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第129話 罰ゲーム





「許さない、許さない、許さない」



異形の存在は同じ言葉を繰り返しながら、上空に佇む私に向かって近づいてくる。





【浄化】





私は異形の黒く禍々しい存在に対して、人差し指から眩く、尊い光を放った。





パチンッ





光が当たった瞬間、異形の存在は跡形もなく消えた。




「な、なんだと!!3,000人の命を使った悪魔だぞ!!」



地上にいるイオセシルは一人で喚き散らしている。




【悪魔だと?人間如きに、悪魔を召喚できるはずなかろう。あれは、殺された者共の怨念だ】


「ちっ、訳の分からんことを!!おい、早く信者を殺せ!!さらに多くの命を捧げろ!!」




先程まで嬉々として襲い掛かっていた信者達は、恐怖から一歩も動けずにいた。


対照的に、襲われていた信者達はその場で跪き、両手を胸の前で組み、晴れやかな笑顔で祈りを捧げるポーズをしている。



「あの光は間違いない。神様だ•••」

「先程おられた2名の方が放った光も紛れもなく神様の光よ•••」

「ああ、お会いできる日が来るとは•••」



約2.5万人の信者は、私に祈りを捧げ始めた。




「ふ、ぶざけるな!!」



イオセシルは、祈りを捧げ始めた信者の1人を殴ると、右手に持ったナイフを振り翳した。




【悪い右手だな】




私は右手の親指と人差し指を擦り、パチンっと音を鳴らす。




「ぐぁぁぁぁぁー、手がぁぁぁぁー!!」



私が音を鳴らしたのと同時に、ナイフを振り翳していたイオセシルの右手が弾け飛んだ。




【さぁ、裁きの時間の始まりだ】


「や、止めろ•••」


【まずは•••】




私は地上にいる約5万人の信者を見渡すと、右手の人差し指を上に向ける。





【半数が当たり、半数がハズレ】





ここまで来て漸く恐怖で固まっていた信者がその場から逃げ出そうと踵を返して走り始める。





【今更逃げても遅い。ハズレの者にはもちろん•••】





私の人差し指から漆黒の光が上空に放たれて空一面を黒く覆い、まだ日中にも関わらず辺りは暗くなった。




「に、逃げろーーー」

「た、助けてくれーー」




私は人差し指を下に向ける。






【罰ゲーム】






漆黒に包まれた空から真っ赤な槍が降り注ぎ、逃げ出した約2.5万人の信者達の頭部を次々と貫いていく。


漆黒の中に降り注ぐ無数の赤い槍は、まるで人が血を流しているかのような光景だった。



1分も経たない内に、約2.5万本にも及ぶ赤い槍が放たれ、信者達は息絶えていた。

同時に空を覆った漆黒の闇は晴れ、辺りに日差しが差し込んだ。





「あ、あ•••、なんということだ•••」



イオセシルはその場に腰から崩れ、今更祈りのポーズをする。

もちろん、右手がないため、手は組めていないが。



祈りを捧げている信者が無傷な光景を見て、助かりたい一心でそんなことをしているのだろう。




「おお、神よ。今までのお告げは、あなた様だったのですね」



イオセシルは白々しく私に話しかけくる。



私は再び右手の親指と人差し指を擦り、パチンっと音を鳴らす。


今度はイオセシルの左手が吹き飛ぶ。




「なぜだぁぁぁぁぁーー、ぐっ、痛い、痛ーーい!!」



イオセシルは跪いたまま、私を睨んでくる。




「おい、手を治せ!!今なら許してやる!!」


【なぜ私が貴様に許しを得なければならぬのだ?】



私は地上に向けて左手から光線を放つと、直径10メートル、深さ20メートル程の大穴を開けた。



「ひっ」


【入れ】


「なんだ、なぜだ!!体が勝手に•••」



イオセシルの体は大穴に向かって引き摺られ、そのまま止まることなく大穴に落ちていった。



「うぁぁーーーー」



20メートル程落ちた状態でも、イオセシルはまだ生きていた。




【土にかえりなさい】




四方八方から大穴に向けて土が降り、やがて大穴は完全に塞がった。


生き埋めという形で、イオセシルは死んだ。





【次はお前達だな】




私は祈りを捧げ続ける約2万人の信者を見下ろす。






【神はお前達、人間を生み出した。だが、そこから先は何もしない。助けない】



【神に縋らず、与えられし人生、それを全うしなさい】






そこまで話した私は、それから異形の存在に使用した眩く、尊い光を空から降らした。



光を浴びた信者達から黒い靄が現れ、刹那、消失する。

長い年月をかけて、イオセシルは信者達を洗脳状態にしていた。



その洗脳、固執を光によって浄化した。



後は、自分達次第だ。






私は【大魔王の威圧】と悪神の力の解放を終了し、遠くで見ていたユーティフル様とシンと一緒に家に帰った。





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