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1−4 授業風景

印刷技術が発達していないこの世界では、書籍は写本であり、高価なものだった。

上位貴族なら副読本または参考書に類する書籍を用意出来たが、

下位貴族や平民では無縁の物だった。

故に、エレノーラは図書館で紙束に要点を手書きで写すしかなかった。

その予習結果を持って魔法の授業に臨んだのであるが…


「…魔法は四種の…基本属性は…」

(聞こえない!)

前から2列目に座り、授業を真面目に聞く気でいたエレノーラでさえ、

教師の声は殆ど聞こえなかった。

後ろの方に座っている貴族の子女達に聞こえる筈のない教師の声量だった。

板書はしてくれるが、それは要点だけ。

話す量の方が多いのだが、聞こえない。

仕方がないので、強化魔法で聴力を強化して聞くことにする。

「戦時において威力を発生するのは火魔法であるが、日常においては水魔法、土魔法も有用であり、物の移動に利用できる風魔法も必要である…(ボソ)が火魔法以外は下に見られるんだよな…」

聞こえない部分は無駄な愚痴などを口に出していた。

(真面目に授業やってよ!)

無駄な部分も聞き取りながら要点を書きつけていくが、

聴力強化が辛いのは、余計な音も拾ってしまうことである。


「クスクス、何あれ、こんな初歩までいちいち書き込んでるなんて」

「全然勉強してないから、上位貴族なのに2組に入ってるんでしょ」

「しー、静かにしないと、授業態度が悪いって注意されてあんなのより評価が低かったら大変でしょ」


後ろの席の無駄口まで拾ってしまうのである。

惨めだった。

本来は聞こえない声だから聞こえないフリをすれば良くても、

自分の中で心の傷は隠せなかった。


講義自体は図書室で見つけた参考書とほぼ同一の内容だった。

予習復習で聞こえない部分は補完できると思う。

水魔法主体で書付ておき、

一般論も授業内容部分を覚えていけば良いだろう。


魔法理論の授業の後は、

タウンハウスから通う令嬢達は学校から帰宅していく。

魔法実技がない日は女生徒は午後には授業がないのだ。

この日の午後には剣の授業しかない。

寮住まいの者と男子生徒が食堂で食べる。

エレノーラが利用する食堂は平民用食堂だ。

最低限のマナーは教わっているが、

卒業後は領地騎士団に入るエレノーラには貴族付き合いは不要だし、

そもそも付き合ってくれる相手もいないのだから、

平民食堂ばかり使うつもりだ。

但し、貴族食堂と違い無料支給の平民食堂は質より量の内容だった。

地元では食事は貴族用だったエレノーラとしてはかなり寂しいものだったが、

いずれ領地騎士団でこんな内容の食事を続ける事になるのだから、

慣れる必要はあった。



1−1話を再度手直ししました。

国家総人口が気になっていたんです。

平民の魔法師発生割合が実質六十人に一人、

こうなると男爵領あたりでは女性魔法師は強制妾化されそうなので、

王都の学校に通う平民は九十人に一人程度となり、

王都と各貴族家合計の平民魔法師数は200人、

各年齢人口は18000人、

1才から50才までの人口が合計90万人となります。

この人数では大国とは言えないですね...

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