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第79話 久々のギルドラウンジと、青龍売却



サズナークのあるユキに戻った。

戻ったといっても、明日からガーネットでの仕事があるアイリスさんとアイラ、アリサを街に送るため、直ぐに出掛けるのだが。


「マリーちゃん、戻ったのね?」

「はい」

「マリーお姉様、モニターで見ていましたが、最後にリトリーとゲイリーに言い放った台詞、カッコ良かったです」

「『そう、何もしない』」

アイラの発言に、アリサが私の真似をする。


「恥ずかしいから止めてよー。それより、帰る準備はできてるの?」

「ばっちりです」

「そう。なら、ラーラ達とサクラはお風呂中みたいだし、このまま帰ろうか」

「少し寂しいけど、こっちでの残務もあと少しだし、また直ぐに会えるものね」

アイリスさんの言う残務とは、私が青龍5体分の金額を寄付すれば終わりだ。


私はアイリスさん、アイラ、アリサを連れ、『転移スキル』でガーネットのアイリスさんの屋敷前に転移する。


「なんだか懐かしいわ」

「お母様は2週間程留守にしていましたものね」

アイリスさん、アイラの親子が自分達の屋敷を見ながら話をしている。


私はその屋敷の隣に、事前に回収しておいた『携帯ハウス』を設置する。

ユキがまだレーリックにあるため、アリサ用の家として使ってもらうためだ。


「マリー、ありがとう。ユキがいないから心配してたのよ」

「これでお風呂に入れますね、お母様」

「そうね。あれなしじゃ、もう生きていけないわ」

アリサ用として出したけど、アイリスさんとアイラも使う気満々だね。



その時、砂埃を巻き上げながら誰かがこちらに走って来た。


「マリー!!やっと帰ってきた!!」

息を切らしながらやってきたのは、ガーネットの冒険者ギルドのギルドマスター、レキシーさんだった。


「レキシーさん、お久しぶりです」

「マリー、お願い。青龍まだあるのよね?今から一緒に王都まで行ってちょうだい」

「慌ててどうしたんですか?」

「青龍の素材発注依頼が凄いのよ。それも依頼先は王宮や貴族からばかりで、対応が大変なの」

そう言えば、ユキがレキシーさんが青龍の素材を欲しがってるって、話していたな。


「分かりました。私もお金が必要なので、今から行きましょう」

「助かるわ」

「アイリスさん、ちょっと行ってきますね」

アイリスさんは笑顔で親指を立てる。


私はレキシーさんの手を握ると、『転移スキル』で王都ラミリアのギルドラウンジに転移した。


ギルドラウンジの扉にゴールドの冒険者ギルドカードを翳して中に入ると、受付嬢のリルさん、ララさんが私の元に駆け寄って来た。


「マリー様、お久しぶりです」

「Sランク冒険者はマリー様達しかいないんですから、もっと頻繁に来てもらわないと暇過ぎて死んじゃいます」

「色々あってね•••」

「マリーって、聞こえたけど•••」

受付の奥から怖い表情をした女性がミイラのように歩いて来る。


「だ、誰??」

私は思わず後退りする。


「私よ•••」

「んっ?もしかして、マーニャさん?」

怖い表情とボサボサの髪で分からなかったが、王都ラミリアの冒険者ギルドのギルドマスター、マーニャさんだった。


「そ、そうよ。マリー、早く私に青龍を•••」

「マリー、ここ数日、毎日何百件と王宮、貴族様達からの問い合わせがこのギルドラウンジに来てるの。相手が相手だけに、マーニャ一人で対応してるのよ」

レキシーさんがミイラ化したマーニャさんを見ながら教えてくれた。


「マリー、青龍、マリー、青龍•••」

「ま、マーニャさん、いったん落ち着いて。青龍なら5体持ってきましたから」

「青龍、5体?」

「はい」


ミイラ化したマーニャさんが震え始める。

そして

「よっしゃーーーー!!」

と叫んだ。


あの美人なマーニャさんが叫ぶほど壊れているとは•••

それだけ王宮と貴族の相手が苦しかったんだね•••


「マリー、レキシー、早速地下に来てちょうだい。今日からは王宮にも貴族にも好き勝手言わせないわ。ふっふっふ」

マーニャさんは一人で地下に走って行く。


「だ、大丈夫ですかね?」

「青龍を見れば正気に戻るわよ」

「そうだ。青龍の売却のお金なんですけど」

「この状況だから、かなり高額で買わせてもらうわ。そうね、1体50億Gってとこかしら」

「そんなに!!」

以前青龍を売った時は10億だったから5倍になっている。

つまり、神様シンに献上した100体は5,000億分だったってこと!!


私は一瞬立ちくらむ。


「マリー、大丈夫?」

「だ、大丈夫です。選択を間違えたかなって、いいえ、こっちの話です。そうだ。売却したお金をサズナーク王国に寄付したいんですけど、そんなことできますかね?」

これまでアントワネット王国とガーネットの街に寄付をしてきたが、流石に今回は金額が大き過ぎるため、手段を確認する。


「王国には専用のカードがあるから、私達ギルドマスターの『登録スキル』があれば可能だけど•••。本当にいいの??」

「はい。青龍に一番被害にあった国なので」

「250億Gよ•••」

「は、はい。だ、大丈夫です」

金額を言葉に出され、思わず声が上ずる。


「本当にあなたって人は•••」

「いや、まぁ、確かに金額を聞いたら震えますけど、お店も順調ですし•••」

「お店と言えば、メイズ国王とシャーロット王妃、メレディス王女様がこの王都にお店を作って欲しいと言ってたみたいよ」

「えっ!!態々国王様達が!?」

「青龍の素材の確認に来た時に言われたみたい。国王様や王妃様が直接来たからマーニャも相当焦ったみたいよ。特にシャーロット王妃様が熱望してるみたい」

「シャーロットさんが?」


メイズ国王やメレディスさんは私の料理を食べたことがあるから分かるけど、シャーロットさんは私の料理を食べたことないはずだ。


「メイズ国王やメレディス様がマリーの料理の話ばかりするらしくて、どうしても食べたいみたいよ」

私の表情を察してレキシーさんが教えてくれる。


「スウィーツだったら直ぐにお店を出せないこともないですけど•••」

「因みに、そのスウィーツはいつものように作り置きしてあるの?」

「は、はい•••」

私はアイテム収納からクレープを出すと、レキシーさんと遠くから会話を聞いているリルさんとララさんに渡した。


「お、美味しい!!」

「とろけます〜」

「ここの受付嬢やっててよかったぁ〜」


3人共幸せそうな顔で食べている。


「けど、物件探すのとか面倒だなー」

「物件探せば、お店やってくれるの!?」

「う〜ん」

「他にも従業員の手配や教育はこっちで手配するから!!」

「レキシーさん?何か必死じゃありません?」

「当たり前よ!!私もマリーの料理なしじゃ生きていけない体なんだから。国王様や王妃様が必死になる気持ち分かるもの」

「ほ、ほう」

「兎に角、お店の準備は進めとくからね。私も青龍の件でしばらく王都に泊まり込みだろうし」

「わ、分かりました」


どこか押し切られてしまった感があるが、お店を出すとなれば国王様や王妃様が喜んで、マーニャさんの負担が減ることを考えてるのかな。


話が終わると、私は地下室に青龍5体を出し、サズナークに戻るのであった。




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