おねぇ
歩くだけで少し背筋が伸びる。ショーウィンドウの多い街並にショッピングに来るのは気分が良い。憧れてしまう素敵なディスプレイや、誰が着るのかしらと思う様な奇抜なディスプレイ、そこに映る自分の姿にも目移りしてしまう。
「ねぇ!待ってよぉ〜。おねぇってばぁ〜。」
『ちょっと!“おねぇ”って呼ばないでって言ってるじゃないの!』
「何でよ?お姉ちゃんなんだから、“おねぇ”でいいじゃない。」
そう、間違って無い。私は姉だから、昔から“おねぇ”と呼ばれている。でも、物凄く嫌!人生をやり直せるなら水泳部!陸上じゃなく水泳に青春を捧げる!陸上選手として身長に恵まれ、活躍もしてスポーツトレーナーという職にも恵まれた。だからこそ!この体格が恨めしい。私は自分のなにもかもが気に入っている。ショートカットもパンツスーツも機能美、価値観。ピアスは怖い、イヤリングは耳たぶ無いから無理。メイクが薄いのは肌が弱いからだし、そもそも学生時代にお化粧なんかした事ないし。男勝りなのは姉だから!二言目には「お姉ちゃんなんだから」って何でもやらされて、お陰で強くなりました。
「ねえ、こうゆうの“おねぇ”似合うんじゃない?」
全身の関節を少し内側に捻りながら、ミニスカートのマネキンを指さし、またも私を“おねぇ”と呼ぶ。
『うるっさいわねぇ“おねぇ”って呼ぶなって言ってるでしょ!』
弟よ、何故おまえは立派な“おねぇ”に育ったのだ。愛おしくも恨めしい。
思春期の頃、真剣な顔で姉に言われた衝撃の台詞「私と、アンタ、性別が逆なら良かったのにね。」
料理好き、背小さめ、髪細くてサラサラ、まつ毛くるんくるん、お目々ぱっちり二重、平和主義
まぁ確かに と 当時はね。