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2−3 剣の授業(5)

新学年になって最初の剣の授業で、エレノーラとポール・サマーズ公爵子息は

打ち合いを行った。

赤毛が様子見に剣を打ち付けると、エレノーラが上手く受け流して反撃してくる。

その剣が以前より力強い。

王城で婚約者候補の教育を受けていると聞くから練習不足かもと思っていたが、

こいつに関してそういう心配は無用だった。

剣の見極めも正確になっている。

一体何をやって来たんだ?と疑問に思う位、

全体的にレベルが上がっている。

実は令嬢教育で姿勢が良くなり、また身体の中心線付近の筋肉が鍛えられた為、

視線の揺れも少なくなり、見極めも良くなったのだ。

最終的には力に勝る赤毛の勝ちとなったが、

大分慌てた自覚が赤毛にはあった。

エレノーラも手応えを感じたのか、

面防具を外した顔が満足そうな顔をしている。

頬が紅潮している時にそんな顔をしていたら…。

惚れる奴がいるだろうが、と赤毛は心の中で突っ込んだ。


 僅かな休憩の後にデビット・マナーズ侯爵子息との打ち合いになった。

いつもの連打を予測して細かい回避を考えていたエレノーラに対し、

デビットは軽打した後、エレノーラの移動を良く見ながら重めの一打を防御させ、

動きを止めての打ち合いに終始した。

(動きが適切になっているからな)

とデビットは考え、一打一打の重み、正確性を重視して攻めた。

赤毛との打ち合いを見て、連打の速度より力勝負にすべきと思ったのだ。

これらの普通の打ち合いの後、鍔迫り合いに持ち込んで体勢を崩した後に

エレノーラの首筋に剣を当てて勝負が決まった。


 エレノーラとしては油断していた訳ではないが、

デビットも一本調子ではいけないと色々考えている事に感心すると同時に、

自分ももっと戦術を考えないといけないな、と反省した。



 その日の夕方、王子の執務室に、

先日のキャサリン事件…

処分していない以上事件とは言わずインシデントと言うべきか。

この件の報告が来ていた。

キャサリン以外の生徒達は親に報告したらしく、

フィッツレイ公爵家に各親が出入りしたとの事。

その後、フィッツレイ家からスタンリー家に謝罪らしき行き来があった事、

内密に王家にも申し出があり、

キャサリンの通学以外の外出自粛が報告されたとの事。

おまけとしてキャサリンとエレノーラが対峙していた際に

付近に潜んでいたのがポール・サマーズとデビット・マナーズだった事も

報告された。


 卒業記念ダンスパーティでデビットがエレノーラと踊った事は

アーサーにも記憶にあったが、

それ程親密とは思っていなかったので、この情報には驚いた。

彼は侯爵家の跡取りだから、

同級生の男の中では王家を除けば一番の優良物件だった。

しかも剣の実力は騎士志望者3人に次ぎ4強と言われる強さだった。

彼がその気だと自分は不利な気がするアーサーだった。


 机に向かって項垂れるアーサーを見て、

「どーした?」

とマイクとギルバートが話かけるが、

アーサーは報告書を持ち上げるだけである。

マイクが手に取り2人で眺める。

あーなるほど。

彼等から見て、エレノーラ以外の婚約者候補の3人はアーサーには手に余る。

王家としての最終的な判断は分からないが、

それ以前に向こうが仲良くなってしまうと王家としても配慮しない訳にはいかない。

ギルバートが励ます事にした。

「おい、アーサー。

 デビットもポールもエレノーラが俺に飛ばした殺気に気づいて

 ついてっただけだから安心しろ。」

「…殺気って何だよ。」

「エレノーラが女達には知らせずに俺に知らせようと気を飛ばしたんだよ。

 その辺が手練れには分かるって事だ。」

「…僕には分かんなかったよ。」

あ、傷口に塩塗り込んじまった…

何やってんだよ、とマイクが睨むが、

ギルバートは、じゃあ何とかしろよ、

とマイクを逆に睨んだ。

しょうがないからアーサーの後ろに回り込んで

右肩をギルバートが、

左肩をマイクがぽんぽんと手で叩いて慰める事にした。

もちろん、何の役にも立たない行為だった。

短めすいません。

投稿しようとしていた話が人の情を無視する話になっていたので、

自分的にダメ出しで前後を差し替える事にしました。

これももうちょっと膨らましたかったんだけど…


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