2−45 2年1組の魔法の授業(7)
魔法の授業はかなりきつい。
魔法子がそこら中で渦巻くのを感じるからだ。
まあ意識しなければ一際大きな魔力以外は無視出来るが。
アーサーの火魔法が意外と乱暴だ。
もう少し繊細な魔法制御をやりそうだけど、
多分最初から魔法には苦労していないのだろう。
そして聖女候補のノエル・アップルトンの周囲の魔法子はおとなしい。
教師の実演に対して勢いが違いすぎる。
その他の聖魔法師達よりは魔力が強いとは言え。
そんな風によそ見をしていた視線を水魔法師に移すと、
カーラ・ハワード伯爵令嬢の肘から先の魔法子の流れが
少し乱れ気味なのに気づく。
「カーラ様、最近右腕が疲れ気味等不調がありませんか?」
「最近刺繍を少しやっているので多少疲れているかもしれないわね。」
「そうですか…すこし肘から先のあたりを揉んでみた方が
良いかもしれません。」
「魔法に影響する?」
「少し魔力の流れが順調でない気がします。」
「詳しいというか細かいというか…何かあった?」
「そうですね、冬休み中に可憐な美少女に会ったので、
私達も頑張らないといけないという気になっています。」
「1行目と2行目の行間に良からぬ表現がある気がするのだけど。
その私達に私も入っているのよね?」
「人間の発言に行間なんてありませんよ。」
「発言の動機があるじゃない。」
「気のせいです。」
ここでコリン・カーライル伯爵子息が口を挟む。
「おい、エレノーラ!」
「何でしょう?」
どうせ下らない発言だろうけど。
「その可憐な美少女に俺がお似合いだと思わないか?」
「思いませんね。その娘、もう婚約してますから。」
「なにー!何で婚約前に紹介してくれないんだよ!!」
私が悪いみたいに言うなよ。
「無理言わないで下さい。
婚約者に紹介してもらったんだから。」
「くそー!何で良い女はみんな婚約してるんだよ!!」
知るかよ。って言うか婚約してない私を貶してないか?
コリンはしゃがみこんで地面を指でぐりぐりし始めた。
放っておこう。こいつに付ける薬は無い。
「おい、エレノーラ。」
汗だくになってウォーミングアップをしていた
キース・クロムウェル子爵子息が割り込む。
「何かありました?」
「俺の魔力の流れは順調か?」
いや、あんた今までウォーミングアップに夢中で魔法の練習してないだろ。
「じゃ、ちょっと魔法使ってみて下さい。」
「うす。」
キースの魔法はまず脳付近の魔力発生量が1組の平均以下だ。
首・肩・腕のキャパシティを上回る事は無いので
問題なく魔力は流れている。
「ちょっと二の腕を鍛えたほうが良いんじゃないですか。」
「分かった。ちょっと腕立て続けるわ。」
「…おい、エレノーラ。」
コリンが復活してるな。
「何ですか?」
「二の腕を鍛えると何が良いんだよ。」
「剣の振りが素早くなるじゃないですか。」
「魔法の指導してやれよ…」
「今の彼なら練習が加熱して魔力機関がオーバーヒートする方が
不味いですから、多少他の事をやらせた方が良いんですよ。」
「…本当かよ。遊んでるんじゃ無いんだな…」
「気のせいですよ。」
だってキースの場合は魔法子の流れも控えめだから、
指導して滑らかにする部分がないんだよ。
投稿が遅れてすいません。
Chromebookの動作がよく分かってない点があって。