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第138話 魔王の実力

★★★★ ★★★★ お知らせ★★★★ ★★★★


いつも本作品を読んでいただき、ありがとうございます。


現在連載している以下作品において、本作に描かれている人物が登場しています。


よければ、こちらもお読みいただければ嬉しいです。


※私が投稿している作品の世界は全て繋がっています。全ての作品を読んでいただくことで、一層今読んでいる作品の理解が深まると思います。



《作品名》

2つの勇者パーティーを追放された太っちょ勇者 〜脂肪蓄積•脂肪分解スキルで敵を倒していたのに誰も見ていなかった。追放は契約書を交わしたから問題ないけど、異世界には大きな問題が発生していた〜






激しい炎と黒煙が巻き上がり、建物は崩壊し、血を流して倒れる何人もの魔族の姿がある•••。



先刻、フシアナやキャサリン達の笑顔が溢れていた魔王国ブレイスワイトの姿は消えていた。





「ま、マリー」



ヒナは一方を指差しながら、震える声で私を呼んだ。





「フシアナ!!」



ヒナが指差す方向には、血だらけで倒れているフシアナがいた。

私は慌てて駆け寄り、声を掛けるが反応がない。


辛うじて息はあるが、予断を許さない状況なのは一目瞭然だった。



私はフシアナの体に触れ、回復魔法を放とうとする。




「魔族に聖魔法は使えない•••」



地球時代のアニメを見ていた経験からか、本能からか、回復魔法を放つのを無意識に止めていた。


何もできない悔しさから、地面がへこむほど強く手を打ちつける。




「ま、マリー。私なら、できる」


「ヒナ?」


「できる」




ヒナは自分に言い聞かせるようにそう言うと、フシアナに手を触れた。

ヒナな体が黄金色の光に覆われる。





『ヒナ•ヒール』





黄金色の光がヒナからフシアナに移ると、驚いたことにフシアナの体に刻まれた深い傷が塞がり、可愛い顔につけられた痛々しい大きな痣が消えた。



聖魔法は魔族にとっては弱点であるはずなのに•••。




これが人や魔族を統べる神、全ての神に愛されているヒナの力•••




【神に愛されし者】の力なのか•••







「ひ、ヒナ?マリー、大魔王様•••」



フシアナはゆっくりと目を開けると、弱々しくヒナと私を見つめ、囁くように名前を言ってきた。




「もう、大丈夫。ヒナが治してくれたから」


「ヒナが?」


「傷は、治した。だけど、体力はない。ゆっくり、寝て」


「すまんのう•••」



体力の消費と、大量出血によって血も足りていないのだろう。

フシアナは微かに笑みを浮かべると、眠りについた。


私はフシアナを抱き抱えると、『探知スキル』を使って他の生存者を確認する。



すると、少し離れた場所にフシアナの部下やサキュバス達の反応があった。

私はフシアナを抱き抱えたままそこまで移動する。



そこには、魔族の男達が壁となり、女達を最後まで守っていた光景があった。


魔族の男達の体には、大きな火傷の跡があり、所々、炭になっている。



「ヒナ、生きている人を回復させてくれる•••」


「わ、分かった」



ヒナは死体の山から生存者を探し出し、回復を始める。





私は焼け焦げた魔族の男と、その背中で亡くなっているサキュバスを見つめていた。




「女の子を守って」



私のその言葉を最後まで守ってくれたのだろう。

サキュバスには火傷の跡はなく、目立った外傷もない。



魔族の男の顔は焼け爛れていたが、私には分かった。

何度も私に「結婚して下さい」と言ってきていた魔族だ。



男の足元には、黒くなった『マリーのぬいぐるみ』も落ちていた。




私はフシアナを降ろすと、ぬいぐるみを拾い、男の顔に手を触れる。




「最後まで守ってくれて、ありがとう•••」



私の頬を涙が伝う。





「おい、おい。てめーはダレだ??」



背後から低音の男の声が聞こえた。


私は涙を拭い、ゆっくりと後ろを向く。



そこには、身長3メートルはありそうな筋肉隆々な体躯に、手には大きな爪、頭部には大きな角を4本生やした紫色の魔族がいた。



紫色の魔族の背後からは、1,000は優に超える魔族が歩いて近づいて来ている。





「おい、誰だって、俺様が聞いてるんだぞ。答えろや!?」


「嫌だ」


「あん?俺様が誰か知らんようだな。おい、教えてやれ?」



紫色の魔族が後ろにいる魔族達に大声で言う。




「「「「分かりやした!!」」」」


「おい、そこのアマ、よーく聞きやがれ、このお方はな•••」





『グッ•バイ』



私は魔族の男が話終わる前に、魔法を放つ。

光の輪っかが男の首に嵌り、急激に締まり出すとそのまま一気に首を刎ねる。





「てめー!!」




『グッ•バイ』





有無を言わさず続けて放たれた高速の光の輪っかが紫色の魔族の首を一気に首を刎ねた。





「「「ま、魔王様!!」」」



そう叫びながら魔族達は走って首を刎ねられた紫色の魔族に近づこうとする。




『アタミ(極大)』




私の右手から1,000の魔族を全て飲み込むほど大きな光の光線が放たれると、魔族達は肉片ひとつ残らず消し炭になった。







「へえ、首を刎ねられて、今の攻撃をくらっても生きてるなんて、本当に魔王なんだ」




私の言葉に反応するように、紫色の魔族は地面に落ちた自分の頭を持って起き上がると、首に嵌め込んだ。


首に頭部が置かれると、激しい怒りを宿した目を開く。





「てめー、生意気だ。この魔王国ドレインリスタンの魔王ドレイン様が喰ってやる」


「あなたには無理」


「とことんムカつくな。魔王ドレイン様に向かってカースト底辺の蛆虫が敵うわけなかろうが」




悪神である私にとって、直感的に相手の力は把握できる。

ただ、数値的な把握はできないため、『探知スキル』を使い、魔王ドレインのステータスを確認した。





《魔王ドレイン》

Lv:950

HP:18,600

MP:-


攻撃:16,144

防御:14,800

魔力:-






「私がこの世界に来た時と同じ位か。魔王も大したことないんだね」



「てめー、俺は魔王の中でも1番つえーんだよ!!カースト底辺は口を聞いてもらえるだけで小便漏らして喜びやがれ」




魔王ドレインは高らかに笑うと、背中から先端が竜の顔になっている槍を出した。





「死ねや!!」



魔王ドレインは叫びながら竜の顔をこちらに向けると、竜の顔から獄炎が吐き出された。


獄炎はまるで意志を持つ竜のように蠢き、私を見つけると、一直線にこちらに向かってくる。





「避けても無駄だぜ。どこまでも追っていくからな!!」



「ま、マリー」



ヒナの心配そうな声が聞こえ、私は前を向いたまま左手の親指を立て、後ろにいるヒナに見せた。






私は軽く息を吐いた。

まるで吐息のような、微かな息を。



息を受けた獄炎は180度旋回し、魔王ドレインに跳ね返される。







「な、なにぃーーー!!」





ビキ

ビキ

ビキ




魔王ドレインに獄炎が当たる瞬間、辺り一面が氷漬けにされた。




氷が放たれた上空には、顔が青く、ドレインよりは小柄な魔族がいた。






更に『探知スキル』には、数万の魔族がこちらに向かっている反応が現れた。






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