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1−50 王子の執務室(1)

さて、王子の婚約者候補達は、

婚約者教育ばかりやっていても王子と心が通う訳がない。

という事で、王子の執務室に週1回訪れ、

手伝いをし、その後にお茶をするらしい。

という事で王子の執務室に連れてこられた。


「婚約者候補としては初めまして。

 エレノーラ・スタンリーです。」

「ああ、色々と大変だけれど、頑張って欲しい。

 とりあえずそちらに座ってくれ。」

アーサー、マイク・ヘイスティング伯爵子息、

ギルバート・フレッチャー子爵子息と共にテーブルを囲む。

マイクとエレノーラは面識はあっても話をした事はなかった。

アーサーが一応二人を紹介した後、

執務の内容を説明してくれる。

「王家の直轄領の一部の経営に関して携わっているんだが、

 これについて学び、助言をして欲しい。

 君は領地経営について何か経験はあるか?」

「ありません。騎士団の見習い以外には経験がありませんので。」

「では特にやりたい事等はないと考えて良いね?」

「はい。そういう未経験者に配慮して頂けるのであれば、

 選り好みは致しません。」

「では、とりあえず該当する地域の冬至祭の予算配分について学び、

 試案を算出して欲しい。

 夏休みの間にやってもらえれば良い。」

「つまり過去の予算を調べ、本年度に予想される経費案を算出する、

 と考えれば良いのでしょうか?」

「そうなるね。

 各領地の過去の経費は城の財務部に保管してあるから、

 閲覧して数字を書き写して来れば良い。」

「なるほど、そうして城内の各部の位置や関係者との

 顔繋ぎをする訳ですね。」

「実際には代官が執務をやるのだし、

 王家に入っても何事も執事を介してやる事になるのだけれど、

 成人前なら教育という事で顔を出す事も許容されている。

 何事も経験しないと腹落ちしない物だからね。」

「分かりました。」

侍女と侍従を付けられて、財務部へ行く。

ここで気になる事を侍女に聞いておく事にする。

「ところで、他の婚約者候補の方々はどの様なお手伝いを

 やっているんでしょう?」

「フィッツレイ家のご令嬢は最近は街道筋の都市の経済支援について

 試案を提案していらっしゃいます。

 ゴードン家のご令嬢は農村の支援策を立案したと伺っています。

 スペンサー家のご令嬢については担当日の関係で存じません。」

エリカ・スペンサーの情報が出てこないのは本当に知らないのか、

或いは問題があるのかは不明だが、

アンジェラ・フィッツレイとグレース・ゴードンは才色兼備との噂通りに

良い仕事をしているらしい。

対して、お祭り予算が担当の私…

まあ、いいか。

私自身すら、こういう仕事に対する自分の能力に期待をしていないし。


財務部にて指定された3つの都市の過去の冬至祭予算を確認し、

書付けて執務室に戻る。

アーサーは書類仕事をしているが、

マイクは本を読んでいる。

ギルバートは居眠りをしている。

何やってるんだこいつら。


侍従と相談して過去の比較を行う。

都市規模と都市予算、税収などから比例配分されていれば問題ないが、

判断に困る点がある。

彼の指示に従い、来週再度、財務部にて他の情報も入手する事にする。


「そろそろお茶にしようか。」

アーサーが声をかけてくれる。

顔に疲れが現れている。

独りだけ仕事をしているのだ。誠に申し訳ない。

「調べ物は上手くいったかい?」

「侍従と相談して、来週に再度調査確認して来ます。

 よく分からない点があって。」

「それほど急いていないから、

 納得するまで調べれば良いよ。」

「はい。お言葉に甘えさせて頂きます。」

「何か質問はないかい?」

「仕事と関係ない事で良ければ一つ。」

「まあ、答えて問題ない事なら答えるよ。」

「マイク様は何を読んでいるのですか?」

そっちかい!アーサーはがっかりした。

顔には出さなかったが。

マイクは読みながら時々お茶を飲んでいたが、

顔を上げて言った。

「趣味の本だよ。」

「聞いて楽しい内容じゃないぜ?」

ギルバートが一言答えた。

「どの様な内容で?」

仕事をしているアーサーを放っておいて読むのは何なんだ?

とエレノーラは疑問に思っていたのだ。

だからアーサーはがっかりする必要はないのだが。

「100年前の猟奇殺人に関する本だよ。」

…そりゃ確かに聞いて楽しい内容じゃないね。

当時の騎士達は捜査の為に足が棒になった事だろう。

それにしても、

どうやら王子の友人二人は王子の執務には貢献していない様だった。


王子の友人達は側近という訳ではないのです。

あくまで王に選ばれて友人として付き合っているだけ。

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