったんだけどね...


「今回は娘が世話になった。

 我々も娘の力になれずに忸怩たる思いだったのだが、

 おかげで助かったよ。

 ありがとう。」

「もったいないお言葉です。」

「ところで、娘の婚約者であるノーマンや使用人からの報告はあるのだが、

 実際のところ、何があり、何で解決したのかを教えてもらいたいのだが。」

「問題はお嬢様の肩にあった様です。

 正確に何があったかは私には判断できませんでした。

 よって、当初は肩、次に心臓、肺、首筋に水魔法の治癒をかけ、

 毒消し、炎症止め等の効果を持つ薬草を塗ってみたのですが、

 何が効果があったのかは判明しておりません。

 それとも、お嬢様に魔法練習をして頂いたのが効果があったのかもしれません。」

「最初に聞きたいのは、何故、肩に障害があると分かったのかだが?」

「私は魔法感受性が強いので、

 お嬢様の頭部から感じる魔力が学院生としては問題ない程度にある事は判りました。

 実際に呪文を唱えてもらい、肩と二の腕に触れさせてもらい、

 その部位に感じる魔力の差およびこちらから発する治癒魔法の浸透具合から

 肩に障害がある事が判りました。」

「それは他の魔法師には判らないものなのかね?」

「魔法感受性の問題ですから、水魔法師や治癒魔法師なら分かると思われます。」

「障害自体は何か判らなかったのかね?」

「私には判りませんでしたが、治癒魔法の得意な方なら判ったかもしれません。」

「なるほど、判った。

 それで、後は娘の今後の魔法練習の事を相談したいのだが。」

「公爵家付きの魔法教師の方にお願いされた方が良いと思います。

 魔法指導は専門の方に相談すべきかと。」

その辺りはお抱え魔法師に失地回復の余地を与えないと。

後が怖い。

もう敵は一つ作ってしまったのだから、これ以上増やしたくない。

「判った。

 後、本件でお礼をしたいのだが。

 何か希望はないかな。」

「ラッセル公爵閣下のお嬢様とお会いする事を

 王太后陛下に相談させて頂いたのですが、

 利益供与などは問題となるとご指導を頂いております。

 もしよろしければ、今後も友人としてお会いするお許しを頂ければ

 と思います。」

「ふふっ、それもそうだな。

 今度、時候の挨拶の品でも送らせていただこう。

 娘とは仲良くしてやって欲しい。」

「寛大なお言葉、ありがとうございます。」


 ここまでやった以上、警告を伝える必要があったから、

公爵から会うと言ってくれてよかった。

話は伝わった様だしね。


 エレノーラが辞した後、

夫人が言った。

「障害が何か判らなかったけれど、解決したというのはどういう事でしょうね?」

「私にまで恍ける必要はないぞ。

 本件、多言無用という事だ。

 ただし、小さくない借りだ。

 いずれ彼女本人か、スタンリー家に力を貸す事は必要となろう。」


 さすがに公爵家当主である。

エレノーラの言わんとした事は理解していた。

魔法感受性の高い魔法師なら報告すべき事が報告されなかった事、

そして、治癒魔法師なら報告すべきで、

或いは解決できる事が着手されなかった事。

そうなると、この問題は娘の問題ではなく、

ラッセル公爵家への害意という問題だ、と警告しているのだ。

しかもその相手も明らかだ。借りは小さくなかった。


公爵本人と伯爵令嬢だからひたすら低姿勢にならざるを得ないと

思うのですが。

私も貴族ものなんてなろうでしか読まないから

今一距離感が分からない。


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