1−16 乗馬の授業(2)
乗馬の授業は何とか格好になってきた。
馬の機嫌が悪くなりそうなら、
すこし手綱を緩める事で宥められる様になってきたのだ。
水曜の午後は授業がないから
多めに時間をかけて馬と付き合う様にした甲斐があった。
それでも何か馬の機嫌が悪い日があって、
言う事聞いてくれないなぁ…と感じる日はもうどうにもならない。
うぁ、いきりたっちゃったよ、
手綱と鐙でなんとか堪えようとしても無理!
落とされる…が強化魔法で着地し、立ち上がる。
馬は何処かに行ってしまって…いない。
赤毛のポール・サマーズ公爵子息が手綱を取って
馬の気を抑えようとしている。
「すいません、ありがとう。」
「お前は馬の機嫌を取りすぎてるんじゃないか?
偶には男共を睨むみたいに強気に相手した方がいいぞ。」
「睨んでませんよ。」
「剣の授業中、打ち合いしている時は睨んでるだろ?」
いや、睨んでるんじゃなくて、注視してるだけだけど…
「それに、打ち合いしている時以外は、
今度どんなやっつけ方してやろう、とそこら中を睨んでるじゃないか。」
フフフ、と微笑する赤毛。
そんな事ないぞ、と言いたいけれど、そう見えるくらい睨んでるかも…
とりあえずジト目で赤毛を見る。
「そろそろ収まったろう。ほら。」
手綱を渡す赤毛。
「ありがとうございました。」
「試験が近いから、しっかりしろよ。」
そう言われては、思わず視線を落としてしまう。
実技試験の日に馬の機嫌をそこねたら、立て直せそうにない…
午後の授業のない水曜と土曜には馬にブラシをかけてやる。
大人しくしてると可愛い子なんだけどなぁ...
寝落ちしてました。ので早朝投稿です。
1エピソード1話だと短くなってしまってすみません。
いつもの22時過ぎに再度投稿します。