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2−14 2年1組の魔法の授業(6)

 水魔法師の指導は順調だ。

むしろ私の足を引っ張るのは魔法院謹製の資料だ。

3つ目の中級魔法、ウォーターカットの資料に至っては10枚を越えた。

もちろん2枚に纏め直した物を指導用に別途渡している。

しかし、複写する私の身にもなって欲しい。

コリンが煩い。

「なあ、いくら何でも多すぎないか?」

「魔法院の拘りポイントです。

 きっと愛が詰まってます。」

「魔法院が愛を振りまいているとは初めて聞いたぞ。」

「そういう事で、こちらは家庭での睡眠誘発用として、

 短くまとめた方を参考に練習をお願いします。」

「読んで分かんねぇと決めつけんなよ!」

「多分、半分位はちゃんと調べないと何が書いてあるか分かりませんよ?」

「参考事項をまとめてくれてるんじゃないのかよ!?」

「彼等が学院2年生の平均的な知識に配慮してまとめる気配りが

 あるとは思えません。」

「酷い言い方だな…」

「事実ですから。」

カーラが意外と嬉しそうだ。家では本の虫なんだろうか。

キースは若干不安そうだ。

「俺達はまだウォーターボックスの練習で良いんだよな?」

「上期試験は中級魔法を2つ発動すれば良いのですから、

 今のペースなら3つの魔法をある程度練習できる為、

 上手く出来た魔法2つを選べますよ。

 このペースで進めていきましょう。」

「ああ、まだ上手く出来てねぇからな。」

魔力の弱い3人はまだまだ練習が必要だが、

それでもペースは良い方だろう。


 問題は土魔法師の方だ。

魔力は6人は問題なく、2人は若干弱め、4人が不安

という所の筈だけど…

エルシー・クーパーが私の指示を全く聞かない。

それでも家庭教師がしっかり指導しているなら上達している筈なのだが。

もう2つ目の中級魔法の資料を配っているのに、

1つ目の魔法が上手くいっていない。

魔力が不安な4人は形の上では上手くいっている。

及第点がもらえるサイズは作れていないのだが、

そこは練習で工夫してもらうしかない。

一方、エルシーはサイズはともかく形が崩れてしまうのだ。

他の人が私の提案する工夫のどれかで上手くいっているのに、

頑なに私の工夫を拒む。

キャサリンには「家庭教師のおかげです〜」とか適当な事を言って、

私の提案ではなく他の土魔法師の工夫を流用したと思って

工夫を利用すれば良いんだが。

何を意地になっているのだろう。

キャサリンと私の間には敵対関係があるが、

エルシーは巻き込まれただけで私に思うところは無いだろうに。

魔法練習で一人遅れているのを彼女も気にしている。

私に対する気持ちより成績の方が重要だろうに。


 しょうがない。

デビットを巻き込みたくないんだが、

彼に一肌脱いでもらうしかなさそうだ。

つつっとデビットに近づき、耳打ちする。

遠く火魔法師の集団の誰かさんが目を剥いたかもしれない。

デビットは横目でエレノーラをちらりと見て軽く頷いた。

「なあ、エルシー嬢、教師から聞いた事なんだが、

 土魔法で高さ方向に伸ばす場合、

 地面部分を広めに上の方を狭めに整形すると崩れにくいそうだ。

 やってみないか?」

これなら妥協点になる筈だ。

侯爵子息の申し入れを無下には断れない。

元は誰の指示だろうが。

それでもエルシーは下を向いて、

ギュッと目をつぶっている。

そこまで決断に迷うところ!?

しばらく俯いていたエルシーは漸く頭を上げて、

口を開いた。

「ありがとう、やってみます。」

「ああ、そうしてくれ。」

エルシーは呪文を詠唱する。

地面が隆起し、地面側が幅広く、上側が幅が狭く整形された土壁は

若干柔らかそうだけど崩れない。

エルシーはその壁が崩れないのを見て、

両目にハンカチを当てて固まってしまった。

そんなに辛くなるまで我慢しなければ良かったのに。

ふっと息を吐いたデビットが横目でエレノーラを見て

軽く肩をすぼめる。

エレノーラは会釈を返した。


 やる事はやっているのだからこちらの問題ではないと思うけど、

人の上に立つ様な人なら上手く解決出来る事なんだろうな。

人の上に立つ様な人ならそもそもこんな風に拒否させないだろうけど。

学園パートはアクセスが増えませんね。

私は好きなんですが。

そういえばキーワード「学園」の投稿作品は異世界とか女主人公より

ずっと少ない。


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