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第126話 儀式の準備




「忠告!?」

「そうよ」

「そうじゃな」



シンとユーティフル様は豚の角煮を口に運びながら答える。



「神のお告げが付与されている者は、数通りのレコードが用意されていてね、生き方次第では命が剥奪されるの」

「剥奪!?」

「そうじゃ。剥奪は、今の人生という訳ではなく、次回以降も剥奪。今後、人間にも魔物にも転生はしない」


「それってさー」



ユキがビールを片手に持ちながらユーティフル様の近くに移動する。



「つまり、全ての終わりって、こと?」

「イエス、じゃな」

「じゃー、今までよっぽど悪いことしてたってこと?」

「それも、イエスじゃ。相変わらず勘の良い幼女だ」



話を聞いていた私は、アイリスさんの方を見た。

どこか悩んでいるような、いや、怒っているような、コロコロと表情が変わっている。



「アイリスさん、何かありました?」

「実はね、マリー」



アイリスさんは、以前私に結婚話をもってきたシントプリースト共和国から『神のお告げ』で結婚しなければガーネットに災いが降りかかるといった内容の親書が届いたことを話してくれた。



「まったく、何が神のお告げよ。ただの破滅フラグじゃないの!!」



話を聞いたユキは強い口調で言った。



「そうよね。まったく。一瞬でも悩んだ自分がバカバカしくなる。よし、また断りの返事を出しておくわ」



アイリスさんはそう言うと、最後の豚の角煮を口にいっぱいに入れ、作業に戻って行った。


いつもいつも、申し訳なくなるよ。



「それにしても、神を冒涜するとは許せんな」

「まったくだわ」

「次に何か仕掛けてこようものなら、神3人で乗り込むとするか」



ユーティフル様とシンは、楽しみができたと言わんばかりに不敵な笑みを浮かべている。

自分のこととは言え、神3人ってことは、私もだよね•••。



まぁ、今は考えていてもしょうがないし、私も豚の角煮をお代わりしよー。

電気圧力鍋の前に移動した私は、鍋の中を見て愕然とした。




「なーーいーーーーー!!」




鍋いっぱいに作った豚の角煮は、跡形もなく消えていた。











《シントプリースト共和国》






神殿の自室でガーネットからの親書に目を通したイオセシルは目を見開き、憤怒していた。




ドガッ




怒りのあまり、隣に半裸同然の格好で寄り添っていた聖女候補の女を殴った。


殴られた女に他の聖女候補の女2人が近寄り声をかけるが、そんな光景すら腹立たしいイオセシルは女達に近寄り蹴り倒す。



「くそ、くそ!!僕ちんの神のお告げを断るだと!!許さん、許さない」



蹴り続けたことで、女達は気を失った。



「おい、タスク。こいつらを連れて行け」

「畏まりました」



部屋の隅に待機していたタスクは、手早く女達を連れ出した。



「こうなれば、宣戦布告だ。僕ちんに逆らったことを後悔させてやる」



タスクが部屋に戻ってくると、イオセシルは戦線布告の話をした。



「しかし、マリー•アントワネットは強大な力を有し、魔王国とも密接という噂がありますが•••」

「噂は所詮、噂だ」

「ですが•••」

「タスク、まさか神のお告げを聞いた僕ちんの言葉が間違っていると?」

「いえ、滅相もありません」



神のお告げと聞いたタスクは俯き、それ以上の言及はしない。



「早速、多額の賄賂を支払っているラムズデール王国•アルビオルに連絡し、騎士と魔物を用意しろ」

「畏まりました」





ただでさえ、隣国との関係が希薄なこの世界において、王国から独立した共和国であるシントプリーストは、外の情報に疎かった。




マリー•アントワネットが強大な力を有し、各国を救っていること



魔王国の2カ国と密接な関係を築き、大魔王様と呼ばれていること



マリー•アントワネットによって、ラムズデール王国•アルビオルは滅びていることを•••






数日後






「なんだと!!アルビオルが滅びただと!!」

「は、はい•••」

「なぜだ、あそこは軍事に特化した街だぞ!!それに、ヘロニモの魔物使役があれば滅びることはないだろう!!」

「そうなのですが•••。ラムズデール王に聞いたのですが、理由までは教えてもらえませんでした」

「くっ!!」



イオセシルは癇癪を起こし、部屋にある壺や聖書を手当たり次第に放り投げた。

幾つかはタスクに当たったが、タスクは我慢し、静かに怒りが収まるのを待つ。




「儀式だ」

「はい?」



タスクはまさかの言葉に、冷や汗が流れるのを感じた。



「上級信者5万人を集めてガーネットに行くぞ」

「•••」

「タスク。僕ちんと結婚しない以上、神がマリー•アントワネットを殺さなければ災いが起こると告げているのだ」

「は、はい•••」

「大丈夫だ。流石に5万人を相手にするなら、僕ちんとの結婚を選ぶだろう」



タスクは、静かに俯く。



「はっはっはっ。あの偽聖女を弄ぶのを想像すると、今からゾクゾクするよ」



イオセシルは満足気に笑うと、部屋の奥へと消えていく。




タスクは大量の汗を掻き、その場に座り込んだ。


この国において、神のお告げは絶対だ。

仕方ないのだ。



そう自分に言い聞かせるのであった•••。




本作品と関連性のある作品を新たに作りました。

是非、ご覧いただき、感想など教えて下さい⭐︎


【タイトル】

2つの勇者パーティーを追放された太っちょ勇者

〜脂肪蓄積•脂肪分解スキルで敵を倒していたのに誰も見ていなかった。追放は契約書を交わしたから問題ないけど、異世界には大きな問題が発生していた〜

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