~かしこいシマリスのお話~ 第一話
ここはどんぐりの木がいっぱい生えた大きな森。
たくさんのリスたちが生活しています。
でもリスたちは孤独が好きで、仲間をつくりません。
クルルもその中のひとりで、今日もひとりでどんぐりの実を集めては、
いろんな所に穴を掘って隠していました。
『ふぅ…。だいぶいろんな所に隠したぞ。』
『あっちにも、こっちにも…。それから…ええとぉ…。』
『う~ん。あとは忘れちゃった。まぁいいかぁ…。』
リスはとても忘れっぽいのです。
『つぎは、冬眠にそなえて枯葉を集めよう!』
リスはけっこう働き者です。
クルルが一生懸命、枯葉を口にくわえて集めていると、
後ろの方で”カサッ!”と音がしました。
『あぶない!!逃げろ!!』
クルルはすぐそばの木の上へ一目散にかけ上がりました。
『くそっ!逃がしたか!』
木の上から見ると狐が残念そうに見上げていました。
『はぁ、はぁ、あぶなかったぁ。』
『きのうも隣の木のキッキがあいつに食べられたんだ。』
『でも僕は注意深いから食べられないぞ!』
『ええと…。何してたっけ。…』
リスはとても忘れっぽいのです。
『おうちにも沢山木の実が集まったし、そろそろ冬眠しようかなぁ…。』
『つぎの春にはかわいいお嫁さんを見つけて子供をつくるぞ!』
クルルはやがてくる恋の季節をを夢見て、早々と冬眠しました。
『ふぁぁぁ…よく寝た。…』
冬眠から覚めて外に出てみます。
『ふぅ…。まだ少し寒いや…。』
『あっちこっちに隠しておいた木の実をあつめよう!』
『でも…どこに隠したっけ?』
リスはとても忘れっぽいのです。
しばらくすると、何処かから『くるるるるぅ!』という声が聞こえてきました。
待ちに待った、恋の季節が来たのです。
リスたちは一斉にお嫁さんを求めて恋の歌を歌います。
『くるるるるるぅ!くるるるるるぅ!』
クルルも一生懸命歌いました。
『くるるるるるるるるるるるるるるぅぅ!!!』
すると縦じまのきれいな女の子が現れ…
『あなたの声、とってもステキね。』
『わたしと結婚してくれる?』
『きみのシマ模様もとてもステキだよ。』
二人はたちまち恋に落ちました。
つづく…。