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2−11 魔法院(12)

 ランディーにこういう話をするのは気が引けるが、

魔法学院上層部が私に丸投げしているのは問題だと思う。

学院改革という話が出ている筈なのだから。

よって、チクる必要がある。

「ランディー様、一つ相談があるのですが、

 よろしいでしょうか。」

「必要なら聞くが、何だ?」

「先ず、2年進級当初から魔法実技の授業にて、

 水魔法師の指導を丸投げされております。

 本件、学校改革の点で要改善点と思いますが如何でしょうか。」

「学生が自主的にお互い指導しているなら問題ないが、

 教師が責任を押し付けているなら問題だろうな。

 それだけか?」

「先日、土魔法も指導する様に指示されまして、

 流石に合計21人の指導は出来ないと感じています。

 せめて水魔法師だけの指導になる様に、

 魔法院の上層部から申し入れて頂けないでしょうか。」

「分かった。今から総長に直談判しに行こう。」

いきなり魔法院総長に直談判!?

…ランディーを止める者は総長以外にいないのか。

この人が何かする度に常識がぶっ飛んで行く。

無理が通って道理が引っ込む事ばかりだ。


 魔法院3階は機密保持の関係上、見張りが二人立っているのだが、

ランディーが申し入れると一人中に入り許可を取っている。

門前払いはないんだね。

多分既に揉めた前例があるのだろう。


 ブライアン・ノットは魔法院総長である。

研究開発タイプの人間ではなく、

魔法兵を率いる兵部出身である。

但し、その元の部署を率いていたが故に折衝経験が多く、

内外との調整を期待されて40才にしてその地位に付いている。

「ブライアン、魔法学院に申し入れが必要だ。

 給料ももらっていないエレノーラに指導をさせている。」

「ちょっと待て、ランディー。

 何があったか詳しく話せ。」

「エレノーラ、説明しろ。」

いきなり振るし。この人に文句を言っても無益だから良いけど。

「初めまして、エレノーラ・スタンリーです。

 今年から2年1組に所属しておりますが、

 魔法実技の授業で水魔法師の指導をする様に指示され、

 年度初めから指導しております。

 それは良いのですが、

 土魔法師も指導する様に言われて、

 さすがに合計21人を相手にするのは精神的に負担が大きく、

 土魔法師の指導はお断り致したく、

 お願いに参った次第です。」

「1組は聖魔法師もいるが例年2〜3人だから、

 25人を二人の教師で指導して、21人を生徒一人で指導か。

 そりゃあ、文句を言う案件だな。

 他に問題点はあるか?」

「それらの指示がどちらも授業中に行われているので、

 内容のすり合わせも拒否も出来ません。

 授業を手伝わせるつもりなら、

 授業前に内容をすり合わせた上で拒否権もあるという前提で

 協力を依頼する事を徹底して頂きたいです。」

「丸投げの上、拒否権も無しか、そりゃあ酷すぎるな。

 いじめにしか見えない。」

「教師の言葉に何らかの感情は含まれていない様なので、

 教師自身の意思には見えないんです。

 だから、あるとしたら上層部の悪意と思われます。」

「教育改革でこちらと学院側で揉めているからな。

 余波が行ったのかもしれない。

 すまなかったな。」

「とりあえず状況の改善をお願いします。」

「うむ。

 ところで、指導状況はどうなんだ?」

「簡単な呪文解説を書いて、それを元に追加指導しています。

 上位貴族は充分な指導を家庭教師から受けていますが、

 それ以外の半数がそもそも魔力不足で指導をしても難しいのです。

 そう言う魔力不足の人に対する指導方法のノウハウがあれば

 是非知りたいんですが。」

ここでランディーが割り込む。

「待て、呪文解説内容を教えろ。

 正しい指導が出来ていないなら大問題だ。」

いや、待って。そちらは問題じゃないから。

魔力不足をどうするかが一番の問題なんだから…

と言っても無駄だね。呪文第一か、この人は。

不味い事を言ってしまった…

ところが…

「呪文解説については教育改革にも関わるから

 魔法院で一度チェックした方が良いだろう。

 何を解説したか残っているのか?」

うあ、総長まで見せろと言い出した。

大事にする内容じゃないと思うんだけど。只のメモだし。

「原本は残っていますが、

 主に参考書等に書いてある内容を簡単にまとめただけで、

 大したものじゃないですよ?」

「そこを判断するのは俺達だ。

 まずは持って来い。」

「うむ。まず見てみないと何とも言えないな。」

ギャー…藪から蛇が二匹出てきた。


 次の魔法院の指導の時に持ってきた中級水魔法解説の紙切れ2枚で

水魔法部が紛糾した。

水魔法部全員と総長まで出席してこれが足りない、

これはそうじゃないと互いの指摘を互いに批判し始めたのだ。

全員が言うことを一々書いたら、一魔法に付き5枚書いても足りないよ。

ここは魔法に人生かけてる様な人間揃いだというのが良く分かった。

…ここに就職するの?

かなり嫌だな。


久しぶりのランディー。

少し後にまたまとめて出ます。

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