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魔法

 中庭にやって来た。

 既に先生は来ているようだ。


「ロナウド様」


「どうも。遅れてしまいました?」


「いえ、遅れているどころか時間よりも早いですよ」


「それは良かったです」


 彼女はマーナ。

 俺の魔法の先生だ。

 金髪でスタイルが良くかなりの美人さんである。

 先生が美人ならモチベーションはうなぎ登りだ。

 

「さて、本日が一先ず最後の授業ですね」


「ええ。今日は何をするんです?」


「今日は実戦形式の授業です」


「わかりました」


 ちなみに魔法の授業は魔法に関する知識学ぶ授業と実践授業に分けてしている。


「それでは今から授業が終了するまでに私を倒してください」


「え?倒す?」


「あ、いえ、殺すのでは無くて私を戦闘不能にするのです」


「それは気絶とか腕を折ったりとかって事で良いのですか?」


 「ええ。大怪我程度なら自力で魔法で治せますしね」


 彼女はこの国の魔法騎士長だ。

 だから当然強敵になる。


「それでは早速始めましょう。いつでもどうぞ」


 今までの授業の成果を先生に見せよう。


「行きます!」


 俺は彼女へ向かって行った。

 走りながら火玉を彼女の足元へ飛ばす

 当然彼女は綺麗にジャンプをして避けた。

 同時に俺との間合いを取ったようだ。


「ハァ!!」


 着地ざまに俺に石飛礫を飛ばしてきた。


「クッ!!」


 俺は足元の土を盛り上げて簡易的な盾を作った。

 だが魔法を解除して土の盾が崩れるかという瞬間、土の盾は外部から破られた。

 土に開いた穴から先生が目の前に迫っているのが見える。

 マズイ。

 咄嗟に俺は彼女の背後に瞬間移動をした。

 先生は不意を突かれて完全に俺を見失ったようだ。

 キョロキョロと周りを見渡している。

 実はこの魔法は誰にも見せてはいない。

 俺は気配を殺して手の平に力を集中させる。

 そして瞬時に彼女へ火を放った。

  だが彼女は避けた。

 騎士長というだけあって、咄嗟の勘が働いたようだ。

 

「貴方……今なにを……?」


 先生は唖然としている。

 当然俺はその隙を狙って攻撃を仕掛ける。

 火で先生の周りを囲み逃げ場を無くす。

 すかさず先生は自分の足元の土を盛り上げて上から脱出を試みる。

 だがこれは俺の計算の内だ。

 炎の上から出てきた彼女へ多くの石飛礫を飛ばす。

 恐らく弾かれるため先に俺は彼女の後ろに瞬間移動をした。

 そして手の平を彼女へかざして電気を送る。

 すると先生は感電して意識を手放しばたりと倒れた。


「よし。勝てたな」


 記憶を取り戻してから始めて魔法を使ったが、意外とイメージだけでいけるものなんだな。

 とにかく先に先生を部屋に運ぼう。

 だが俺では彼女を運べないな。

 

「おーい」


 俺は叫んで人を呼ぶ。

 すると若い執事が走ってやって来た。


「先生を客室まで運んでくれ」


「承知しました」


 俺はその足で水を飲みに井戸まで行った。

 


☆☆☆☆☆

 城のキッチンまで来ている。

 当然ここで働いている人数が多いため大きさも広くなる。

 今は誰もいないようだ。

 コップを取り出して水を入れる。

 そしてそれを一気に飲み干す。

 やはり喉が渇いている時には一気飲みに尽きるな。

 ん、先生の分も用意した方がいいか。

 水を飲んだ俺はコップを確保して水を注いだ。

 それをタオルと一緒に持って客室へ向かう。


「失礼します。ロナウドです」


 ノックをして名を名乗る。


「ど、どうぞ」


 返事がきた。

 どうやら先生は目覚めたようだ。

 ドアノブを回しドアを開けると、先生がベッドに腰掛けていた。


「先生、気分はどうですか?」

 

「大丈夫ですよ。それよりも……先ほどの魔法は……?」


「瞬間移動の事ですか?」


「ええ。自身を瞬時に転移させる魔法は未だに実現されていない魔法です。それを易々と2回もしてしまうとは……」


「あの魔法は実現されていないのですか?」


「知らないのですか!? 転移系の魔法は理論すらも確立されていない魔法なんです!」


 知らなかった。

 その様な情報は聞いたことが無い。


「ロナウド様。貴方はその歳にして歴史に残る程の偉業を成し遂げた事になります」


「大袈裟ですよ」


「いえ、正当な評価ですよ。もう既に魔法騎士長である私よりも強いようですしね」


 少し悲しそうな顔をして先生は呟いた。

 謂わば騎士のしてのプライドを僅か7歳の子どもに潰されたようなものだ。


「先生、先ほどの魔法は偶然成功したものです。なのであれが完全に成功かと問われればそうではありません」


「偶然……なのですか? たったの7歳の子どもが偶然で……。ロナウド様の魔法力は圧倒的だとは薄々気付いておりましたが、まさかここまでとは……」


 どうやらフォローが逆効果だったようだ。

 仕方ない、無理矢理話題を変えるか。


「先生、僕は2日後に寮へ向かいます。なので次の授業は長期休暇で帰ってきた時だけになってしまいます」


「ええ」


「次の授業では単に知識では無く是非僕に騎士としての心得を教えてくれませんか?」


「分かりました。次回の授業は魔法騎士に関してお教えましょう」


 笑顔で答えてくれた。

 良かった、先生は元気になってくれたようだ。

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