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第118話 サキュバスの国




魔王国ブレイスワイトまでは、魔王国の足となっているコカトリスを使って2日程の位置にあると、フシアナに教えてもらった。



フシアナはコカトリスを貸してくれようとしたが、私は空を飛んで行くから大丈夫と丁寧に断った。

空を飛んで行くと言った時、目を丸くして固まったフシアナが可愛かったのは内緒。





魔王国ヴィニシウスから、私は超スピードで飛行を開始した。

途中、ワイバーンや見たこともない鳥に打つかりそうになるが、寸前の所で躱して進んで行く。


やがて、大きな山脈が連なった麓に、魔王国ブレイスワイトのお城と街が見えた。


サキュバスの街の半分は山脈に覆われ、残りの半分は高さ10メートル程ありそうな壁で覆われている。

周辺は森に囲まれていて、普通であれば容易に侵入することはできなそうだ。



サキュバスは美しく妖艶であり、魔族と人間の男に人気だから、これ位の警備は当然かもしれない。



私が上空から街の中を見ていると、魔族の男達が殴り合いの喧嘩をしている現場が目に入った。


男達の周りでは、サキュバスの女性が不安そうに見守っている。



本来なら門番に許可を取って街に入るべきなんだろうけど、男達の殴り合いはエスカレートし、今は刃物を取り出してお互い殺意を向けている。




猶予は無さそうだね。




私はそのまま上空から街に入り、喧嘩している男達の間に着陸した。



「な、なんだテメェは!?」

「どっから現れやがった!!」


男達の標的は、瞬時に私に代わったようだ。



「こいつはサキュバスじゃないぜ」

「だったら、殺してもいいよなー」



喧嘩をしていたのは男2人だけだが、サキュバスじゃない私を見た途端、他の男達も寄ってきた。


寄ってきた男達は、顔色が極端に緑だったり、顔が動物であったり、見て容易に魔族だと分かった。



「直ぐに殺すのは惜しいな」

「結構、いい女だ」



おおー

本当にモテ期かもしれない




「とりあえずは、痛めつけるぞ」

「やれーーー!!」



総勢20人はいる魔族が一斉に私に襲い掛かる。





ガキィィィーーン





悪神の障壁に攻撃が阻まれ、魔族達は困惑し、ある者は殴り掛かった拳を負傷していた。



「ど、どうなってやがんだ!!」

「くそー、俺の拳が」

「こうなったら•••」



1人の魔族が長さ2メートルはありそうな大剣を持ち出し、大きく振りかぶると、私目掛けて一気に振り下ろして来た。




きゃーーーーー



サキュバス達の悲鳴が響き渡る。





ガキィィィーーン


パキンっ




大剣は私に触れることなく、真っ二つに折れた。




「次は、私の番だね」



男達は顔を引き攣らせて後退りを始める。



私は超スピードで1人の男の後ろに移動した。

男には私が消えたように見えているらしく、首を左右に激しく振っている。



私はかなり手加減をして、腰の辺りをキックすると、男はくの字の形で数十メートル先にある建物に吹っ飛ばされた。


建物は崩れ、砂埃を巻き上げた。



やばい

建物に誰もいなかったよね?



「ば、化け物だーー」

「に、逃げろーーー」



男達は一目散に逃げ出すが、私は逃がさない。


男達を先程より更に手加減してキックとパンチを繰り出し、次々と積み上げていく。


さっき建物まで吹き飛ばした魔族を回収して一番上に積み上げれば、見事な魔族タワーの完成だ。




「こ、これは一体どうなっているの?」



魔族タワーが完成した時、周りにいるサキュバス達より一際、妖艶で、目元にある黒子が特徴的な女性がやって来た。

女性が来ている服は、ドレミ、ファソラ、シドよりも面積が少なく、お尻部分に関しては最早お尻そのものだった。



「これは、あなたがやったのかしら?」



私は同性でありながら、大きな胸元や、殆ど顕になっているお尻を凝視してしまい、女性の問い掛けに顔を熱くしながら答えた。



「はい。急に襲われたので•••」

「それは、本当に申し訳なかったわ•••、って、あなたは•••」



女性は急に大きく開いた胸元に手を入れると、そこから1枚の紙を取り出した。


取り出した紙と私を交互に見ると、女性の顔はみるみる真っ青になり、尋常じゃない汗を掻き始める。



「あ、あ、あっ、あなたは•••」



女性はその場に腰を抜かし、胸元から今度は見慣れたホルンを取り出した。



「お、落ち着いて下さい。キャサリン様。ホルンを吹かなくても、みんな揃っています」

「そ、そうね•••」

「それより、フシアナ様からいただいたホルンを手にした言うことは•••」

「ええ、間違いないわ。人相書の通り」



に、人相書??



キャサリンと呼ばれていた女性と、一緒に来ていた他の女性はその場に跪いた。




「ようこそおいで下さいました。マリー大魔王様」






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