1−18 上期の終わり
上期最終日には成績が成績表の形で告げられる。
生徒には生徒向けの通年用成績表を一時渡され、
新学期には返却する。
一方で貴族家のタウンハウスには半期毎に手紙で報告される。
成績は剣の評価が5なので学年10位以内である事を意味した。
乗馬は3、授業中よく落馬していたから2を覚悟していたが、
試験までに立て直したのが評価されたらしい。
魔法は3、その他は歴史が2でそれ以外は3だった。
あんなに勉強したのに...
考えが甘かったんだね...
スタンリー家のタウンハウスまで祖母に報告しに行く。
「ごめんなさい...」
頭を下げるエレノーラに、祖母は頭を撫でてくれる。
「いいんだよ、あんたなりにしっかりやったんだろう?
魔法はあんたなりにモノにできたなら今はそれでいいさ。
まず自分なりに練習してみたらいい。」
「うん...」
「ところで歴史だけ2なんだけど?
どうしたんだい?」
「え〜、時間がなくって...」
「そんなに他に時間とられたのかい?」
「いや、図書館の閉館時間が...」
「部屋で勉強しないのかい?」
「だって、蝋燭が...」
「あー、そんな心配しなくて良いから、
下期は夜も勉強しなさい。
毎月しっかり蝋燭はくれてやるから。」
「は〜い。」
「ところで、冬休みは本当に家に帰らなくて良いのかい?」
「お金かかるし。
下期始めの下級魔獣討伐演習に備えて魔法の練習もしたいし。」
「お金の事は気にしないで良いけどさ、
確かに演習に備えて魔法の練習はした方が良いね。」
「もう寮に残るって申請しちゃったしね。
しっかり練習するよ。」
「土日はタウンハウスに来なさいよ。」
「は〜い。」
学院の上期最終日は12月22日である。
これは12月25日(厳密には年ごとに違う)が冬至祭である事に依る。
12月25日は午前中に王城の礼拝堂で王家と上位貴族の前で大司教が礼拝を行う。
大司教が大聖堂に戻って、正午に鐘を鳴らして大司教が窓から手を振り、
祭りが始まる。
その前日に市民は家で前夜祭を各家で行う。いつもより豪華な食事をするのだ。
貴族は前夜祭代わりに夜会を行い、ダンスを踊る。
夜会に参加できない未成年の学院生の貴族子女達は、
その前の日、12月23日の午後に学院講堂でダンスパーティを行うので、
12月22日が最終日になっている。
パーティ優先とはどうかと思うが。
そのダンスパーティでは、
第1王子と婚約者候補達がまず踊り、
それから皆でダンスを踊るのだ。
王子が出席する以上、上位貴族は普通は参加するのだが...
ポール・サマーズ公爵子息はその場に居ない人を思う。
(まあ、剣でも振ってる方がマシだろうが...)
その頃、エレノーラはタウンハウスの庭で短槍を振っていた。
下級魔獣討伐演習中のエレノーラの主武器は短槍になるからだった。
時節柄、冬至祭を入れました。
2章で再利用するかは分かりません。
でも、ダンパを入れるか否かでその小説が男性向けか女性向けか分かりますね。
2章で恋愛要素が増えるこの小説は、
一応女性向け小説なのですが...
今イベント部分書いてるけど、
恋愛要素ない気がする...