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運は良い方です

「神さまの言う通り!」


落ちている枝を拾って立たせ、おまじない言葉と共に手を放す。

そして転がった方へと進むこと1時間あまり。幸いなことに襲ってくる獣と遭遇することもなく、少し小高い丘を見つけることが出来た。


景色を見渡せるかもと、ちょっとしんどいけど自転車を押しながら登る。

で、この行動が正解だった。


「あ、川と泉発見! あっちには村? なんかの建造物も発見!」


30分ほど歩けば着けそうな場所に川と泉を見つけることが出来た。

しかも! かなり遠くの方の開けた草原には石で作られた建造物らしき建物や畑らしきものまで小さく見えた。やったね!


自転車の異次元ボックスからスマホを取り出し、望遠ズームで見てみる。


「おお! 完全に村だ! 人がいる! 服もちゃんと着てるよ」


現代的ではないけど十分文化っぽいし、野蛮な感じもしない。

ん、大丈夫そうだね。神様ありがとう!


「市場みたいなのもある…あれは看板かな?」


ゲームに使われているアイコン的なものが看板描かれている。ベッドに寝転ぶ人や、鳥のイラスト、服のイラスト。


「わかりやすくて良いね」


きっと文字も言葉も通じないだろうから有難い。

商品の受け渡しを見る限り、物々交換もしてるっぽい。


「いいね! いいね!」


日本のお金で払うわけにもいかないし、物々交換はありがたい。

交換できそうなものの採集がんばろうって気になるね!


それから色々気になる場所を写真に撮って保存していく。

目指す泉までと、泉から村までの道なき道。目印になりそうな木なんかも全部撮る。


買ってて良かった最新スマホ。光学ズームでばっちりだね。





泉を目指して歩くこと30分。迷わずに、獣に合うこともなく無事に着いた。


「おーしかも、お誂え向きな木の祠まであるじゃないですか! 最高かよ!」


祠はそれなりに大きく、さすがに横にはなれないけど体育座りなら休めそうだ。

祠の前に自転車を置き、拾い集めた草木で覆い隠せば寝床になるだろう。


そうと決まれば…。


「採集だね!」






しかし…一人しかいないので独り言ばかりになるな…。







それから泉で3日ほどを過ごした。


泉に水を飲みにきた動物に遭遇することが有ったけど、満腹だったのか草食獣だったのか、幸い襲われること無く過ごすことができた。


でも、泉から少し離れたところで狼らしき四足獣を見かけたので、村への移動は先延ばしにし、「木の槍」を何本か作ることにした。


小さな剪定バサミで作るのは苦労したけど、狼ぐらいなら追い払えると思う。

多分。


それから、不思議アイテムになった愛機の自転車のことで色々とわかったことが有る。

まず、レベルアップが有るっぽい。


ゲームみたいにステータス画面なんて表示されないんだけど、籠に手を突っ込んで異次元ボックスに触れていると、なんとなーーく、自転車の気持ちが分かるんだよね。


飼ってる猫の表情を見たら「あ、毛をといて欲しいの?」ぐらいの感覚で「あ、もっとアイテム入れて欲しいの?」て感じ。


それで色々と拾っては入れて、木に生っていた果実や枝、葉、以外にも土や石、泉の傍の砂まで入れた。もちろん泉の水も空いたペットボトルに汲んでは入れてとしていたら、どうやら自転車のレベルが上がったらしい。


「…作れるの?」


なんか作れるようになったようで、まず、泉の水を飲み水にしてくれた。

ペットボトルも残り僅かだったので、これが一番助かった。


それから石槍も作ってくれた。私が作った木の槍の改良版だね。


「自転車がチート過ぎる」


籠が異次元ボックスと錬金機能まで付いてるとか凄すぎる。

アトリエ系ゲーム好きには溜まらない機能です!


嬉しくなって更に1日、追い課金ならぬ追い収集をしました。






葉と草で「枕」に「掛け布団」。

枝で「皿」や「器」に「コップ」。

泉の水と、幾つかの木の実、拾った獣の骨、軽石で「石鹸水」。

赤い実は毒素が分離されて「美味しい赤い果実」に…!


「やばい! 自転車がマジチート!」


泉の水を、人体に無害な飲み水に変えられたから、もしやと思って試してみたら…毒素分離とか凄すぎない? 食べ物に困ることは無くなった。


「見た目が禍々しいキノコは、無害と分かっても食べる気にならないけど…」


この世界では禍々しい方が実は無害なキノコで、シイタケっぽい方が毒キノコでした。めっちゃ罠でした。チート自転車がなきゃ死んでたところだね。


ちなみに分離した毒素と石槍で「毒の石槍」が出来てしまった。

うっかり尖端を触らないように刃部分に草で作った袋を被せておこう。


「そろそろ村に向かうかな…」


丘から撮った写真を見ながら呟く。


そうそう。どうやら、自転車だけでなくスマホも不思議アイテムになったようで充電が減ることも無く、使い続けることができた。ソーラーバッテリーを持っていなかったので、これも地味にありがたかった。







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