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1−14 魔法学院教育事情

肩ひじを張っても、事態は好転しない。

孤立しているのはしょうがないけれど、せめて肩の力は抜こうと思った。

それでも事態が好転する筈はないが、少しだけリラックスできた。

学院も緑は多い場所だった。

その木々も呼吸をし、水を吸い上げて活きているんだ。

そんな事も見えていなかった。


やっぱり一人ではないと思えるのが大きい。

共に暮らすものがあるのは良い事だった。

植物は人数に数えないから一人は変わらないんだけど。

その息吹を感じるから。


そうして、心の平静をそれなりに整えられる様になって、

学院の日々に慣れた頃、

気になる事があった。


「ねえ、マリーさん、

 このままの魔法の授業のペースで、

 上期に5種の初級魔法が終わると思う?」

「9月と10月で同じ様な進み方だから、

 テストのある12月初旬までには3種しか終わらなそうですね。」

「1,2月が冬休みで、下期も3,4,5月が授業で6月初旬には

 テストだから、合計6種類で終わらせるつもりなのかしら?

 2年は中級魔法が始まる筈よね…」

「寮で上級生の人に聞いてみますね。」

結局マリーとエレノーラは平民と貴族という事で、

丁寧な話し方で喋っている。

只一人の友達だし、

初めての女の子の友達だから、

エレノーラとしてはこれで十分だ。


「ところで、マリーさんは地元の期待の星とかそんな人?」

「え、普通ですけど。」

「その割には図書館に良く来るから、頑張っているのかな、と。」

「エレノーラさんの方が良く来てません?」

「私は9才で兄から貴族との結婚はない、と言われて、

 すぐ領地騎士団入りを決めたから、

 貴族らしい教育を受けてないの。

 だからその分、ここで頑張る必要があってね。」

「そうですか…

 私は、11才の時に適正検査を受けて、

 それで土魔法の適正があったんで、

 領主様にお金を出してもらって、

 侯爵様の領都で巡回試験で受かりました。

 その後で領主様に、

 君の学費は国が出しているのだから、

 真面目に勉強しないといけないよ、

 と直接お話を伺ったので、

 できるだけ真面目に勉強をしてるんです。」

「そう、領主様も立派だけど、あなたも立派ね。」

「そんな、普通です...」

「その普通の人があんまり、ねぇ…」

ぐるりと首を巡らすと、

上級生が合計15人くらいしか図書室にはいない。

1年らしき小柄な者は二人だけだ。

多分、就職関係でお尻に火が付かないと頑張れないのだろう。

因みに農家の長男以外で魔法学院に入学した平民は、

騎士か文官になる場合は領主が基本的に推薦者となってくれる。

これら公務員は貴族の推薦がないと受験すらできないのだ。



後日、マリーの聞いてきた話では、

年によって授業で扱う初級魔法の数は違うとの事。

一昨年は6種で終わり、昨年は7種で終わったとの事。

「残りはどうするの?」

「…2年は中級魔法から始まるそうです。

 だから、残りの初級魔法は自分で覚えるみたいです。

 そもそも、各学年、

 テストの度に以前テストでやってない魔法を2つやってみせるだけだから。」

「…まあ、冬休みと夏休みが長いから、

 そこで自主的に覚えるしかない様ね…」

この学校とこの国って大丈夫?

と思わせる内容だった。



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